「支援を受けたら母子登校や不登校は乗り越えられるんですか?」
日頃、わたしのもとに母子登校や不登校や行きしぶりなどで悩まれているご家庭からご相談をいただいているのですが、今回は、よくいただくこちらのご質問にお答えしたいと思います。
MIKURU・MIRUはどのような活動をしているの?
私は、家庭教育の専門家でして、家族療法の考え方をベースに、そのご家庭にあった子育ての方向性や向き合い方のご提案をしています。
このようなサポートのことを『家庭教育支援』と呼んでいます。
『支援』という言葉は普段あまり聞き馴染みがないかなと思いますが、
支援とは、「支え助けること」「力を貸す・助けること」を指します。
『援助』ですと「その人に代わって何かを行う」などのイメージが強くなりますが、
支援は『相手の行動や努力を応援』します。
不登校や母子登校に悩まれた際の選択肢は様々で、
・行政の相談窓口に行く(市の教育相談を利用する)
・学校のスクールカウンセリングを利用する
・医療機関を受診する(児童精神科・心療内科・思春期外来など)
・フリースクールを検討する
・教育指導センター(適応指導教室)を検討する
・民間等支援機関の支援を検討する
・自己流で子育てや不登校本などを読んで勉強し実践する
といった方がほとんどかなと思います。
MIKURU・MIRUにご相談いただく不登校や母子登校や行きしぶりに悩まれる方の多くは、
「サポートがほしい。でも、第三者に家に来てもらうような介入をしてもらってまで積極的に不登校をなんとかしたいとは思わない」
「母子登校を家族で乗り越えたい。これまで実は子育てに自信がなかった。これを機に親子の関わりを見直したい」
「不登校をきっかけに親子の関係性が崩れてしまったと思う。うちの家にあった親子の関わりを知りたい。子どものことをちゃんと理解したい」
ということをおっしゃっています。
このように、MIKURU・MIRUには「不登校や母子登校に悩む子どもを直接見てほしい」「復学方法だけ教えて欲しい」ということではなく、
「あくまでも親子の関わりの中で今の悩みを乗り越えたい」
「うちの子に合う関わり方を学んでみたい」
という想いを持たれているかたがご相談をくださっています。
対象は小学1年生~中学3年生までとさせていただいていますが、ペアレンツキャンプからのれんわけ独立をしてMIKURU・MIRUを立ち上げてからは、小学校低学年の母子登校や不登校のケースの方に多く支援をご受講いただいています。
支援のお申込み後の流れはこんな感じです 1~3ヶ月目 ご家庭の状況分析+仮説から推測したそのご家庭に合う対応をアドバイス(この段階では抽象的なアドバイスが多い)+親御さんに実践をしていただく2~5ヶ月目以降 ご家庭の様子が把握でき、具体的なアドバイスを行う+親御さんが家庭教育の実践に慣れてくる6~12ヶ月目 母子登校や不登校の状況が改善されたり、お子さんが成長し自立したり、親子の関係性がよくなったりと変化※が見られます※ご家庭の状況によって異なります。自傷行為などがあったり、精神的な不安定さがあるお子さんの場合や、支援初期のご家族の関係性が深刻化している場合はさらに時間を要します |
家族療法ってなに?
家族療法とは、ご家族の力を借りながら行う心理療法を指します。
決してMIKURU・MIRUのアドバイザーがご家族に対してカウンセリングをしたから状況がよくなるというわけではありません。
あくまでも、親御さんが家庭教育をまなび実践される努力を応援するのが家庭教育支援です。
家族などの「集団」をひとつの「システム」として見ていく考え方を専門用語で「システム論」というのですが、家庭教育ではこの「システム論」を採用しています。
精神分析などを行う場合、過去を掘り下げて無意識下に隠れている悩みや不安や葛藤などから見つめ直していくことになり、膨大な時間と労力を要します。
しかしこのシステム論ですと、プログラミングなんかでいう「エラーを探す」つまり「ご家族の悩みを生み出してしまっている関わりを探す」ことが第一になります。精神分析と比較しますと、それよりも短い期間で状況改善が期待できます。
ポイントは、「エラーを探す」ことであり、「誰のせい」と「犯人探しをしない」というところです。
例えば、『子どもがお父さんを馬鹿にする(以下Aと書きます)』ということが問題と感じてご相談をいただいた際、「Aというエラー(問題)が起きるのはなぜか」を考えます。
その理由のひとつが、「お母さんが子どもの前でお父さんを馬鹿にする発言が日常的に発信されている」場合は、Aというエラーが継続して起こっている理由は「お父さんを馬鹿にする発言が日常的に発信されている」ことですので、その問題を維持するシステムを止めることが求められます。
さらに、「なぜそのような発言が日常的に発信されるのか」を考え、もしそれが「夫婦間で意思疎通ができていない」ことであれば、そこを課題として取り組んでいきます。
このように、問題を維持してしまいやすいシステムになっている現状を正確に理解し、課題を見つけ出して、問題解決システムに変えていく取り組みの応援や助言・支援をするのがMIKURU・MIRUの家庭教育支援です。
そのため、「親を責めていないと言いながらも結局は親の対応ってことですよね」と言われることもあるのですが、決してそうではありません。
たしかに、ご家族のやりとりで、エラーの原因が「親子の関わり」ですと、「親の関わりを変える」ということになりますから、「親の対応でしょ、責めてるじゃないですか」とおっしゃるかたもいらっしゃるかもしれません。
ただ、その親の対応そのものにも、そうならざるを得ない理由が必ず隠されており、単に「親の意識の問題」とは言い切れないと考えています。
なぜなら、私のもとにご相談をいただく方の多くは、
「自分の親にじっくり話を聴いてもらったことがなかった」
「自分の親との関わりにずっと悩み苦しんできていた」
「不登校になったことはないけれども、ずっと生きづらさがあった」
とおっしゃっており、親御さんが「親」になる以前から抱えている悩みや生きづらさが、子育てに関係していることがあるからです。
「よ~し、子どもを徹底的に過干渉するぞ!」「子どもを甘やかして過保護になって、親に依存させるぞ!」
なんて思いながら子育てをしている方はいらっしゃらず、多くの場合は「どうしてこんなにも子育てが辛いんだろう」「なんでうまくいかないんだろう」「なぜ子どもに感情的になって責めてしまうんだろう」と悩んで苦しんでおられます。
そういったしんどさや悩みがある場合、お母さんやお父さんの過去を一緒に振り返りながら、例えば「完璧主義で『べき論』にとらわれる自分はどこから来ているか」から紐解いて、「子育て=しんどいもの」「子育て=母親がひとりで無理をして頑張らないといけないもの」というとらわれもなくしていきましょうとお伝えしています。
どうやって「家庭教育」をまなぶの?
MIKURU・MIRUの家庭教育支援は、『電話カウンセリング』と『親子会話シェア(家庭ノート法)』のふたつにより、親御さんに対応を学んでいただいたり、カウンセリングを受けていただいております。
電話カウンセリングは、週に1回です。
電話のご予約は専用の予約システムをご利用いただき、ご都合のよい日時にお電話をいただいております。(電話はこちらからおかけしておりますので、別途電話代がかかることはございません)
その中で、直近の対応をアドバイスしたり、親御さんのカウンセリングをしたり、ときに子育ての愚痴 😆 をお話いただきます。
『親子会話シェア』というのは、指定したメッセンジャーアプリで親子会話をお送りいただくか、ペアレンツキャンプの家庭ノートシステムをご利用いただいて親子会話をお教えいただいています。
家庭ノート例
実際に家庭ノートを書こうとしますと、様々な発見があります。
「えっ!わたしこんなに声掛けしてたの?!」
「うわっ、わたしこどもの話全然聴いてない~!」
「えー、俺、もっとビシッと叱ってるつもりだったのに…なんだこりゃ」
など、家庭ノートを書こうとして親子のやりとりを振り返るだけでも気づきが得られます。
「家庭ノートを書くことで自分の子どもへの関わりが見えて、具体的にどうしたらいいかわかって楽しい」などのお声をいただいております。
まとめ
MIKURU・MIRUの支援は、「ご家族の関わりを見直していく」「よりよい親子の関わりをまなぶ」ことにより、ご家庭の絆が深まったり、お子さんの自立・自律心や生きる力の獲得を目的としています。
そのため、支援を受けていただいたからといって必ずしも復学が果たされるわけではありませんし、お約束もできません。
ただ、これまでの10年以上の支援者としての活動を通じていえることは、「家庭教育をまなぶことで不登校や母子登校を乗り越えられるケースは多い」ということと、その変化には「親御さんが変わる・努力をされること」が前提となっています。
ケースによっては半年ほどで母子登校や不登校を乗り越えられるご家庭もありますが、すべてのケースでは、親御さんがご自身とお子さんに向き合い続けたからこその結果だと思っています。そして、乗り越えられたケースでは1年以上経ってやっと…という場合もあります。
そのため、「親のまなびも得ながら復学も早期に果たしたい」という方は、訪問カウンセリング法を導入しているペアレンツキャンプやその他の支援機関を検討されるほうがよいかなと感じます。
実際に支援を受けていただき、変化をし始めているケースでは、「こんなにも具体的なアドバイスをもらえたのは初めて。光が見えてきた」「あちこちで見かける母子登校の子への関わりのような一般論じゃない」というお声をいただいています 🙂
親御さんやお子さんの変化が嬉しく、「支援をしていてよかった」と思う日もあれば、親御さんやお子さんが悩んだり苦しんでいる様子に胸が苦しくなったり、対応を考えていたら朝を迎えていた…という日もあります。「もう、親でいる自身がない。消えたい。」とお母さんの心のモヤモヤを正直にお話いただき、一緒に悩む日もあります。
ですが、そんな混乱の時期を乗り越えた先に、親子の絆の獲得や、ご家庭の成長や、嬉しい変化を見るたびに、支援者でよかったと感じています。
👉『stand fm(無料ラジオ)』でもお話していますので、よければ聴いてみていただけると嬉しいです。 |
それでは、今回はこのへんで終わりたいと思います。
最後までお読みいただきありがとうございました!
親まなびアドバイザー まいどん先生
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