子どもを信じる。積み重ねが状況をよくも悪くもする?

子どもを信じる。積み重ねが状況をよくも悪くもする?

ブログをお読みいただきありがとうございます。公認心理師のまいどん先生です。

今回は、「子どものことを決めつけない」ということをテーマに記事を書いてみたいと思います。

 

うちの子は「こうなんです」とお話されるお母さん

よく、「うちの子は不安が強いんです」「うちの子は一度言ったら聞かないんです」「うちの子はすぐに怠けるんです」と、ひとつの視点のみでお子さんのことを決めつけてしまう親御さんをお見掛けします。

特に支援初期はこういう発言を聴くのですが、

 

まいどん先生
ふむふむ。そうなんですね~

と言いつつも、

めちゃくちゃ正直に書くとこの時の私の心の中は結構ざわついています(;゚Д゚)

 

まだ支援初期の数か月は、私もお子さんのことも親御さんのこともよく分かっておらず、いい意味で偏見がない・まっさらな状態で状況をみています。(見ようとしています)

しかし、「この子はこうなんですよ」と決めつけて言われてしまうと、「親御さんはお子さんのことを違う視点から見ようとしていないな。さて、どうやって異なる視点もあるよと伝えようか…」と考えますし、私もつい親御さんからいただいた情報につられて「そうかも?」と思ってしまう時もあります。

しかし、ひとつの視点で「この子はこうなんだ」と決めつけてしまうと、そのお子さんの潜在能力を引き出せなかったり、可能性を広げられないので、出来ればいつまでも(たとえ付き合いが長くても)偏った視点で見ないようにしたいと支援者としては思います。

 

実際、私の支援を受けておられる親御さんは、この記事を読まれて「たしかに山下先生はこういう視点もあるでしょうかとか、こうかもしれない。こうともいえる。と、うちの子をあらゆる角度で見ようとするよね」と思われているのではと思います。(まわりくどいものの見方とも言う)

 

なんのために手を出すのか

「発達のグレーっぽさがあります。だからお子さんのふるまいは仕方がないのです。受け入れましょう」

…と言うのは簡単だと思っていて、確かに「今この瞬間」においてはそう捉えられなくもないけれども、1年後はどうなっているかわかりません。

子ども達は、様々な経験を経て色んなことを学び、身につけていきます。

成長スピードはそれぞれですが、環境や周囲の関わりが適切であれば、昨日よりも今日。今日より明日…と、子ども達は日々成長し続けることが可能だと私は本気で信じています。

 

しかし、「この子は忘れっぽいんです。だから親の私が子どもが忘れ物をしないようにいつも見張っていないといけないし、声をかけ続けないといけないんです。」と言われてしまうと、私は

まいどん先生
確かに忘れっぽい子だけれども、だからといってこれから先もずっと忘れ物をするとは限らない。それに、そうやって決めつけて常に見張られて、ちょっとうっかり忘れるたびに「ほらね」と言われたら…私なら自信をなくしてしまうし、「もういいや。物の準備はお母さんに任せちゃえ。だって自分は忘れ物をするやつって思われてるんだもん」…と、親に任せてしまってますます忘れ物をしてしまうだろう…

…と考えます。

 

「なんのために親がそのように先回りをして声をかけているのですか」と聞くと、「この子が困らないためです」「先生に叱られないためです」「忘れ物をしない経験をつめば、周囲の信頼を得られる。そうすればそのうち子どもは自ら忘れ物をしないための努力をしだすのでは」と返ってくることが多いのですが、みなさん「子どものためによかれと思って」と仰います。

当然、みなさん子どもの自信を奪ってやろうとは思っていません。

しかし、「子どもの幸せのためにやっている」「子どもが困らないようにしている」というのは果たしてそうでしょうか。

 

子どもの「今」を完成形に近づけるように完璧を求めていないでしょうか。

子どもの「今」が成功していれば、完成していれば未来も成功すると思っていないでしょうか。

 

子どもの力を引き出したい

子ども達は可能性を秘めています。

 

私たち大人もそうだったように、子ども達は日々の経験をコツコツ積み重ねていくことで成長をします。

まるで水族館の水槽にじわじわと1mmずつ水を増やしているように変化をしている場合もあるので、子どもの変化にはなかなか気づけないこともあるかもしれません。

コツコツ積み重ねていく中で、すぐに結果が出ない(ように見える)と「子どもに失敗をさせてみよう」とか「親が先回りをして口出ししないようにしよう」というのを取り組んでいる最中は苦痛でしかないかもしれません。

 

ですので、私が「半年後が楽しみですね」「1年後はこうなってると思いますよ」と伝えても、親御さんも「はい…。そうなったら…いいんですけど…(ほんまかいな)」という返事が返ってくることが多いのですが、半年・1年経ってみると「先生、正直に言うとあの時私は先生の話をあまりちゃんと聞いていませんでした😂気休めじゃない?と思ってたんですけど、先生の言った通り本当に子どもは成長しました」と笑ってお話をしてくださることがあります。

支援者としては、過去に様々な成功例を見てきているので「大丈夫」と思えますし、「変わり始めてる」と気づけることがあるのですが、親御さんはまさにこれから体験されることなので、信じられなくても仕方がないよなと思います。

ですが、「山下先生が言うならそうなんだと思います。子どもを信じてみます」と仰ってくださる方も多く、まずは「子どもは信じられないけど山下の言うことは信じてみたい」というところからでも、子どものポテンシャル・可能性を一緒に信じていきたいと考えながら日々支援を行っています。

 

名将ポポビッチの言葉「101回目に叩いたときに岩が2つに割れても、それは最後の1回によって割れたわけではない。その前に叩いていたからこそ、割れたのだ」

私はNBAバスケが好きなのでバスケを例にあげますが、NBA歴代最多勝記録を誇る名将グレッグ・ポポビッチ監督は、

救いがないと感じたときには、私は石切工が岩石を叩くのを見に行く。
おそらく100回叩いても亀裂さえできないだろう。
しかしそれでも100と1回目で真っ二つに割れることもある。
私は知っている。
その最後の一打により岩石は割れたのではなく、それ以前に叩いたすべてによることを。

…というジェイコブ・リースの名言を用いて、「Pounding the Rock(岩を叩き続ける)」という言葉をモットーに'90年代からずっとチームを導き続けました。

 

結果が見えなくても努力し続け、積み重ねることの大切さを、「大きな岩を叩き続ける石切職人」の話に喩えて語ったものです。

ポポビッチ監督は「凡庸なことは大嫌い」であり、「どのロッカールームにもあるような馬鹿げた言葉にはうんざりしていた」と話すのですが、この「Pounding the Rock(岩を叩き続ける)」という言葉ばかりは、他の「馬鹿げた言葉」とは違い「選手たちに考えさせることができる」と思ったのだそうです。

 

このエピソードは私の支援観にも大きく影響を与えていまして、

「日頃の親子の関わりの積み重ねは、よい関わりであってもまずい関わりであっても、どちらも最後の一打により岩石が割れたのではなく、それ以前に叩いたすべてによるものである」

と考えています。

 

お子さんの話に興味を持たず、口出しを沢山したり、非難したり、人格否定のようなことを言うといったまずい関わりが続いていくことで、いつかどこかで子どもが酷い反抗期を迎えたり、引きこもりになったり、鬱になったり、親子関係が修復不可能なほど溝ができたり…と、最後の親の一言だけでそういう状況を引き起こしたわけではなく、日々の積み重ねがその結果を招いたと考えます。

そして反対に、子どもの話に興味関心を持ち、口出しを控え、子どもを肯定し、子どもの存在を肯定して重要であると伝え続けるといったよい関わりが続いていくことで、たとえそこにたどり着くまでは親子関係がズタボロであっても、最後の親の一言が親子関係修復という結果をもたらしたのではなく、日々の積み重ねがその結果を招いたと考えます。

 

まとめ

「この子がこんなに変わると思いませんでした。そして、私自身もこんなに変わるとは思いませんでした」

「先生が私のことを、私の過去のことまでこんなにも見抜いて理解してくれるとは思いませんでした」

「正直、すぐに答えをださずにひたすらこう考えられる。こうも考えられる…という意見を繰り返して話をする先生の支援スタイルがなんだこれ?と思ったこともあったのですが、支援の後半にすべてのフラグ回収が行われたようなスッキリ感がありました」

こんなご意見を多くいただきます。

 

MIKURU・MIRU(ミクル・ミル)には、親と子の『未来を見る』という思いが込められています。

今は苦手なことがいっぱいであっても、お母さんと離れられなくて不安がいっぱいであっても、ひとりで学校に行けなくても、すぐに切れてしまう子であっても、勉強が苦手な子であっても、宿題がきらいすぎる子であっても、人間関係の構築が苦手な子であっても…どんなお子さんであっても、必ずよいところはあり、隠れている能力があると信じて日々支援をしています。

 

わたしは毎日親子喧嘩ばかりして、子どものことをかわいいと思いたいのに思えない…と悩まれているご家庭もありますが、そのようなケースも、時間をかけてカウンセリングを受けられることで、混沌とした状況を脱したご家庭を多くみてきました。

不安が強くてママと離れられないと泣いていたり、定期的に何かしらの症状を訴えてひとりで学校に行けないと悩んでいるご家庭も、様々な角度から状況を見て、様々な可能性を考えていくことで「自分はひとりで学校に行ける」と自然なかたちでお母さんと離れてひとりで学校に通いだすお子さんを沢山みてきました。

 

そういうケースを見るたびに、「決めつけはよくない。子どもと未来を信じて、将来を見据えて今、よい関わりをコツコツと積み重ねることが大事」と思います。

 

それでは、今回はこのへんで終わりたいとおもいます。

また次回のブログにてお会いしましょう 🙂

まいどん先生(公認心理師)

 

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