共感力を高めるカギは「グレーゾーンに耐える力」
こんにちは!まいどん先生です。
もうすぐ春休み。小学6年生や中学3年生のお子さんを持つ親御さんは、すでに卒業式を迎えておられるご家庭も多いのではないかと思います。
本当におめでとうございます。
こどもの成長というのはとても早く、振り返ればここまでの歩みは一瞬の出来事だったかもしれません。
さて、今回は春休みに向けて、「親の共感力をアップさせるためには」ということをテーマにブログを書きたいと思います。
ネガティブ・ケイパビリティ(消極的能力)
みなさんは、「ネガティブ・ケイパビリティ(消極的能力)」という言葉を知っていますか?
「短期に事実や理由を求めることなく、不確かさ、謎、疑念を持ち続けられる能力」
…のことで、相容れない考えや白黒ハッキリしないグレーゾーンに耐える力を指し、この力を身に付けると共感力がぐんと高まります。
「認知的複雑性」ともいい、この力が低いと矛盾した情報に混乱したり考え方の違う相手に反発しがちです。
この認知的複雑性が高いと、物事を多面的に見れて総合的な判断ができるようになるといいます。
認知のゆがみ
思い込みやレッテル貼りがあると偏った物の見方になりがちですが、同時にいくつかの見方ができると認知の偏りがなくなっていくからです。
誰しも少なからず「認知のゆがみ」というものを持っています。
認知のゆがみとは、心理学者のアーロン・ベックやデビット・バーンズにより提唱、概念化されたもので10項目あります。
1 白か黒か思考(オール・オア・ナッシング)
物事を白か黒、0か100で捉えてしまいがち。すぐに決着をつけたがり、「待つ」ということが苦手です。
2 過剰な一般化
「Aさんとお出かけしたら雨だった。だからAさんは雨女だ」
「夫に話をしようとしたら『今忙しい』と言われた。夫はどんな時も私の話をきいてくれない」
「子どもがテストの結果を見せに来なかった。この子はいつも私に書く仕事をする」
…とこのように、1度おこったことに対して、それがいつどんな時でも同じようなシチュエーションになるという思い込みです。
「どんな時も」「いつも」「常に」「絶対」という決めつけで物事を見てしまっています。
3 マイナス思考
例えば、ご主人に「おお!今日の部屋は片付いていて気持ちいいな」と言われた時に「昨日は散らかっててごめん」と返してしまう。
子どもに「今日のハンバーグ美味しい!」と言われた時に「でも、玉ねぎのカットが大きくなってしまって食感が気に入らない。90点だわ」と返してしまう。
というふうに、褒められたことや目の前のよいことに対して自分で否定してしまったり、そのまま素直に受け止められない状態を指します。
4 結論への飛躍
根拠なく将来を決めつけてしまったり、たまたま人がうっかりポロっと口にしたことに対してその人のことを決めつけてしまうことを言います。
例えば、
子どもが学校の宿題をしなかった場合「この子は将来ニートになる」と捉えたり、
知り合いが「私、○○っていう芸能人苦手。キラキラしている感じがちょっと…」と言ったことに「この人は芸能人が嫌いなんだ」と捉えたり、
ママ友が「その言い方はないんじゃない?」と言ってきた時に、「この人は私のことを嫌っているに違いない」と捉えるなどです。
感情的・反射的に物事を捉え判断してしまっていて、周囲に振り回されやすかったり、孤立化しやすくなってしまいます。
5 フィルタリング
ネガティブなことばかりをフィルターに通してしまい、ポジティブな良いことはなかなかフィルターに通らない状態を指します。
例えば、楽しくお出かけをしていたところ雨が降り白い洋服が汚れた時に「最悪!お出かけなんかするんじゃなかった!」と捉えてしまったり、
人(子ども)のことを思い浮かべたときに、
「だらしない」
「勉強ができない」
「ユーモアがない」
など、批判的なネガティブな要素のみが出てきてしまう状態のことを指します。
6 感情の決めつけ
自分の感情を根拠なしに決めつけてしまいます。
「自分がこう感じたなら相手もそう感じているに違いない(それが事実であるべき)」という捉え方です。
相手の感情は相手のものであり、どう感じていたかは本人にしかわかりません。
「一緒にお出かけをしていてずっと黙られた。退屈だった。だから相手も退屈だと感じていたはず」と自分は捉えていても、実際は「風景が美しくて堪能していたから会話が少なかった」だったり、「一緒にいるのが嬉しくて言葉がでなかった」だったり、相手が感じていることは自分の受け取りとは異なっていることもあるのではないでしょうか。
7 拡大解釈・縮小解釈
「今日はいつも買うコーヒーが買えなかった。だから今日はずっとツイていない日になるだろう」
「子どもが先生に注意を受けて返ってきた。私は母親失格だ」
というふうに、ちょっとした失敗や嫌な出来事に対して最悪の事態に結び付けたり、大げさに物事を捉えてしまいがちです。
また、いいことがおきても「自分なんか大したことない」「これくらい誰でもできる」と縮小解釈してしまいます。
8 レッテル貼り(ラベリング)
過度・過剰な一般化が進むと自分や相手にネガティブなレッテル貼りをしてしまいがちです。
子どもが1日ずる休みをした→「この子は一生学校には行けないんだわ」
子どもが万引きをしてしまった→「この子は犯罪に手を染めるにちがいない」
のように、極端で根拠がないネガティブなレッテル貼りをしてしまいます。
9 個人化
なんでもかんでも自分と結び付けて考えてしまうことを指します。
「家族の仲が悪いのは私のせい」
「この会が盛り上がらなかったのは私のせい」
「あの人が不機嫌なのは私のせい」
というふうに、自分は悪くないことでも自分の責任と結び付けて捉えてしまいます。
10 ~すべき思考
「こうあるべき」「すべき」が強いと、柔軟性がなくガチガチに。
思い通りにいかないとイライラしやすかったりします。
このような認知のゆがみから、偏った物の捉え方や「白黒はっきりつけたい」気持ちが膨らみ「グレーゾーン」に耐えられなくなってしまいがちです。
ネガティブ・ケイパビリティはストレス耐性を高める
「短期に事実や理由を求めることなく、不確かさ、謎、疑念を持ち続けられる能力」
これは親が子の話を「聴く」時や子どもの自立心を育んでいくときにとても大切な能力だと私は思います。
「今、目の前で起きていることが解消されないと私がスッキリしない!」
という思いがあると、子どもが「もう放っておいてよ」「やりたくないって言ってるでしょ!」「ママは口出ししないで」と言って親の介入を嫌がっているのに、親がスッキリしたいからという理由で白黒ハッキリつけさせようとしたり、とことん介入し続けて子どもの問題解決能力を育めなくなるということがあります。
例えば、子どもが約束の時間になっても宿題をしなかったとします。
「いつもこの時間になれば宿題しなさいって言ってるでしょ!なんでやらないの。今すぐやりなさい」
としつこく声をかけてやられるよりも、
「約束の時間だよ。宿題が終わっていないことで寝る時間が遅くならないかママは心配だわ」
「約束を守らないことが続くと、パパから何て言われるかな」
と伝えるのみに留めてその日は様子を見てみる。
モヤモヤはするものの、このような「種まき」的な対応をしたことで子どもが子ども自身で自分のとった選択に対して振り返り考えるということができるかもしれません。
そして翌日以降、ちゃんと約束の時間までに宿題が出来るようになったとすれば、毎日ガミガミ言うよりもいったんはグレーゾーンを受け入れる対応も大切であるといえるのではないでしょうか。
白黒つけられれば、確かに親はスッキリするかもしれませんが、子どもは違うかもしれません。
今、目の前のこの状況では確かにスッキリしなくても、「次の対応につなげていく」「今はとりあえず『耐え』、様子を『見守る』」ということができていくと、その時々で何とかしようとして子どもとバトルしていたのもなくなりやすいですし、親子関係が悪化することもありません。
少しずつ、「短期に事実や理由を求めることなく、不確かさ、謎、疑念を持ち続けられる能力」を身に付け高めていけば、親御さん自身のストレス耐性も高くなっていきます。
そして、視野が広がることで(視点を変えて物事を見れることで)親の共感力もアップしていくでしょう。
まとめ
いかがだったでしょうか。
ネガティブ・ケイパビリティの「短期に事実や理由を求めることなく、不確かさ、謎、疑念を持ち続けられる能力」や認知のゆがみを意識し関わっていくことで、親の共感力やストレス耐性はアップします。
子どもの話を聴きながらモヤモヤされた時は特に、この認知的複雑を意識して「とりあえず話を聞いて話の全体を把握する」ようにしてみましょう。
親子で言い合いになるケースの多くは、親が子の話を聞ききって全体を把握する前に「良い悪い」を判断して意見をしてしまっています。
子どもには子どもなりの言い分や意見があるのは当然と捉え、まずは「じっくり聴くモード」を意識してみましょう。
春休み中、親子で過ごす時間が長い分、親のお子さんへの対応はお子さんに影響を与えやすいです。
子どもを伸ばすことができるプラスの対応を積み重ねていけばいくほど、春休みという短期間でも子どもはぐんと成長します。
是非、過去のブログ記事もご覧いただきながら楽しく家庭教育を実践していただければ嬉しく思います。
それでは、また次回(*^_^*)
親まなびアドバイザー まいどん先生
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