
不登校支援歴15年目のMIKURU・MIRU(ミクル・ミル)山下のつぶやき。
支援をしていて、色んなご家庭との出会いと別れがあります。
いつも、「これはご縁だな」と思いながら出会い、別れるのですが…
その中でおもうことを、書いてみたいと思います。
安易な「大丈夫」はもっと大丈夫じゃなくする。
15年ほど不登校支援をしていて、「お母さん、きっと大丈夫だよ。今お子さん学校に行くことがつらくって、家にいるけど、不登校の人が将来引きこもりになる可能性が3割増しになるというデータはあるけど、みんながみんなそういうわけじゃないと思うから」…なんて励ましたこともあったけれど。
支援者歴が長くなればなるほど、親御さんの気持ちや状況をリアルに想像できるようになっていき、今はとうてい大丈夫なんて思えないよな。と安易に「大丈夫」と言わなくなりました。
わたしも親になってみて、ひとりの人間を社会との接続まで導けるのかという責任がのしかかってみて、お母さんたちの声にならない声を、十分に聴き、理解できていなかったところがかなりあったなと思いますし、きっとまだまだ解像度はあげられるんだと思います。
私は不登校・母子登校のことや、支援のことや、文科省での家庭教育支援の検討委員を歴任してきた代表(現在某広域自治体の教育長)に10年師事してきたので、文科省での議論もそれなりに見てきたし知っているし、ましてや自分は多くのご家庭を延べ3000件ほどみてきたので、知識と経験がある分、不登校はなった後が実はより怖いかも、と思うこともあります。
それは、お子さんの不登校や母子登校をめぐり、家庭のカタチが変わってしまうことがあるからです。
不登校になった。母子登校になった。
そこから、子どもに対して向き合えなくて、むしろ排除したい気持ちさえ出てきたり、家族仲が悪くなったり、不登校・母子登校になった子が王様化してしまったり、家族みんなが台風の目に巻き込まれたりして、あんたのせいよ。あんたが弱いせいよと思っても言えない苦しみでぐちゃぐちゃになってしまうからです。
もう二度と不登校や母子登校に戻りたくない
だけど、そんなふうに悩まれるご家庭への不登校や母子登校支援の後半に親御さんたちがよくいう言葉があります。
「もう懲りた」や「繰り返したくない」という言葉です。
懲りた…?と最初は思ったのですが、目隠しされても全力で走るような、無理な頑張りをし続けては、さらに状況が悪化してしまうし、今までのような子育て観からは脱出せねば。ということらしいのです。
これは子どもを脅して言うことを聞かせたり、ルールとペナルティーで管理しようとしたり、失敗させないようにしたり、そういった親の関わりは子どもの自立心を育むことが難しくなる以前に、親子の絆が深まりにくくなってしまうからで、そういったやりとりは短期的には結果が出やすいからつい依存しちゃうんだけど、その子育てをすると子どもは親の顔色や機嫌を伺って行動してしまうし、何よりそういう親子関係では信頼関係が築きにくかったり、お互いを愛し合えないんだといいます。
なぜなら、不登校・母子登校になった親子はどんどん会話がなくなるか、気を使いすぎて会話がぎこちなくなるか、作り物のやりとりになるか…そういう不自然な関係になる痛みが発生するからです。
子どもが学校に行けないことは、つらい。
進学・就職・家庭をもてるのか・親がいつか死んでも生きていけるのか・このままなにもしなくていいのか・両輪のタイヤで稼げなくなってお金はもつのか・いつまでこの状態が続くのか。
そして何より、子どもを愛せない。
とにかく前を向けない。
悪いことばかり考えてしまう。
これらは、痛みなんだと思います。
だけど、支援を受けてみて、後半に「もう戻りたくない」と言う親御さんを見ていると、
『不登校や母子登校のよいところは、変な話だけれどこの痛みがあることなのかもしれない。二度とあのしんどさを体験したくない。本当につらかった。だから、生き方も変えようとされるのかも。』と思います。
支援をしていると、親御さんの人生観がかなりガラリと変わっているんですよね。
「いい子に育てよう」「迷惑かけない子にしよう」「自分のことは自分でできる自立した子にしよう」というより、「愛される子に育てよう」「子ども時代に幸せいっぱいの経験をしてきた子に育てよう」「親の愛をちゃんと感じられた子にしよう」「自分の存在を否定しない子にしよう」という感じで。
親御さん自身も、「はやく子育ておわりたい」から、「今しかない子育ての時間を大事にして、愛していきたい。私、精いっぱい、できる限り『母親』やったぞ!って思いたいです」というふうに、考え方が変わっていかれたかたをたくさん見届けました。
支援の入り口と出口
ところで、支援の入り口と出口とは?と思うと思うんですが、なにが変化したかというと、しんどさがなくなるのはもちろんのこと、親子の関係が変わったり、お母さんやお父さんの人生観や子育て観が変わったりということが起きます。
痛みを伴うからこそ、今までの親子関係はよくなかったのかも。と振りかえられるのかもしれません。
昨今、「不登校は珍しくないし大丈夫。無理させないで。」という主張が増えていますね。
教育機会確保法の施行前から小中学校の不登校はすでに10万人規模でしたが、その後さらに増え、令和6年度には約35万4千人に達しています。
それまでは毎年1万人くらいの増加できていたのが、何十万人もの増加がみられたのも、純粋な教室への「登校」だけを求めない、多様な学び方を選べる時代になったからこそだと思います。
だけど、「子どもは子どもの人生であって、親が必死にかかわらなくていいんだよ。親のせいじゃないよ」、ていうのが多数派になりつつあるけど、果たしてそれが最善なのかなぁと思うことがあります。もちろんそういう考え方もひとつなんだけど、わたしとしては、「じゃあ、子どもとむきあわないというか、お世話はするけど、対話はなくなるんでは?」という疑問があります。
子どもが復学しても、
『自分のなかに、以前のように恐怖で支配したり監視したくなる自分はいる。まだいる。
いるんだけど、そうしたくなる自分と向き合いながら、生き方を転換して
「なんのために子育てしてるんだろう」「私は親としてこの子に何を残してあげられるんだろう」という新しい視点を大事にして生活をおくれば、
きっとこの子の未来は明るい。私たちも、幸せに過ごしていける』
これが大事なんではと思います。
不登校にさせない親を目指したり、自立をはぐくめる親を目指すよりも、子どもの精神的な豊かさや、どんな環境でも幸せに生きられるようなたくましい子を育てていこう。これが、今後の世の中には大切な視点なんじゃないかなと思います。
現に、今のSNSをみていて『もうこの国終わりだよ』というような言葉をみたことがない人はいないんじゃないかと思うんですが、最近、ちょっと未来に対して気が重くなりませんか。
不登校や母子登校になったことで、つらさから、たくさんのことを教わった。
それまでの頑張りすぎる生き方や、対話が後回しになるようなことが習慣化されていたのが、子どもの登校をめぐりそれまでの人生観をかえなければならないということを、非常に大切なことをお子さんは教えてくれようとしているのかもしれません。
お子さんの登校で悩まれるご家庭の多くは、頑張りすぎの結果であることが多いと私は思っていて。
要は、やりすぎなんです。
知識がありすぎるから、色々やりすぎて混線している。
もっとシンプルでいいのに、複雑化しちゃって、がんじがらめになって、だから余計に悪循環になるループになっているとおもう家庭が本当に多いです。
「共感」していませんか。「甘えをうけいれよう」としてませんか。「体験させよう」としていませんか。
「学校にはいきなさい。いかないとデバイスとりあげるよ」と言っていませんか。
「言ってくれないとお母さん元気なくなっちゃう」と塩対応していませんか。
「今日はリフレッシュ休暇にしちゃおっか。お休み券発行ね!大人で言う有休よ!」と言っていませんか。
「学校に行けたらご褒美ね」とやってませんか。「これ買ったら学校行く?」といってませんか。
「○○ちゃんはいけてるのにね」といってませんか。
「今日は学校の前までいけた!えらい!すごい!!」といってませんか。
…これらすべて、ネットや書籍で得た知識ではないでしょうか。
登校をめぐり、叱り、宥め、脅し、褒め…これらを一気に、1か月の間で全部やりました。というご家庭がめっちゃくちゃ多いんです。
そして、そういった親御さんは、頑張り屋がめちゃくちゃ多い。
仕事でも手が抜けないし、努力の鬼。子どもの頃もスポーツやってたとか、受験がんばったとか、頑張れた人が多いんです。
すると、頑張って努力して乗り越えた経験がご自分の自信の裏付けになっているかたにとって、ひとりで学校に行けない子は、意味不明な存在になります。
人間の脳は、「理解不能」と思った瞬間恐怖を抱き、嫌悪感や拒絶感を抱くと言います。
これが子どもを愛せない・かわいいとおもえない正体でもあります。
不登校・母子登校は幸せへの入り口だったのかもしれない
支援を受けた方たちからは、『子どもが身を挺して自分たち親に今のままの子育てではよくないよと教えてくれたのかも。そう考えると、ありがとうという気持ちです』と感謝の言葉をいただきます。
「本当はもっと、親子ともに自分たちらしく生きていいけれど、共働きで生活も回していかなければとなると、そっちに必死になりすぎて、私たちは安心して家族で過ごせていなかったのかもしれない」と。
子供が思春期になれば、行動範囲は広がり、親を求めなくなる。
すると、季節で言えば子どもと過ごす夏は、実は12回くらいしかないことに気づきます。
もうのこり、4回くらいしかないじゃないか。もちろん子供が家を出て行くのはさらに先の話だけど、ちいさくて、母親を、父親を求めて側にいたがるこの時期はもうあとわずか。それなのに、私は、この子を憎み、この子のせいで家族がバラバラだとか、大嫌いだとか、はやく出て行けと思っている。
本当にそれでいいの…?と。
そういうことを呼びかけてくれたのが、子供の登校のことなのかもしれない。
いまのままでは残り時間が少ないよという警告なのかもしれない。
実は不登校や母子登校というのは、親子の関わりを見直せる有意義な出来事なのではないかとすら、支援をしていて思うことがあります。
ふたたび不登校・母子登校になるケース
これは、不登校・母子登校になる前の関わりや人生観がまったくかわってないご家庭によくみられます。
生き方の転換を呼びかけてくれたことを機に生き方をかえなければ再発するというか。
支援の中で、復学後、必要以上に不登校や母子登校に再びなってしまうことをを恐れるかたがけっこうみられます。
再発におびえつづけて、しっかり登校を見続けている…というか、見張っているというか。
またなるんじゃないか、またなるんじゃないかと怯えまくり、その「未来予想」が的中…というより、自ら再びその状態を無意識に吸い寄せる対応をしてしまっているケースもあります。朝の対応で背中を押してよかったところを、「きょうはママがついていこうか?」と言う、とか。いかなくなるくらいならついていったほうがましだと思い、親の不安が強すぎて母子登校が再開…というパターンをよくみます。
「あなたはもう大丈夫」とご自身やお子さんに言い聞かせるのもなかなか危ういです。
これは親の不安や恐怖の裏返しでもあって、子どもにとっては圧です。不登校や母子登校がはじまると多くの人は不安と恐怖に苦しみ、孤独になりがちです。
支援初期のほうにかなり順調に進んだ→親御さんが元のかかわりに戻ってしまって状況悪化…というのがかなりよくあるんです。
たとえば、支援を受けて1か月で復学。とかあるんですが、すると親御さんの中で「ああ、こんなもんか」「この程度か」「なんだ、大したことなかった」と安心してしまって、かかわりが元に戻ってしまうことがあります。
不登校や母子登校を経験した子にとっては、家庭が安全基地である必要がありますが、帰ってきてからも監視干渉がつよかったり、宿題の質をもとめられたり、責められたり。子どもがはなしかけても適当に共感っぽく返して、おわっちゃう。そして、ふたたびいけなくなり、親御さんは二度目の「頭を何かでぶつけられた衝撃を受けた」となる…。
復学を至上命題にしてよいか?
変な話だなと思われるかもしれないんですが、私は支援をしているときに、お母さんに「意味」を考えるようにお話します。
たとえば、うまれてきたいみです。
あなたが生まれてきた意味とは?お子さんがうまれてきた意味とは?
あなたのおこさんが、あなたのもとへやってきた意味とは?
…そんなの、細胞分裂した受精卵がおなかの中で大きくなって、出てきただけですが…と思われるかたもいるかもしれないんですが、だけど、
不登校や母子登校になるためにうまれてきたんじゃないし、不登校や母子登校を終わらせるために生きているんじゃないし、よりよく明るく生きていくには登校に関する悩みはないほうがいいから復学を目指す努力はしますが、だけど仮に不登校であっても、もしお子さんが「本気でオリンピックで活躍したいから」と学校に行かないならそれはまた違うはなしになりますよね。
↑これは極端な話ですけれど、だけど、単に学校に戻そうとしすぎると、大事なものを見失ってしまうことが多いんじゃないか、と私は思っています。
子どもとの対話とかどうでもいいから早く学校に行ってほしい。と考えてしまうのは、復学のことしか考えていないからかもしれません。
子どもの登校のことだけに気を取られてしまって、「これを機に、親子の相性がミスマッチということに気づいてかかわりかたを変えてみよう」と思えていないと、なかなか変化はうまれにくかったり、再度不登校や母子登校になってしまうパターンが非常に多いです。
ほとんどの親子会話は無意識です。無意識から積み重なったコミュニケーションパターンがあります。大体の人がそこに気づきません。
「え?それなりに共感してるし、話聞いてるし。何がだめなの?」となっていたご家庭にとっては、結構不登校や母子登校は受け入れがたいです。
むしろどこか他人事だったのに、目の前に突き付けられてしまって、まさか…と唸って、色々調べた限りのことはやりつくすけど、完敗。そこではじめて子どもの不登校や母子登校を受け入れた。そんなかたが多いです。
だけど、不登校や母子登校は、このままの親子会話では、関係性ではちょっともったいないでっせ。もっといい時間を親子ですごせまっせ。今のままではご家庭に余白や余裕がないですぜというイエローカードでもあるのかもしれません。
復学は本当に復学なのか。
私が支援者となり、1年目に見た小学1年生の子はいま、22歳くらいでしょうか。社会に出ようとする頃ですね。
私は数多くのケースの復学を見届けてきたわけですが、例えば小1で復学したケース。
不登校や母子登校を、あえてわかりやすく「病気」で表現すると、治したわけではないと思っています。
再発の可能性はゼロではないからです。
よく、病気は結果であると言います。それまでの生き方とその習慣化の結果、病気にってしまう。だから結果だけを治療で対処しても、過程をそのままにしていたら、もう一度出てくるのが当たり前だといいます。
私もお子さんの復学を経験された親御さんから、このように言われたことがありました。
「もう、元の私にもどっていいですか」
ううん。だめ。やめとこ?悪いころ言わんから。と言いたいところなんですが、私が言っても言わなくても、たぶんこのお母さんは、「気づいていない」というか、子育て観をかえたいんじゃなくて、お子さんの復学だけを目的にされているから、お母さんの「演じているような窮屈さがつらい」がある…というか実際無理があるから「元に戻ってええか」ということなので、そう言っているんだろうと思い、「うーん。あかんとは言いませんが、お子さんの気持ちも考えてあげてほしいかなぁ。共感を大事にされてください」とか意味のわからん謎の返事をしてしまうんですが…。
「先生。早く復学させてください。一日も早く仕事に復帰したい!」と仰るお母さんは少なくないんですが、仕事ももちろん大事なんだけど、例えば親御さんが仕事に夢中すぎてお子さんがさみしさから不登校になったパターンもあるので、その場合、仕事最優先の生き方から、こうなっているとも言えます。仕事に一生懸命なのは素晴らしいのですが、一方で、親子会話がお母さんの仕事を中心にしすぎていて、お子さんと向き合えていないので、お子さんの困りごとを拾えないまま毎日が過ぎて再び不登校になってしまっていることもあります。
復学させるのは、なぜ?
その目的は、「この子が将来こまらないために」でしょうか。
何のために登校を促すのか?
登校の促しそのものが目的ではないはずです。
学校に行けるようになり、お母さんもようやく過度なストレスと家計の心配などから解放され、余白余裕ができるからこそ、その分親子での時間を増やせる。思い出を増やせるのですよね。
目的を、「より幸せにいきるために」「よりよい未来のために」というところに設定しておかないと、手段の復学どまりだと、うまくいかないパターンや、再度同じように学校に行けなくなるケースが本当に多いです。
そういう揺り戻しのようなケースはたくさん見てきました。つまりは再支援です。
子どもには「自分を信じられる生き方」をプレゼントしよう
「自分を信じられる生き方」を教えることが、これからの時代、とてもとても大事な教育であり、親からのプレゼントなんじゃないか、と私は考えています。
自分を信じると書き、自信です。
毎日の、今日しかない一日のなかで、お子さんには「親に愛された記憶」「親に見守られた記憶」「失敗させてもらえた記憶」「子どもらしくいられた記憶」をいっぱいいっぱい、プレゼントしてみませんか。
子どもなのに、おとなのような振る舞いを求められて演じるのって、実は大人になってから苦労するんです。
子どもに学校に行ってもらいたい。そうしたら働けるから。働けたら収入が得られて安心するから。
たとえばこの考えは、正しいと思います。お金の問題がからむと、人間なかなか冷静でいられないものです。
だけど、登校するためだけに子どもをうんだわけでもないし、登校させるためだけに親でいるわけでもないはずです。
あらゆる情報に翻弄されると、だんだん不安や恐怖でいっぱいになって、登校や自立だけを追うかかわりになってしまいかねません。
不登校に二度とさせない。二度と親に甘えさせない。いきすぎると、子どもを孤独にします。
あなたのお子さんは、なんのために生まれてきたのでしょう。
厳しい時代と環境であっても、幸せに生きられる子に、育てたいと思いませんか。
私は、結局のところは、目の前に起きたことへの意味づけが得意な人が、人生をご機嫌に生きられるんじゃないかって思っています。
「不登校になったのも、これを機に親子のかかわりを見直してごらんってことなのかも」
そう思えたご家庭ほど、大きく変わり、再発もなく、幸せですというご報告を、何年も、何年もいただいているように思います。
それでは、今回はこれで終わりたいと思います。
さいごまでお読みいただきありがとうございました。また次回のブログもお読みいただけると嬉しいです!
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