不登校から母子登校。そして…②

前回のタロウ君のケースの話の続きです。

(前回のブログをまだご覧になっていないかたはこちら

学校以外の選択をしていたけれど復学を果たしたお子さんのケース

親子の作戦会議で相談してはじまった母子登校。

「週に2回、1日2時間だけ」と決めて、タロウ君はお母さんと一緒に学校に行きます。

授業に参加するのはまだ早いということで、お母さんは学校と相談して別室を用意してもらい、図書室で借りた本を一緒に読んだり先生にもらったプリントを一緒に解くようにして過ごされました。

『この調子で学校に居る時間や通う日が増えていけばいいな。いつか授業も受けてほしい』とお母さんは考えていました。しかし…

母子登校になってから子どもが荒れて幼くなっていった

学校に行かない日は、いつも通りおばあちゃんが家にきてお昼を作ってくれます。

しかし、ある日を境に「いやだ!お母さんが作ったご飯がいい!」とタロウ君はおばあちゃんが作ってくれたお昼ご飯を食べなくなってしまいました。

それが2週間続き、おばあちゃんが作るのはやめてお母さんが毎朝お昼ご飯を用意して家を出て行くようになりました。

はじめはそれで満足していたのに、「今日はおにぎりじゃないと嫌だ!」「麺がいい!」「パンがいい!買ってきて!」と毎朝わがままを言うように。

「今日は材料がないのよ」とお母さんが言っても、お母さんにしがみついて幼稚園児のように大泣きをするようになってしまいました。

それ以外にも、

・「トイレ。来て…」とトイレの度にお母さんを呼ぶようになった

・寝る時におかあさんの二の腕を触りながらじゃないと眠れなくなった

・自ら取り組んでいた宿題ができなくなった

というような変化が出て、些細なことで泣いて暴れることが増えていってしまいました。

気に入らないことがあればすぐにおもちゃをばらまき、片付けない。お母さんがいつも泣きながらそれを片付けました。

 

『何がいかなかったのかがわからない。学校に行きたいと言うから時間を割いて母子登校しているのに、それがいけなかったの?』

『学校に行かせているからこうなってしまっているの?』

『私の関わりのせい?いや…母子家庭だからかも…わたしのせいだ…』

お母さんはこのような自分を責めるような言葉を毎日反芻して考えるようになり、うつ状態の一歩手前まで来ていたそうです。

 

『もう母子登校をやめたい。こんなことになるなら適応教室でよかったじゃない…』

『家に帰るのが嫌。帰宅しても「遅い!」と泣いて怒って甘えてくるだろう。赤ちゃんのように私に甘えて感情をぶつけてくるんだろう。明日は学校に行くのかな。行かないのかな。もう疲れた…』

 

支援受講を決意

そんなお母さんに、水野先生の書籍との出会いがありました。

「散々色んな不登校に関する本を読んできたけれど、主張がバラバラで余計に混乱する。中には『ママがハッピーで居ることが大事』と書かれている本なんかもあり、『そんなの本当の解決じゃないじゃん…』と思い余計にしんどくなりました。いつしかそういう本を見るのを避けていたのですが、水野先生の『無理して学校に行かなくていい、は本当か』というタイトルに惹かれ、すぐに手に取り購入しました。そして、なるほど。私の関わりが原因だったのかと腑に落ちて支援を受けたいと思うようになりました」と後にお話いただいています。

というのも、母子登校になってから、お母さんはタロウ君に無理をさせているのではないか?という不安が大きくなり、出来る限りタロウ君にとって負担になるものを見つけると先回りをして取り除いてきてしまっていたそうです。

 

・雨が降りそうな時はお母さんがタロウ君の代わりに何も言わずに傘を持って家を出る→雨が降れば「はい、傘さして」と差し出していた

・学校で親子で勉強をしているときも、「次はこれをやろう」「その次はこれ」「そこを書く前に、ここに名前を書くのよ、ほら」と指示が多かった

・学校でタロウ君が担任の先生からの質問に答えられない様子の時は全部お母さんがかわりに答えてあげていた

・「(母子)登校で疲れているだろうから」と何でもお母さんがタロウ君の代わりに準備をしていた(歯磨きをするとなれば歯ブラシに歯磨き粉をつけて渡す、お風呂にはいるとなれば着替えをお母さんが準備する、お風呂も「疲れた」と言えばお母さんが洗ってあげる など)

 

小学3年生のお子さんにはかなり幼い扱いといえます。

このような関わりが増えたことで、タロウ君は精神的に幼くなっていってしまい、お母さんが居ないと離れられない状態になってしまっていました。

そして、ペアレンツキャンプで支援を受講されることを決意されました。(この時、復学支援ではなく親のまなびを得たい、ということで家庭教育支援コースを受講されました)この時に担当をさせていただいたのが私です。

支援から半年後。ひとりでの登校

支援を受講され、家庭ノートのやりとりと週に1回の電話カウンセリングがスタートしました。

タロウ君のお母さんは「ノートが真っ赤になって返ってきたのを見て、わたし、笑っちゃったんです。こんなによくない対応してたら、そりゃこうもなるよねと思って。でも、それが嬉しいです。もうどうしたらいいかわからなかったので、親がどう対応を変えていけばいいかがわかるというのがこんなにも心の安定につながるんだって思いました」とおっしゃっていました。

 

ペアレンツキャンプの復学支援は「復学」そして「継続登校」を目指します。

しかし家庭教育支援は「ひとりでの復学」を目的にはしません。あくまでも親のまなびを得て、親が変わるということに重きを置いた支援です。

母子登校を解決するということではなく、『タロウ君の自立心を育む』『親が子の年齢や成長に合わせた関わりを身に付ける』ということを目的に、タロウ君のお母さんには家庭教育を学んでいただきました。

すると、支援3か月目あたりからタロウ君に変化が出てきました。

「今日は給食まで頑張る」

「明日は2時間だけクラスに入る」

という発言が、タロウ君が言い出したのです。

 

おうちの中でも、思い通りにならないと泣いて大荒れしていたのも、気が付けばなくなっていきました。

以前の落ち着いていたタロウ君の状態に戻っていき、お母さんは「もうこれだけでも嬉しいです。家庭教育ってすごいですね」と喜んでおられました。

そして、支援から半年後。長期休み明けの直前に、タロウ君は

 

「もう明後日からは僕ひとりで学校行くわ。」

 

と言い出し、本当にその日からひとりで通えるようになりました。

その後時々「校門までついてきて」「帰り迎えに来て」というお願いをされることもありましたが、タロウ君は不登校と母子登校を乗り越えられました。

(母子登校解決後も家庭内ではいろんな事件がおこりましたが、それはまた別のお話、ということにさせていただきます)

まとめ

母子登校になった経緯や原因はそれぞれです。

不登校から母子登校になり、そこからひとりでの登校が果たせるようになるケースもあれば、母子登校が続くケースや、母子登校から不登校になるというケースもあります。

一言で「母子登校」と言っても、色んな状態が想像できるので、同じ母子登校に悩まれている親御さん同士でも、「うちとまったく同じだ…」とならないとよく聞きます。

タロウ君のケースは、たまたまタロウ君が『学校にいきたいと思っていたこと』『親の関わりを変えてタロウ君の自立心を育んだことでタロウ君自ら「ひとりで学校に通いたい」と思えたこと』だからこそひとりでの登校が果たされたといえます。

必ずしも不登校から母子登校へとステップアップしてがんばっているケースは家庭教育を学べばひとりでの登校が果たされるとは言えませんが、タロウ君のお母さんのように「親の関わりを変えていくことで子どもが成長している姿を見れて嬉しい」というところまではお手伝いが出来るかと思います。

わたしは今、10年間のペアレンツキャンプでの家庭教育支援者経験を経て、のれん分けをしていただき現在MIKURU・MIRUの代表として活動をしています。

支援手法はペアレンツキャンプのままです。家族療法・家族心理学や様々なカウンセラースキルを家庭内で活用できるように作った水野先生考案のPCMというメソッドをベースにした「コンパスメソッド」を用いて支援をしております。

もし、家庭教育支援にご興味があったり、「話だけでも聞いてみたい」と思われた方は、お気軽にお問い合わせください。

2~3日いただきますが、いただいたご相談にしっかりと向き合い・状況を整理し・分析をした上でご返信いたします。

 

また、もしお子さんの不登校で悩まれている方がいらっしゃったら、ペアレンツキャンプさんにご相談ください。(ペアレンツキャンプのHPはこちら )

代表カウンセラーの先生は、令和3年度の文科省「不登校支援に関する有識者会議」で議論をしておられ、とても経験豊富な先生です。

他の先生方も『親子の笑顔のために』と日々全国を飛び回っている信頼のおける先生ばかりなので、不登校復学支援を検討されている方はお試しで相談してみてくださいね♪

それでは、また次回のブログにてお会いしましょう!このブログの内容がどなたかのお役に立てれば幸いです。

 

親まなびアドバイザー まいどん先生

 

P.S:タロウ君のお母さん、この度はブログ記事にしてもよいですかというお願いに快くOKをしてくださり、本当にありがとうございました。

お母さんの「必要なかたに届けば」という想いを、この記事に込めさせていただきました。

 

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