母子登校で分離を急ぐ前に考えたいこと
母子登校や付き添い登校を続けていると、こんな場面になること、ありませんか。
「今日は教室に入れそうだから、お母さんは帰っても大丈夫?」
そう思って声をかけると、子どもから返ってくるのは、
「無理」
「帰らないで」
「まだ一緒にいて」
前日は少し離れられたのに、今日は離れられない。
教室には入れているのだから、もう大丈夫そうに見えるのに、お母さんが帰ろうとすると急に不安になる。
今回の動画では、母子登校・付き添い登校でよくある、「母親との分離場面で、なかなか離れられない」状態について解説したいと思います。
【「母親との分離場面でなかなか離れられない/母子登校あるある・解説#1】
母子登校で「離れられない」のはなぜ
子どもがお母さんから離れられないとき、大人はつい、
「自分で決めないと」とか「もう教室に入れたのだから大丈夫」とか「いつまでも一緒にはいられないよ」
と言いたくなりますよね。
しかし、子どもも「離れたほうがいい」ことは、ある程度分かっていて。
学校に来られたし、教室にも入れたし、先生や友達もいるって頭では分かっていても、実際に母親が帰ろうとすると、身体のほうが強く反応してしまうことがあります。
- 甘えている
- わがままを言っている
- 親を困らせようとしている
- 自立する気がない
…なんて考えてしまうものです。
分離には「できる・できない」だけでなく、タイミングがある
動画では、母親から離れる場面を、野球のバッティングにたとえて説明しました。
同じ球が来ても、タイミングが合えば打てる。
少し早かったり、遅かったりすれば、うまく当たらない。(パワプロ知識ですみません)
母子登校における分離も、それに似ていると思います。
子どもが少し落ち着いているし、先生との会話が始まったし、授業に気持ちが向いたし、友達が声をかけてくれた。
そんな瞬間であれば、お母さんとすんなり離れられることがあります。
しかし、子どもがまだ周囲を警戒しているときや、不安が高いときに離れようとすると、強く引き止めることがあります。
つまり、離れられなかったからといって、必ずしも「分離する力がまったくない」とは限りません。
離れる力が育っていても、その日の状態や場面によって、うまく使えないこと(ムラ)があるということです。
「昨日できた」は、「今日もできる」と思いすぎないほうがいいこともある
付き添い登校では、昨日の成功が、翌日の期待に変わりやすくなりますよね。
昨日、母親が5分だけ教室を離れられたとすると大人は、
「昨日は5分離れられたから、今日も5分なら大丈夫だよね」
「昨日できたのだから、今日はもう少しできるかもしれない」
と考えると思います。
しかし、子どもの側からすると、
「昨日はたまたまできただけ」「今日は昨日よりしんどい」「一度できたら、これから毎日やらされるかもしれない」
と感じる場合があり、昨日できたことが、今日の安心につながるとは限りません。
反対に、
一度できたら、もう後戻りできないのではないか
というプレッシャーになることもあるんです。
そのため、前日の成功をそのまま翌日のノルマにしないことが大切で、
「昨日できたから今日も」ではなく、「昨日は、あの条件ならできた。今日はどうだろう」と考えたほうがうまくいく場合があります。
この見方ができると、母子登校の進み方を、一直線の階段として捉えずに済みやすいです。
突然「お母さん、帰るね」と言われる不安
子どもの様子を見て、お母さんが、
「今なら離れられそう」「楽しそうだから、帰っても大丈夫そう」
と判断することってありますよね。
でも、その判断が母親の中だけで行われていると、子どもにとっては突然の分離になることがあります。
子どもは学校生活だけでなく、
「お母さんはいつ帰るのか」
「急にいなくならないか」
「どのくらい一人でいればよいのか」
ということにも注意を向け続けていることもあって、その状態で急に、
「じゃあ、お母さん帰るね」
と言われると、不安が一気に高まることがあります。
大人から見ると「今なら大丈夫そう」でも、子どもの中では、まだ準備が整っていないということかもしれません。
母子登校で分離を進めるときは、事前に伝えておく
母親が学校を離れる予定があるときは、できるだけ事前に伝えておくことをおすすめします。
たとえば、



といった感じです。
当日の朝に伝える方法もあれば、前日の夜に伝える方法もあり、分離の変更が大きい場合には、数日前から話しておく方法もあります。
大切なのは、ただ一方的に宣言することではなく、子どもの反応を確認しながら、
- いつ離れるのか
- どこまで一緒にいるのか
- 母親はどこに移動するのか
- 何分後に戻るのか
- 困ったときは誰に伝えるのか
を具体的に伝えるといい場合があります。
見通しが立つことで、子どもは「突然置いていかれるかもしれない」という警戒を少し下げられるかもしれないという理屈です。
子どもが一度離れられると、お母さんは安心しますよね。そして、
「これなら、もう大丈夫かもしれない」「明日から少しずつ帰れるかもしれない」と期待するのは当然のことです。
ただ、その安心が強く表に出ると、子どもは、「もう離れられないと言ってはいけない」「明日はもっと頑張らなければならない」「また不安になったら、お母さんをがっかりさせる」と受け取ることがあります。
そのため、離れられた日は、
「今日は、あの時間なら離れられたねぇ」
「先生が来てからだと、少し安心できたのかもしれない?」
などと、できたことを確認されるのもおススメです。
これは、「もう大丈夫」と結論づけるのではなく、どのような状況ならできたのかを親子で見つける取り組みです。
まとめ|離れられないときこそ、分離の条件を丁寧に見る
母子登校・付き添い登校で、子どもが母親から離れられないときは、
- 分離するタイミングを見極める
- 事前に予定を伝える
- 離れる場所と時間を具体的にする
- 昨日の成功を今日の義務にしない
- 完全分離までの段階を細かくつくる
- できた条件と難しかった条件を整理する
といいかもしれません。
MIKURUMIRUでは、母子登校・付き添い登校を単に終わらせるのではなく、子どもの状態、親子の会話、学校での環境、家庭全体の動きを整理しながら、そのご家庭に合った段階を一緒に考えています。
「離れたほうがよいのか、まだ付き添ったほうがよいのか分からない」
「少し離れられたと思ったら、また元に戻ってしまった」
「学校から分離を求められているが、進め方に迷っている」
という場合は、現在の付き添い方を一度整理してみることが大切かもしれません。
それでは、今回はこれで終わりたいと思います。
さいごまでお読みいただきありがとうございました。また次回のブログもお読みいただけると嬉しいです!
まいどん先生(公認心理師)
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