
ゲームばかりしている不登校の子に、親ができる声かけとは?
「子どもが学校に行かない間、ゲームばかりしているんです。どうしたらいいんでしょう?」
母子登校や不登校に関わる支援をしていると、この言葉を本当によく耳にします。
朝になっても布団から出ず、ようやく起きたかと思えばゲーム機を手に取り、昼も夜もずっと画面に向かっている。
親としては「怠けているんじゃないか」「依存してしまうんじゃないか」「将来が不安」と、不安と焦りで胸がいっぱいになりますよね。
ゲームばかりしている姿…これは…本当に「悪いこと」なのでしょうか?
今日はこのテーマを、事例とともにじっくり考えていきたいと思います。
ゲームは「依存」ではなく「避難所」
大前提として知っておいてほしいことがあります。
子どもが不登校になってゲームばかりしているとき、それは 「依存」や「怠け」ではなく、安心の避難所として機能している ことが多いのです。
学校という社会で消耗した心を、少しでも癒すために。
「ぼくはここにいるよ」とつながれる居場所を、オンラインの仲間の中に見つけるために。
実際に私が関わった中学1年生の男の子は、母子登校を経て完全不登校になり、一日中ゲームをしていました。
お母さんは「このまま廃人になってしまうんじゃないか」と泣きながら相談の電話をくださいました。
けれど、話をきいてみると、お子さんは生き生きと仲間と協力して冒険を進めていたといいます。
つまり「社会性が失われた」のではなく、居場所を学校からゲームに移していただけでした。
不登校や引きこもりと絡めて考えるとゲームは悪になるけれど、そこは切り離して考え、まずは「ゲームがお子さんにとっての居場所になっていた」ということをどう受け止め、そして居場所を再び外に戻していくか?ということがこのケースについては課題になりました。
デカルト的「コントロール」から、物語を聴くまなざしへ
近代の教育や精神医学は、デカルトやベーコンの影響を強く受けています。
「行動を制御する」「症状をなおす」という発想です。
- ゲームを制限すれば、不登校は改善する
- 行動を正せば、学校に戻れる
こうした見方は一見筋が通っているようでいて、実際には子どもの苦しみを置き去りにしてしまいます。
私が大事にしているのは、「行動」ではなく「物語」に光を当てることです。
「なぜゲームが手放せないのか?」
「ゲームの中で子どもは何を得ているのか?」
この問いを通じてこそ、親子の関係が変わっていきます。
ケース① 母の焦りと子の安心
小学5年生の女の子。
人間関係のトラブルから母子登校を経て不登校になり、毎日YouTubeやゲームばかりしていました。
お母さんは焦りから、
「ゲームばっかりやめなさい!」
「外に出なさい!」
と繰り返しました。
時にはゲーム機を隠したこともありました。
結果、娘さんは激しく反発し、親子関係は悪化。
ついには「お母さんなんて嫌い!」と叫び、口もきかなくなってしまいました。
そこで私は「ゲームを禁止するのではなく、その意味を一緒に考えてみましょう」と提案しました。
実際に「どんな気持ちでゲームしてるの?」と母が尋ねたとき、娘さんは小さな声でこう言いました。
「だって…ここなら安心するんだもん」
その瞬間、お母さんはハッとされました。
ゲームは「依存」ではなく、彼女にとって 安心の避難所 だったのです。
ケース② ゲームを通して「自己効力感」を取り戻す
中学2年の男の子。
不登校になり、1年間ほとんどゲーム漬け。
母は「勉強は?将来は?」と不安になり、毎日のように「せめて少しは外に出なさい」と言っていました。
ある日、勇気を出して「どんな風に遊んでるの?」と母が尋ねると、
彼は嬉しそうに「仲間と協力してボスを倒したんだ」と話してくれました。
そこから母は「ゲームの中でも挑戦してるんだね」と声をかけられるようになりました。
すると彼は、次第に「勉強も少しやってみようかな」と言い出し、やがて通信教育を自分から始めました。
彼が必要としていたのは「将来の不安を突きつけられること」ではなく、
「今、ちゃんと挑戦している自分」を認めてもらうことでした。
親ができる3つの声かけ
ゲームをめぐって親子関係がこじれないようにするには、声かけの仕方が大切です。
- 禁止ではなく、共有する
「そんなゲームばかり!」ではなく、「どんなキャラなの?」「どうやってクリアしたの?」と関心を向ける。 - 評価ではなく、共感する
「ゲームしてばかりでダメ」ではなく、「安心できるんだね」「仲間とつながれるんだね」と気持ちに寄り添う。 - 未来につながる問いをする
「ゲームなんて無駄」ではなく、「そこで得た力は、いつか何かに役立つかもしれないね」と広げる。
親の心が折れそうなとき
ただ…ここで忘れてはいけないのは、お母さん自身の心のケアです。
また、父親をどう巻き込むかも大きな課題です。
ゲームばかりの子どもを見ると「甘やかすな!」と怒る父親も多いです。
その場合は「子どもの今の姿を肯定しつつ、父の役割を考えてもらう」ことが大切です。
例:
「あなたが一緒に笑ってくれると、この子は安心するみたい」
「ゲームのことを聞いてあげてくれるだけで違うの」
父が「正そう」とするより、「共にいる」ことの方が、子どもにとっては大きな力になります。
また、「共にいる」関係性ができてから、タイミングをみて「学校のこと…どう思ってるんや?」ときいたほうが、お子さんも「うーん…実は…行きたいのは行きたいんだけどさ…」と話しやすくなりやすいです。
まとめ:ゲームの「意味」を聴く
ゲームばかりしている不登校の子どもを前にすると、親は不安でいっぱいになります。
でも、その行動の背後には必ず「物語」があります。
- 孤独を埋めるため
- 安心感を得るため
- 自己効力感を取り戻すため
ゲームを禁止する前に、その「意味」に耳を澄ませてみてください。
親が子どもの物語を理解しようとする瞬間、親子の関係は変わり始めます。
学校に行けるようになるかどうか以上に大切なのは、家庭が安心の器になること。
私はそれを「家庭共育支援」と呼んでいます。
親と子が共に学び、共に育つ時間こそが、不登校からの回復に欠かせないプロセスだと信じています。
それでは、今回はこれで終わりたいと思います。
さいごまでお読みいただきありがとうございました。また次回のブログもお読みいただけると嬉しいです!
まいどん先生(公認心理師)
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