子どものこころの声

子どものこころの声

ブログをお読みいただきありがとうございます。

今回は、親の過保護と子どもの気持ちをテーマに記事を書いてみたいと思います。

 

過保護と子どもの恐怖心

過保護とは、

子どもが助けを必要としていないにも関わらず、また、子どもが自分で出来るようになったにも関わらず親が手を貸し過ぎたり子どもの代わりにやってあげること。

必要以上に子どもを甘やかしたり、要望をかなえすぎたり、子ども自身の自主性を尊重しすぎてしまうこと。

 

一般的には、このように言われています。

また、親に過保護にかかわられてきた子は、不安を感じやすかったり、精神的な脆さがあったり、困難から逃げの選択をしがちになるともいわれます。

 

そして、過保護と関係性が強いのが『扁桃体』です。

私たちが日頃の生活の中で強い感情がこみあげた時や、ネガティブな感情を持った時、脳の中では扁桃体という部分が信号を送ります。
扁桃体は、快・不快、安全・危険、安心・不安など、「本能的な情報」を集め、特に生存を脅かされるような時に活発に反応します。

この扁桃体は私たちの感情を司るのですが、『ネガティブになりすぎる』『イライラが続く』これらは扁桃体を過活動させます。

そうなると、今度は理性を司る前頭葉が扁桃体の過活動を抑えようと働くそうです。

前頭葉は普段から理性を保とうと多くのエネルギーを使いますが、さらに扁桃体に「ちょっと落ち着こう!!」という活動をするわけなので、結果、脳疲労状態になってしまうという流れに… 😐

そうなると、どんどん理性よりも感情が優位になってしまって、より扁桃体が過活動し、「頭ではわかっているけど感情が抑えられない」ということになるわけです。

 

ストレス下で扁桃体が刺激される度合いが人によりどう違うかの研究では、扁桃体が過活動な人は不安症と抑うつ症状になる傾向が強いという結果になったそうです。

いわゆるヘリコプターペアレント(上空にいるヘリコプターのように子どもを監視し干渉する親)を持つ子どもは、逆境に直面すると扁桃体が過剰に反応する傾向があります。

この実験では、「おそらく父母が常に子どもの障害物を避けてあげていたせいで、子どもは過剰に恐怖を感じるようになった」という結論に至りました。

 

 

母子登校中のご家庭でよくみられるパターン

これまで数多くの母子登校中のご家庭への支援をしてきましたが、どのご家庭も同じではありません。様々なケースがあるので必ずしもこうとは言い切れないものですが、なかなか状況が改善しないご家庭では、こういったケースが比較的多いなと感じています。

 

親の傾向

・白黒思考

…白か黒か。0か100か。グレーな状態に耐えることや、待つことが苦手。「今すぐ決着をつけたくなる」

(例:子どもが「18時になったら宿題をする」と言った。しかし17時59分になっても動き出そうとしない。そんな様子にあと1分が待てず、ガミガミ言ってしまう。)

 

・一般化のしすぎ

…ひとつのネガティブな出来事を基準に考えてしまう。ひとつ不安ができると、その不安に引っ張られてすべてをネガティブな考えに結びつけてしまう。

(例:子どもが「学校嫌だな」と言った。過去に母子登校を経験しているので、「また母子登校になるに違いない」と考え、その恐怖心から子どもにきつく言って登校を促してしまう。)

 

・先取り不安

…ネガティブな先読みをしてしまって、そんなふうに考えたり子どもに働きかけなければ問題は起きなかったのに、ネガティブな先読みが原因で困る状況を作りだしてしまう。

(例:子どもがお腹をさすっている様子を見て、親は子どもが学校を行き渋っていることもあり、習い事も嫌だと感じているのだと先読みをして「今日は習い事休む?」と声をかけてしまう。実際はお腹が空いていただけなのに、親の先読みにより習い事を休ませてしまう。)

 

・自責傾向

…うまくいかないとすべてを自分のせいにしてしまう。自分に自信がない。父親や子どもが不機嫌になると、窮屈な思いになる。自分のせいで相手が不機嫌になっているんだという錯覚をしてしまう。

 

よくある支援パターン

 

支援を受けて3か月頃、母子登校ではなくなりひとりでの登校ができるようになった。

この頃、子どもが習い事に行き渋るようになった。

親は「この子に怠け癖をつけてはいけない」と考え、「習い事は1日でも休んではだめ」と押しつけたり、1度習い事に遅刻して行っただけで「あなたはいつも遅刻するんだから」と嫌味を言い(親は無自覚)、それでいて「学校も行き渋ったらどうしよう」のような不安がふくらんでしまう。

 

 

「この子は習い事を行き渋ったり遅刻するから、これから学校も行き渋るだろう」という思いこみが強くなる

親は子に対し、ますます厳しくなり、過保護になる。子どものワンミスへの嫌味が増え、過干渉も酷くなり、親の不安はますます悪化する

再び母子登校になる

短期間でたくさんの、これまで以上の家庭ノートを送り、カウンセリングを熱心に受け、母子登校を抜け出そうと試みる

母子登校ではなくなり、ひとりで再び登校するようになる

安心感とこれまでの反動で、親の関わりが元に戻ってしまって過干渉や過保護になってしまう

子どもの「宿題しない、手紙を出してこない、だらしない」ことへの苛立ちが増して、嫌味がとまらない。『子ども「が」母親をいらだたせる』の思考が強くなってさらに過保護に。

母子登校再発

 

 

このケースの母子登校を抜け出すためのヒント

・お母さんの考え方・認知の癖を変えていく

~べき思考
子は親の言うことを聞くのが当たり前(「育てる」とは、「手出し口出ししてレールをひくこと」と思っている)
白黒思考
一般化のしすぎ
先取り不安
ナチュラルに子どもに嫌味を言ってしまう(無意識)
子どもの視点にたったり共感ができない(親の都合優先でその余裕がない)

 

・改善には時間がかかるが影響を与えていること

夫との関係性はいまいち(頼りにしない、できない)

 

実際の支援ではほかにも登校や習い事への促し方などについて改善したり、カウンセリングが必要な点があります。

しかし、例えばよくあるパターンではこういったことが課題になることが多いです。

 

過保護にかかわられている子の気持ち

私は、母子登校で悩まれているケースに対して、「親のせいで」とは考えません。

なぜなら、支援を受けていただく親御さんは皆さんとても愛情深く、子どものことを本気で心配し、愛していることが十分に伝わってくるからです。

お子さんの性格や、発達障害による特性や、学校環境が要因で母子登校になるケースもありますが、今回ご紹介しているケースにおいては、その想いとお子さんとがかみ合っていないから母子登校になっています。

カウンセリングをしていますと、お母さん自身が「過保護から抜け出せない。抜け出したい」と悩まれていて、それを「お母さんのせいです」とは言えませんし、むしろ痛いほどわかるなと思います。

 

ただ、親御さんへの共感とともに、お子さんへの共感もあります。

例えば、毎日過干渉・過保護にかかわれているお子さんの様子を見る限り、こんなふうに考えている子もいるのだろうなと私は想像しています。

どうしてお母さんは、私の目を見てくれないんだろう。

どうしてお母さんは、私の話を聴いてくれないんだろう。
共感して、うんうん、そうだったの、つらかったねって言ってくれないんだろう。

私がやっちゃった『こと』だけをみて、一方的に怒鳴らないでほしい。

ちゃんと意味があったのに…。
私が放課後に何をするか、勝手に決めないでほしい。
どうするつもりなの?とか、どうしたいの?って聞いてほしい。

お母さんは、いつも私の気持ちをわかろうとしてくれない。

お父さんは、遊びには連れてってくれるけど、怒鳴るばかりでなんでそれがだめなことなのかって叱ってくれない。

家族は、いつも喧嘩ばかり。

できれば

できれば…

私、時間割や宿題を自分のすきなときにやったり、大人扱いしてもらいたいな…
お父さんとお母さんは喧嘩しないでほしいし、家族の怒鳴り声が聞こえることも、お互いのいやなこと言い合うことも、自分を否定することばも、そんなのがない、あたたかくて、ポカポカする、そんな家族だったらいいのに…。

先生に相談したいけど、私は学校で家でのストレスを発散してるから、そんなの聞いてくれないだろうな。いつも先生に叱られて、嫌な顔されるんだもん。

誰も、誰も。

私の本当の悩みは、聞いてくれない。

決めつけて、知ろうとしてくれない。

 

まとめ

今回は、過保護と子どもの気持ちをテーマに記事を書かせていただきました。

なぜ過保護になってしまうのか?については、過去のブログでも詳しく書かせていただいていますのでそちらもご覧いただければ幸いです。

 

母子登校など、何か悩みがうまれたとき、親御さんはなかなか子どもの気持ちがわからずモヤモヤとしてしまうことが多いと思います。

「甘えさせ過ぎたかも」なんて考えてしまって、より厳しい関わりになってしまうかたも多いです。

ですが、母子登校であってもそうでなくても、日々の積み重ねがとっても大事なので、『母子登校から抜け出さなきゃ』以外のところにも目を向け、俯瞰で状況を見て改善できるところは改善していくということも大切なのではないかと思います。

 

 

 

それでは、今回はこのへんで終わりたいと思います。

最後までお読みいただきありがとうございました!

親まなびアドバイザー まいどん先生

 

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