心が負荷を抱えたとき、人はどう反応するのか

「心が追い詰められる」とき、何が起きる?

ブログをお読みいただきありがとうございます!
今回は、レジリエンスという「心の柔軟性」を育てる視点というテーマで記事を書いてみたいと思います。

支援の現場では、同じような困難やストレスに直面しても、人によって反応がまったく異なることを日々感じます。
ある人は怒りをあらわにし、ある人はひたすら落ち込む。別の人は、冗談で誤魔化したり、まるで何も感じていないような態度をとったりもします。

その多様な反応を丁寧に見ていくと、人が負荷にどう向き合おうとしているのか、そしてその根底には何があるのかが見えてきます。

 

「心が追い詰められる」とき、何が起きる?

人は、自分の限界に近いストレスやプレッシャーを感じると、防衛的な反応をとります。

これは悪いことではなく、むしろ「生き延びるための知恵」とも言えます。

ただしその防衛反応にはいくつかのパターンがあり、無自覚のまま続けていると、かえって状況を悪化させたり、自分自身を苦しめたりすることもあります。

たとえば…

  • 攻撃的になる:「どうせ私が悪いんでしょ」「なんであんたがそんなこと言うのよ」と怒りで相手を威嚇する。
  • 無力感におちいる:「私なんて何をやってもダメ」「もう何もしたくない」と思考停止に陥る。
  • 過剰に合理化する:「これはこういう事情があるから仕方ない」と感情を切り離して論理だけで処理しようとする。
  • ごまかす/ふざける:「あーしんどい!まあ笑うしかないよね」と軽さで包み込む。
  • 人に依存する:「どうしたらいい?」「ねえ、私間違ってないよね?」と他者に答えを求め続ける。
  • 過去のトラウマと結びつける:「またあのときみたいに見捨てられる」と古傷が疼くように反応する。

これらは一見バラバラに見えますが、共通しているのは「心が今、負荷に耐えきれなくなっている」というSOSのサインです。

 

防衛反応の“選び方”は、人それぞれの「歴史」から来ている

では、なぜ人によって反応が違うのでしょうか?

それは、その人のこれまでの経験や環境、身につけてきた対処スタイル(コーピング)によって異なるからです。

たとえば──

  • 子どもの頃から親の顔色を見て生きてきた人は、衝突を避けるために「謝る」「黙る」という反応を選びやすい。
  • 感情を出すと怒られたり無視された経験がある人は、「感じないふりをする」ことで自分を守ろうとする。
  • 逆に、何かを主張しなければ損をすると学習した人は、「強く出ることで自分を保とうとする」ことがある。

つまり、現在の防衛反応は、「その人が生き抜いてきた証」でもあるといえます。

 

でも、どんな反応も「限界を越えるとき」がある

ただ、それらの反応がいつも役立つとは限りません。

怒りは一時的な支配感を与えてくれるけれど、やがて人間関係が壊れて孤立します。
無力感に身を預けると一時は楽だけれど、何も変えられない自分に絶望します。
合理化は便利だけれど、本音や本心が置き去りになり、感情の爆発が遅れてやってくることもあります。

「とりあえずやり過ごす」ことと、「本当の意味で自分を癒す・回復する」ことは違います。
その違いを乗り越えるには、“心の柔軟性”=レジリエンスが必要なんです。

 

レジリエンスとは「跳ね返す力」ではなく、「しなやかに受けとめる力」

よく誤解されがちですが、レジリエンスは「ポジティブ思考で頑張る力」ではありません。
むしろ、痛みやつらさを否定せず、それでも折れずに自分らしく立ち直るためのしなやかさです。

レジリエンスがある人は、つらさを否定しません。
「今はしんどい。でも、私には選べる力がまだ残っている」と、自分の足で立ち直ろうとします。

重要なのは、「誰でもレジリエンスを育てることができる」ということ。
そしてそれは、小さなことの積み重ねでしか培われません。

 

レジリエンスを育てる4つの視点

1. 感情を言葉にする力を育てる

「悲しい」「悔しい」「腹が立つ」…
複雑な感情を丁寧にラベリングできる人は、それだけで自分の気持ちを抱えやすくなります。
「自分の中でちゃんと感じて、名づけられる」ことは、感情を暴発させない第一歩です。

 

2. 「反応」を「選択」に変える

瞬間的に怒る・落ち込む・逃げる…というのは「反応」です。
一度立ち止まって、「他にもできることはあるか?」と問い直すと、そこに「選択」が生まれます。
レジリエンスは、「いつでも別の道を選べる」感覚に根ざしています。

 

3. 支えてくれる関係性をもつ

レジリエンスの研究でもよく言われることですが、「自分のことをちゃんと見てくれる誰か」の存在は、逆境を乗り越える大きな支えになります。
支援の場では、まずその「誰か」になることを私は意識しています。

 

4. 過去の「乗り越えた経験」を見つめ直す

人は、困難を乗り越えた経験があると、「あのときもなんとかなった」という自己効力感を持つことができます。
失敗したことだけでなく、「それでも前に進めた場面」を思い出す習慣は、レジリエンスを高めるリソースになります。

 

「反応」の裏には、いつも「大切なもの」がある

支援をしていると、「この人はなぜこうなるのだろうか…」と理解することに時間がかかってしまうときも、正直あります。
でも、親御さんの「反応のかたち」に目を奪われすぎると、その奥にある「守りたかったもの」に気づけなくなることがあります。

たとえば、

  • 攻撃性の裏には「見捨てられる不安」
  • ネガティブな発言の裏には「期待して傷ついた過去」
  • あきらめの裏には「がんばっても報われなかった経験」

…そんな「かなしみ」や「誇り」がひっそりと隠れていることがあることを忘れてはいけないな、といつも思います。

 

最後に:支援者は「レジリエンス」を育て続ける存在

この記事を読んでくださっている方の中には、子どもを育てている方、誰かを支えている方も多いと思います。

でも、支える側の私たち自身も、日々の負荷の中で揺れ、落ち込み、時に感情をぶつけたくなることもありますよね。
そんなときこそ、「自分のレジリエンスを育てる時間」を持っていいと私は思っています。

負荷に押し潰されそうになることは、弱さではありません。
そこから立ち上がろうとする力こそ、ほんとうの強さだと、私は信じています。


どんな反応にも理由がある。
どんな人にも、立ち直る力が眠っている。

だからこそ、「今つらい」と感じるときには、自分を責めずに、そっと立ち止まってみてほしいです。

あなたの心の中にも、レジリエンスという“しなやかな翼”がきっとあるはずだからです。


 

 

それでは、今回はこれで終わりたいと思います。

さいごまでお読みいただきありがとうございました。また次回のブログもお読みいただけると嬉しいです!

 

まいどん先生(公認心理師)

 

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