「どうしてできないの」は相手を追い詰めてしまう
9月に入りました。秋を感じさせられる食べ物・新作をあちこちでみかけますね。
私の大好きな秋です。今年も焼き芋をこれでもかというくらいいっぱい食べようと思っている公認心理師の山下です 🙂
今回は、「どうしてできないの」「なんで」という言葉が時に相手を追い詰めてしまう…ということを書いてみようと思います。
わからないことが理解できない
「どうしてできないの?」
わからないことが理解できない。
え、教科書に書いてあるやん。見たらわかるやん。なんでわからへん?わからへんのがわからへん…。
行動はこうすればいいやん。なんで悩むん?それ悩んで意味ある?行動に移せばいいのに、わけわからん…。
こんなふうに思って、わが子にイライラ…ということは、どの親御さんにも一度は経験があると思うのですが、「どうしてできないの?」と言われたって子どもは困ってしまうのですね。
例えば、子どもの勉強を見ているお母さん。
わが子は簡単な問題を解こうとしているときに教科書に答えが書いてあるのに、わからないと言う。
そこで親の理想的な考えや態度としては、「この子はなぜ問題が解けないのだろう。この子にとってはどこが難しいのだろう。どうやったらこの子にもこの問題の解き方がわかるようになるだろうか」と考えるべきところですが、つい「どうしてできないの?(書いてあるやん…なんでなん)」というひと言に集約してしまいがちです。
ですが、そこには「どうして?」という優しい問いかけのニュアンスはなく、「こんな問題ができないあんたはアホやな」というなんとなくの親の考えが子どもにじんわりとつたわっていってしまいがちです。
人は言葉よりも相手の雰囲気や表情から、相手が自分に対してわかってしまう生き物であり、親子であればより簡単に見抜かれてしまいます。
過剰に反応して攻撃してしまう
「わが子が弱い・できない・自立していないということを許せない。裏を返せば、母自身にも同じ弱さなどがあり、それに過敏に反応してしまう。自分の弱さと同じものを子どもも持っている…そんなことにことに耐えられない」
とおっしゃる方は多いです。
約束を破ったわが子に対し、つい説教をしてしまう。
「どうしてこうなったと思う? これからどうする? 」
…と、原因と対策を求められ、子どもは反省点と改善策を話す。
「そんなんで解決するわけない。爪が甘すぎんねん。それでは社会に通用せえへんわ」と思ったお母さんは、さらに「具体的には?」と問いつめます。
子どもが「次からこうする」と言えば、「じゃあこうなったらどうするの」と詰め寄る。
すると、子どもは親に誘導されていき、「次は約束を破らないようにします。具体的には…」と説明させられ、約束させられてしまう。
約束する時、多くの子どもたちは本気で守ろうとはするのですが、「言わされている」約束ほど、自分で心からそうしよう・そうしたいと思っていないので、簡単に破ってしまいやすいです。(その場をしのぐために、誘導されるがままに反応しているだけで心からそうしようとおもっているわけではない)
そして、親御さんは「あんたまた約束破って!!!やるっていったやろ!」と責めてしまう。
まるで、厳しくしかる正当性を得た、水を得た魚のように、子どもが言い逃れできないくらいコテンパンに言い負かしてしまう。
こういったやりとりが日常的なご家庭は実は少なくありません。
そもそも人間はみんな不完全である
でも、そんなふうにわが子とかかわりつつも、親御さんは「自分が棚上げしてることに気づいている」方も多いです。
でも、わが子を叱るのに十分な理由が見つかると、正論を振りかざし攻撃してしまうようなのです。
『あなたは自分で言ったことも遂行できないだめ人間』というようなことを、暗にそういわれているよねとわかるような態度や言葉で相手を約束を盾にした容赦ない攻撃してしまうのです。
でも、そういった関わりをすればするほど子どもの心は離れていき、親御さんも自己嫌悪に陥りやすいので、思ったことをそのまま言葉にするのではなく、いったんその場から離れて「まずは私が冷静になろう」とすることが大事ではないかと私は思います。
…と、書いてはいますが、書くのは簡単ですよね。
『それができたらそもそも言わへんし…悩んでへんよ…』というのが親後さんの思いですよね。
ですが、できる限り、お子さんが自ら前向きな気持ちで行動していこうと思える言い方にかえるひと手間を意識して取り組んでいけるとよいですよね。
どうしてもイライラして、感情的になったり、思いをぶつけてしまいそう…という場合や、「何といって前向きにさせていこうか」と思いつかない場合は、いっそ何もいわないほうが最前の策であることも。
不安になるとストレスはたまりやすい
また、ストレスというのは不安になると溜まりやすいといわれます。
そこで、相手を不安にさせない話し方を心がけることが大切なのですが、これが意外と難しいのです。
自分の考えを否定されたら人はそれだけで不安になってしまう。
それなのに、聞き手はつい「でも」「いや」「そんなことで?」と否定の言葉で返してしまいがちです。
「そうだね」「それで」と肯定的に反応することを意識する。
自分とは異なる価値観や考えを変える必要はなく、私はそう思わないけどあなたはそういう考えなのねと捉えながら、相手の意見を「そっか」「なるほどね」と受け入れる姿勢を意識する。
否定的な反応をして相手を不安にさせるのではなく、一旦受け止める。
…これだけでも、相手は安心し、話しやすくなります。
そして、お互いの認識を合わせるために、「こっちのやり方についてどう思う?」や「なんでそう思ったの?」と質問してみましょう。否定せずに話を聞くことで、ストレスを減らし、建設的な対話が生まれます。
難しく考えず、まずは否定的な反応を避け、一旦受け止めてみましょう。
子どもの気持ちを理解し、明るい雰囲気を作る一歩になるはずです。
まとめ
どうしても親と子とでは経験値が違いますし、大人から見た時に「こうすりゃええのに」という答えが出てしまっていることもあると思います。そして、すでに答えが出ていることについて子どもが行動しないと、親としては非常にモヤモヤするんですよね。
イライラモヤモヤして、我慢できなくなって、ついつい後になって『言わんでええことを言ってしまった…』となるんですよね。
朝になり、「今日こそは言わないぞ」と思っても嫌味を言ったり「なんで」「どうして」と言ってしまうし、嫌な顔をしてしまう。
それは、あなただけではありません。
カウンセリングを受けておられる親御さんがたも、「前回はできたけど今日はダメでした」なんてことは当然あります。
そもそも私自身、心理師という職業に就いていますが、私だって『なんて自分は心の器がちっちゃいんや…』と思うことはありますし、イライラもします。
ただ、イライラしたときに心がけているのは、怒りは二次感情であることから、なにが不安で、心配でイライラしているのか?ということを後で気持ちが落ち着いたときに考えるようにしています。
なかなかおひとりでその答えにたどり着くのは難しいかもしれないので、例えばご主人やご兄弟や友達などに、イライラの理由などを話してみるといいかもしれません。そのうち、「あっ。私これが不安やったんか…」とハッとすることもあるかもしれませんよ。
それでは、今回はこれで終わりたいと思います。
さいごまでお読みいただきありがとうございました。また次回のブログもお読みいただけると嬉しいです!
まいどん先生(公認心理師)
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