支援打ち切りになったケースはどんな感じなんですか

支援打ち切りになったケースはどんな感じなんですか

ブログをお読みいただきありがとうございます。

今年も残すところあとわずか。大掃除が一向に進んでおりません。汗

支援中のみなさんとやりとりをしていて、「私も今日こそは…!」と思うのに、全く進んでおりません…そろそろ動き出さないとまずいなぁ…な山下です。

 

今回は、支援を「卒業」ではなく終了。つまり、打ち切りになったケースについて記事を書いてみたいと思います。

※こちらは最近ではなく、数年前にやりとりしたケースです。

※プライバシーの問題で一部事実をふくむノンフィクションになっております。

小2のわが子が不登校に。

小2のお子さんの不登校に悩むご家庭のお話です。

お母さんは「私は、子どもの復学を諦めたくありません。でも、復学支援のようなものを受けるというより、家庭内でできることがやりたいんです」といいました。

 

家族関係の再構築がしたい。

 

…というのがお母さんのお気持ちでした。

 

はじめにこちらからお伝えしたことは、
『子どもの話を遮らず聴いてあげること』
『学校やフリースクールや教育支援センターに行きなさいと言うことをいったんやめること』
ということでした。

 

最初にお母さんから情報をうかがってみて、これまでの親子のやりとりは、

・お母さんがお子さんの話を遮り親の意見を言いがち

・ご両親ともに感情的になりやすい

・日によって学校、フリースクール、適応教室のいずれかに行きなさいとガミガミ言うことが日常的だった

・お父さんはあまり子どもと関わることがない

こういった様子が見られました。

 

「うちの子は時々場面かん黙のような様子を見せ、自分の気持ちが言えない、優柔不断、繊細、でもわがままを言うこともあるんです」

とお母さん。

 

うーん。場面緘黙「のような」様子とは…?どんな話題や場面でそうなるんだろう?と思う私。

 

お母さんは将来のお子さんの様子に不安があり、ついわが子には話を聴くより話をして「わからせよう」としすぎている。

家に居るよりもどこかの場所に所属してほしくて、そうすれば少しでも「子どもの気持ちが」楽になるだろうという思い込みで、

「学校に行け」「学校に行かないならフリースクールに行け」「教育支援センターへ行け」と必死になって言って従わせようとしてしまう。

 

「お子さんは、どんなやりとりや場面において黙ったり固まるのでしょう?」と聞くと、上のような場面において黙ってしまうというお母さん。うーん。こどもが黙ってしまうのは…気持ちはわからなくもないな…。と思ったのが支援スタートしたての頃でした。

 

リアルな会話が送られてこない

しかし、1ヶ月、2ヶ月…と親御さんには親子会話をお送りいただくのですが、『リアルさ』がまったく見えてこない。
時系列でノートは書いてくださるけれど、なんだか『作り物』のような違和感がある。

 

私の支援は、親子会話をできる限りリアルに送ってもらうという方法をとっていますので、かなりの負担が親御さんにかかります。

こどもがお母さんにべったりだと、記入は子どもが寝静まってからのことが多い。

でも、その時間帯って、お母さんが唯一自分の時間を過ごせる時間のはずじゃないですか。

これを、自分の時間じゃなくて親子会話を送る時間に変える…。

めちゃくちゃ大変です。

 

ただ、起きたことを簡略化して書いたり、箇条書きで書いたり、要約して送られてくると、その場の何ともいえない空気間や、「間」や、ニュアンスが異なってしまいます。

できる限り詳細に書いてみてほしいとお願いをして、お母さんはがんばってくれました。

 

すると、これまで教えていただいていた1日のやりとりには、かなりぬけがあったことがわかりました。

パズルの真ん中のメインとなるピースがかなり抜けていました。

 

これまで送っていただいた「当たり障りない会話」が、お母さんがつい感情的になり、「うざいんじゃ」「死ね、くそガキが」と言ってしまっていた。

お父さんも関わらないけど親子仲は悪くない、というよりも無関心の状態。お父さんが許せないと思うことがあったときだけ子どもに怒鳴り、子どもが萎縮して状況が落ち着いている。

子どもを根本的に認めることが難しくなっていて、「学校に行かせられない私たち夫婦は、親として失格なのではないか?」ということを気にされて、子どもの気持ちに寄り添うよりも「学校に行かせなければ、従わせなければ」と必死になっていた。

 

「そうかぁ…この子、日常的にご両親から否定されがちだったのか…。

特に学校に関する話題となるとお母さんは感情的になるし、とにかく行動しなさいと厳しく言ってくるけど、でも学校には行けないから「黙る」というより「フリーズ」しちゃってるんだろうな…。この状態から、親御さんに何をどう伝えようか…」と悩みました。

 

ストレートに「お母さんのその態度や言葉がけにより本人はどんどんふさぎ込んでしまっている」と言うとメンタルがギリギリのお母さんは崩壊するだろうし、かといって、このままではよくない。

どう気付いてもらおうか…と。

 

親の意見は一貫性があるとよい

「お母さんが不安なのはわかります。そりゃ、何を家でゴロゴロしてるねん!勉強しろ!ニコニコするな!どうやったら学校に行けるようになるのか必死に考えろ!!!!くらいは言いたいですよね。

でも、復学、フリースクール、適応教室、どの選択肢でも、親が絶対にブレては行けないのは、日によって意見が変わることです。

今日は学校に行けといい、翌日はフリースクールに行けといい、その翌日は適応教室に行け…と、

親が言うことをコロコロ変えるかかわりは、子どもを混乱させるので…」

このようにお伝えして、電話では「わかりました!そうですよね…」とお返事くださるお母さんですが、電話の2、3日後には「いい加減にしろよくそガキ!」「出て行け!」と怒鳴ってしまう。

 

それでも何とか時間をかけ、お子さんのよい面をたくさんお伝えし、お子さんへの暴言はかなり減っていきました。
そして、お子さんは年度替わりに「ちょっと行ってみる」と言い、クラスのメンバーが本人曰く「最高だった」とのことで復学を果たし、2ヶ月ほど継続登校ができるようになったころ、このお母さんは「支援やめます」と言いました。

「うちは決して裕福ではないので。もう安定したし、大丈夫かなって。」と。

 

あれ…このお母さん、「どんなに時間がかかっても、子どもの笑顔のために何か月でもやりたい」と言っていたような…。

「お金とかじゃないと思うんです。学校に戻ったら終わりとかじゃないとも思う。根本から変わらないと!って思うんです」とも言っていたような…と思う私。でも、そういわれてしまうと止められないしな…。

 

個人的には、とても不安が残るご家庭でした。

お母さんが気を抜けばお子さんにまた暴言をはいて傷つけてしまうだろう。

お父さんもお母さんと似たようなかかわりをしてしまう方でしたので、ご両親ともにお子さんを『見守る』『支える』そして『愛すること』が出来ないときっとリバウンドしてまた不登校になるだろう。

 

…と思いつつ「わかりました」と支援を終了間近に、お子さんの登校が不安定になり、「やっぱり続けます」とお母さん。

ちょっとだけホッとする私でした。

 

継続登校ができるようになり半年。

お子さんがひとりで登校ができるようになり、半年。

ある日お母さんはこんなことを言います。

 

「うちの主人、根本的に、自分の子どもが嫌いなんですよ。相性なんでしょうね。

すべてが気にくわないみたい。昔からあいつのこと嫌いだと言ってるんですよね。

もう無理です。歩み寄るなんて。

私も、実はあの子のこと、好きじゃない」と。

 

当時の私は支援者として未熟で、ご両親がなぜこのような状態になっているのかまで見れていませんでした。

今振り返ると、明らかにこれやろと思う理由があったのに。

 

じつはこのご家庭のご両親は、実母実父との関係がよくなく、いわゆる「機能不全家族」でした。

ネグレクトっぽさがあったり、心理的虐待があったご家庭で育ったご両親です。

「子どもを愛するとは」ということがよくわからない。

実母実父はすぐ感情的になっていたし、言うこともその時の感情でコロコロ変わっていた。親としてのロールモデルがそういった方であるため、何かがあるとつい自分も子供に感情的にものを言ってしまう。

ご両親ともに「自分のことがよくわからない」状態だった。

 

明らかに負の連鎖が起きていますよね。私は、そこに目を向けられなかったんです。

「自立」や「復学」だけに焦点をあてて、家族療法的にもっとご家庭のヒストリーに目を向けられていませんでした。

 

きっとお子さんは雰囲気から親御さんの自分への思いを感じ取っていたはず。そこはかとない「拒絶感」を…。

 

繰り返す「支援終了→再支援」

お子さんの登校が安定すると親子会話の送付も電話の頻度もかなり下がり、久しぶりに電話をいただいたと思うと、お子さんが家の中で大暴れ。

そのたびに何度立て直しても、すぐに連絡がなくなり、また問題がおきた時だけ連絡をいただく。

支援を終了してしばらくして再支援の申し込みをいただいたあるときは、

「私のカウンセリングを受けていない時は親ではどうすることもできず児相や警察に相談せざるを得なくなったけど、余計にめちゃくちゃになった」と。

支援をスタートしたのは小2ですが、最後に支援の再支援を受けたいと連絡がこなくなったのはお子さんが小5の頃。

このお子さんは、親御さんが支援を受けているときは安定するのですが、離れると奇声をあげ、親を殴り、家をぐちゃぐちゃにして、どうしようもない状況になっていき…月日の経過により親子関係も修復がかなり難しくなっていってしまいました。

特に荒れ始めたのは小4の頃から。思春期に突入する時期です。

これまで抑圧されていたものが、思春期になり「自分っていったい人間なの?」と理解する時期に、これまで親に言われてきた言葉や「心の底では愛せない」という親からのマイナスのメッセージによる傷つきを、暴れることで『叫んで』いるように感じました。

 

問題が起きるたびに対応をお伝えし、立て直しても、すぐに連絡がなくなり、また問題がおきた時だけ連絡をいただく。
家庭教育の話がしたくても、目の前で火事がおきれば消火活動をするしかない状態でした。

そして、再々再…支援くらいをはじめたいというお申し込みをいただいたときに、

「ごめんなさい。これを最後にしましょう。ここまでやってみて状況が繰り返されているならば、完全に私の力不足です。今後も支援を繰り返しても、みんながよい方向に向かう未来が見えません。だから、精一杯支えますから、一緒に頑張りましょう」

…とお伝えし、最後もお母さんは頑張っておられたのですが…なんとも後味の悪い終わり方でした。

 

そのご家庭の出された結論は、

「もううちの子に登校や普通を求めるのはだめなんだと諦めます。そこらへんのフリースクールに行かせることになりました」と。

 

家族の歴史から分析を行う必要があるケースだった

こうやって書いてみても、私がカウンセラーとして力が足りなかったからでしかないなと思うんですが、何より気になるのはお子さんの状態です。

ちゃんと笑えているかな…親御さん以外に自分は愛されているという実感を持てるような人との出会いはあっただろうか…。

そんなことを、考えます。

わたしは、このご家庭の支援をしているとき、「お子さんが学校に行けた瞬間」よりも、「お母さんがお子さんの話をじっくり聴いているやりとりがみられた」瞬間が、ものすごく嬉しくホッとしていました。

お母さんがはじめて『聴く』対応をした時、後でお母さんにその時のお子さんの様子を聞くと「戸惑っているような表情だった。でも、少し嬉しそうだった」と言っておられました。
テクニックに偏った聞き方になっていても、それでもこれから向き合っていくことで「お母さんは実は自分のことが嫌いなのでは」という不信感を持つことがなくなり、いつかお母さんもお子さんを深く理解し、心から愛せるようになるかもしれないと期待したからです。

 

このケースは、ご夫婦間の『パートナーとしての』関係性が薄くなっていました。

お母さんからのご主人への不満はかなり多く、それでいて「この人は変わらないから」と諦めている状況でした。

もしもこのご夫婦が、互いに歩み寄り、支え合える関係だったら…。そんなことも思います。

 

人はなかなかすぐには変われないものです。

それは分かってながらも、正直お母さんが暴言をはいてしまう度、わたしの中に怒りがありました。
『もう!鬱陶しいな!』『クソガキ!しね!』とお母さんが言うことで、子どもにどれだけのダメージがいっているのだろうか。お願いだからもうやめてあげてほしいのに…と。
お母さんの言葉に立ち向かえず、じっと嵐が過ぎ去るのを待つように黙るお子さんの気持ちがよく分かるからです。

しかし、お母さんはきっと「気が付けば口が勝手にしゃべっている」状態だっただろうし、お母さんにも子供の頃の傷つきや悲しみや、何かがあったはず。

 

親御さんは、『子ども』ではなく、『子どもの行動』だけを見てしまっていた。

 

不登校が解消されない限りお母さんのお子さんへの暴言はなくならないと判断し、親子関係の修復などを優先せず、まずは復学を目指す判断をしたことが本当に悔やまれます。

もし、先にお母さん自身の『なぜ暴言がやめられないのか』『なぜ虐待らしきかかわりをしてしまうのか』というところからカウンセリングがはじまっていたら…。

 

うまくいかなかったケースを改めて振り返ってみて

このように、この頃の私はカウンセラーとして未熟だったわけですが、

このケースでは、テクニックに偏った親の対応をお伝えしたことで一時的には好転しても、親御さんがご自身と向き合うカウンセリングができなかったことで、親御さんが「子どもの登校」だけに焦点をあてしまい、登校→元の関わりに戻る→不登校→登校…ということを繰り返しました。「学校に行かせるためだけのテクニカルな親子の関わり」が定着してしまい、親御さんが心からお子さんを愛するための変化はなかった。

 

不登校が解消されたところで、親子関係が変わらなければ、子どもが親に見守られ愛されている感覚を持てなければ意味がありません。

こどもは大きくなって自分を理解するようになった頃に、親への恨みや反発から暴れたり引きこもってしまうこともあります。

このお子さんも、思春期から暴れて『叫んで』いました。

このケースでは負の連鎖が大きな課題でしたが、過保護すぎて木(子ども)にツル(親)がまといついて離れられない状態というのもまた、子どもの精神的な成長をストップさせたり、自分が成長できていないことへの親への恨みなどがあらわれることもあります。

 

家庭への支援をしていると本当にいろんなドラマ・家庭がありますが、こういった支援者として未熟であるがゆえにうまくいかなかったというケースのことを絶対に忘れてはいけない…ということを、2024年が終わろうしているこの時期に振り返ってみた次第でした。

 

それでは、今回はこのへんで終わりたいとおもいます。最後までお読みいただきありがとうございます。

また次回のブログにてお会いしましょう 🙂

まいどん先生(公認心理師)

 

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