中学生の不登校「毎朝、学校まで送っています」。車から降りられない子に、親はどう関わればいいのか

中学生の不登校「毎朝、学校まで送っています」車から降りられない子に、親はどう関わればいいのか

中学生のお子さんを、毎朝学校まで送る。

このようなご家庭は、決して珍しくはありません。

だけど、校門の前まで来ても車から降りられなかったり、「今日は行く」と言って家を出たのに、学校が近づくと黙り込んだり、駐車場に着いても動かなかったり、声をかけても、怒っても、励ましても、結局そのまま帰ることになったり…。

こういう朝が続くと、親御さんは本当にしんどいと思います。

 

これって、ただ学校まで送っているだけ…ではないからです。
朝のあのおもたーい空気や、子どもの表情や、車内の沈黙。
学校の先生にどう説明するかを考えたり、仕事に遅れる不安や、家に帰ってからの何とも言えない息苦しい空気。

その全部を、親御さんが一人で抱えていることが多いからです。

しかも、周囲は簡単に

「送ってあげるから甘えるんじゃない?」
「中学生なんだから、自分で行かせないと」
「休ませると癖になるよ」
「行けるところまで行けているなら、あと少しじゃない?」

とかいうじゃないですか。(私だったらめんどくせぇ、うるせーな無責任に意見言いやがって。黙ってろやとか思いそうです。

でも、実際に毎朝その車内にいる親御さんからすると、そんな単純な話ではないはずです。

送らなければ完全に家から出ないかもしれない。完全不登校になるかもしれない。
でも送っても降りない…。
背中を押せば何かが崩れそうだし、見守ればこのまま長引きそうで怖い。

この「どうしたらいいのかわからない朝」こそ、中学生の不登校支援ではとてもていねいに見ていく必要があるとおもいます。

「学校まで送る」は甘やかしなのか

まず、はっきり言いたいのは、学校まで送っていること自体を、すぐに「甘やかし」と決めつける必要なんてないよってことです。

中学生の不登校では、本人の中に「行きたい気持ち」と「行けない反応」が同時にあることがあります。

家を出るところまではできるし、制服を着るところまではできる
車に乗るところまではできるし、学校の近くまでは行ける。
でも、最後の一歩が出ない。

…このとき親から見ると、「ここまで来たのに、なぜ降りないの?」と思いますね。(というか、降りろや :twisted:と… )

でも子どもの側では、校門や玄関、教室、先生、友達、視線、朝のざわざわした空気などが近づいた瞬間に、身体が固まってしまうことがあるかもしれません。単に「やる気がない」とか「親を困らせたい」とか「楽をしたい」という話では片づけられず、実は学校まで来られているからこそ、本人の中ではかなりギリギリのところまで頑張っている可能性もあります。

親の送迎は、依存を強めることもありますが、一方で、学校との接点をかろうじて保つ命綱になっていることもあります。

だから大切なのは、「送迎を続けるべきか、やめるべきか」という二択で考えないことです。

車から降りられない子は、何に止まっているのか

不登校の子が車から降りられないとき、親はつい「学校に行くか、行かないか」で見てしまいます。

でも実際には、子どもが止まっている場所はもっと細かい場合があります。たとえば、

教室に入るのが怖い。先生に声をかけられるのが怖い。
友達に見られるのが怖い。遅れて入るのが嫌。
昨日休んだ理由を聞かれるのが嫌。車から降りた瞬間に、もう逃げ場がなくなる気がする…など。

 

でも、だからといって「今日は無理だったね」で帰り続けると、親の側がだんだん疲れていきます。

 

中学生の不登校は、親子だけで抱えるとこじれやすい

中学生の不登校が難しいのは、子どもが小学生の頃よりも、自尊心やプライド、友人関係、進路意識が複雑になっているからです。

小学生であれば、親が横についていることで安心できる場面もあります。
しかし中学生になると、「親に送ってもらっている自分」を本人が恥ずかしく感じることもあります。

でも、一人では行けないし、親に頼りたいし。
けれど頼っている自分も嫌だし、学校に行きたい気持ちはある。
でも行けない。行けない自分も嫌。

このような矛盾が、車内の沈黙や怒りや無反応として出ることがあります。

親御さんからすると、「送ってあげているのに、なんでそんな態度なの」と感じるかもしれません。

親も傷ついています。
親も限界に近いのです。

 

ありがとうぐらい、言えや――――――!!!…と。

 

ただ、親子が毎朝、車内でぶつかり続けると、問題が「登校できないこと」から「親子で一緒にいることが苦しい」に変わってしまうことがあり、不登校そのものよりも、朝のやりとりで親子関係が削られていくことがあるので、そういったことはできる限り防ぐことが重要だと私はおもいます。

「行く?行かない?」だけを聞き続けると、親子が苦しくなる

不登校の朝、親御さんが一番言いたくなる言葉は、

「今日はどうするの?」
「行くの?行かないの?」
「降りるの?帰るの?」

だと思います。

けれど、この問いは子どもにとって、かなり重いことがあります。

なぜなら、子ども自身も答えがわからないからです。

行きたい気持ちはある。
行かなければいけないこともわかっている。
でも身体が動かない。
そういう状態の子に、「行くか、行かないか」を迫ると、子どもは考えるより先にフリーズします。

そして、親はその反応を見て、「また黙った!」「また逃げる…」「また私だけが困る」となり、この繰り返しが続くと、朝が親子にとって戦場のようになります。朝は親も子も余裕がありません。

前日の夜や、落ち着いている時間に、短く「あしたはどうする」作戦の会議をしておくほうがよいです。

親がやってはいけないのは、「正解探し」で自分を追い詰めること

不登校の情報は、今とても増えていますよね。

「無理に行かせないほうがいい」
「生活リズムを整えたほうがいい」
「親が変われば子どもは変わる」
「見守りが大事」
「早めに動いたほうがいい」
「学校以外の選択肢もある」

…どれも一部は正しいと思います。

でも、現実の家庭では、これらがそのまま使えるとは限りません。

なぜなら、不登校の家庭で起きていることは、子どもの学校問題だけではないからです。色んなものが絡まっているのが現状だと思われるので、だから、親御さんがネットやSNSで正解を探し続けるほど、かえって苦しくなることがあります。

「見守るべき」と言われても、見守っているうちに昼夜逆転が進むかもしれない。
「登校刺激はよくない」と言われても、学校との接点が切れることが怖い。
「親が腹をくくるべき」と言われても、親にも生活がある。
「子どもの意思を尊重」と言われても、その意思が毎日変わることもある。

だから必要なのは、一般論の正解ではなく、「我が家のばあいはどやねん?」ということです。

 

送迎をやめるか続けるかではなく、「送迎の意味」を変えていく

毎朝学校まで送ることが続いている場合、いきなり送迎をゼロにするのは難しいことがあります。

特に中学生の場合、親が急に手を離すと、子どもは「見捨てられた」と感じることもあります。
一方で、親が何でも引き受け続けると、親の疲弊が進みます。

だから、送迎をやめるか続けるかではなく、送迎の意味を変えていくことが大切です。

たとえば、

最初は学校の駐車場まで。
次は校門の少し手前まで。
次は先生と合流する場所を決める。
次は車から降りるだけの日を作る。
次は保健室や別室に数分だけ入る。
次は朝ではなく放課後に学校へ行く。
次は本人が先生に一言だけ連絡する。

など。このように、登校を「できた/できない」ではなく、接点の回復として見ていくといいかもしれません。

 

MIKURUMIRUが大切にしていること

MIKURUMIRUでは、不登校や母子登校を「学校に行くか、行かないか」だけでは見ません。

もちろん、登校できるようになることは大切ですし、学校との接点が戻ることも、生活のリズムが戻ることも、進路の見通しが立つことも大切です。でも、それだけを急ぐと、親子関係が壊れてしまうことがあります。

特に、毎朝の送迎が続いているご家庭では、親御さんがかなり消耗しています。

子どもを支えたい。
でも、もう限界。
怒りたくないのに怒ってしまう。
優しくしたいのに、顔を見るだけで苦しくなる。
このままでいいはずがないと思うのに、どう動けばいいかわからない。

…そういう状態で、親御さんだけに「見守りましょう」「信じましょう」と言っても、現実的ではありません。

もうボロボロになって信じようにも泉がカラッカラだったら、気持ちは湧き出ません。

朝の会話。送迎の流れ。
学校との連携。子どもの反応。
親の限界。夫婦の温度差。
これまで試してきた支援。うまくいったこと、うまくいかなかったこと。

それらを一つずつ見ながら、「この家庭では、次にどこを動かすとよいのか」を考えていきます。

不登校支援は、親責任論にもせず、子どもを無理やり動かすためのものでもありません。

親子が、もう一度落ち着いて話せるようになったり、学校との接点を、壊さずに整えていったり、親御さんが一人で抱え込まなくて済む状態を作ること。そこから、結果として登校や生活の回復が起きていくことがあり、そこを大事にしたいと思っています。

 

毎朝の送迎がつらくなっている保護者の方へ

もし今、毎朝お子さんを学校まで送っていて、車から降りられない日が続いているなら、まず、「自分の関わり方が全部間違っている」と決めつけないでほしいです。

その朝には、子どもなりの葛藤があります。
そして、親御さんにも限界があります。

大切なのは、送迎を続けるかやめるかを一人で決めることではありません。

その送迎が、今の親子にとって何を意味しているのか。
どこが負荷になっているのか。
どこなら少し変えられるのか。
学校とどのように役割分担できるのか。

 

不登校や母子登校は、家庭の中だけで抱え続けるほど、親子ともに疲れていきます。

「学校まで行けているのに降りられない」
「毎朝の送迎が限界に近い」
「このまま続けていいのか不安」
「子どもへの声かけがわからない」

そう感じている場合は、一度ご相談ください。

MIKURUMIRUでは、親御さんのこれまでの関わりを否定するのではなく、今の親子に何が起きているのかを一緒に整理しながら、現実的に動かせる一歩を考えていきます。

復学だけを急ぐのではなく、親子関係と生活の土台を整えながら、子どもが再び外の世界とつながっていく道を探していきます。

 

それでは、今回はこれで終わりたいと思います。

さいごまでお読みいただきありがとうございました。また次回のブログもお読みいただけると嬉しいです!

まいどん先生(公認心理師)

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