家族への暴力・暴言

 支配や反抗ではなく、「安全な場所で出ている限界サイン」 

この記事では、家族への暴力・暴言という背景を 「困りごとという視点」から整理しています。 原因を一つに決めるのではなく、 いま起きていることを 地図の一地点として捉えるための記事です。


① この困りごとを、どう捉えるか

家族に対して、

  • 手が出る

  • 物を壊す

  • 大声で怒鳴る

  • 強い言葉で傷つける

こうした行動が起きると、
親は強いショックと恐怖を感じます。

「なぜこんなことをするのか」
「このままエスカレートするのでは」
「育て方を間違えたのでは」

そう感じるのは、
とても自然な反応です。

まず大切なことは、
この行動を“正当化”もしないし、
“人格の問題”にも結びつけない

という立ち位置です。

家族への暴力・暴言は、
多くの場合、
外で必死に耐えてきた力が、
唯一安全な場所で限界を超えて噴き出している状態

としてあらわれます。


② よくある誤解

この困りごとに対して、
次のように見られがちです。

  • 「親をなめている」

  • 「支配しようとしている」

  • 「甘やかしの結果」

  • 「しつけが足りない」

ですが、
本当に支配したい相手に、
人はここまで無防備な姿を見せません。

家族への暴力・暴言は、
コントロールではなく
コントロールが崩れた結果
であることが多いのです。


③ この困りごとが出やすい背景

家族への暴力・暴言が出るとき、
次のような条件が重なっていることがあります。

  • 学校や社会で、常に自分を抑えている

  • 不安や恐怖を言葉にできない

  • 失敗や評価に強い緊張を抱えている

  • 助けを求める手段が少ない

また、

  • 感覚過敏

  • 不安が強い特性

  • 見通しが立たない状況

が重なると、
刺激や感情の処理が限界を超えやすくなる
ことがあります。


④ 家庭で起きやすいすれ違い

この状態が続くと、
家庭では次のようなすれ違いが起きがちです。

  • 「やめなさい」「いい加減にしなさい」が増える

  • 危険を止めるために、力で押さえ込む

  • 家庭全体が緊張状態になる

  • 親自身が追い詰められる

その中で、
子どもは
自分でも止められない行動に、
後から強い自己嫌悪を抱えている

ことがあります。


⑤ 状態・特性とのつながり

家族への暴力・暴言は、
次のような状態と重なって見られることがあります。

  • 完全不登校

  • 五月雨登校

  • 学校が怖い状態が続いた後

また、

  • 不安が強い気質

  • 切り替えが苦手な特性

  • 刺激に弱い特性

がある場合、
限界を超えたときの爆発として出やすい
ことがあります。


⑥ 見直すと楽になる視点

この困りごとを前にしたとき、
最優先は
誰かが傷つかないことです。

そのうえで、
次の視点が助けになることがあります。

  • 暴力が出る「直前」に何が起きているか

  • 子どもが限界を超える前のサインは何か

  • 親自身の安全と休息は確保できているか

行動だけを止めようとすると、
内側の限界は見えなくなります。


⑦ すぐに判断しなくていいこと

(※ただし大切な注意)

  • 今すぐ原因を特定しなくていい

  • 「将来、犯罪者になる」などと結びつけなくていい

ただし、
危険がある場合は、
家庭だけで抱え込まないことがとても重要
です。

これは「失敗」ではなく、
安全を守るための正しい判断です。


⑧ 関連する視点

  • 不登校の「状態」から考える
     (完全不登校/五月雨登校)

  • 困りごとから考える
     (学校が怖い/無気力)

  • 特性・気質と、親・家族の背景から読み解く
     (不安が強い気質/つらさを言えなかった背景)


最後に

家族への暴力・暴言が起きているとき、
親は
「もう限界だ」
と感じていることが少なくありません。

それでも、
この行動は
誰かを壊すためではなく、
壊れないために必死で出ているサイン

である場合があります。

どうか、
親も子も
一人で抱え込まないでください。

このページが、
危険を軽視せず、
それでも「責めない視点」を失わないための
支えになればと思います。

 

 

ここで扱った視点は、全体の一部です。

他の視点も含めていまの状態を整理したい方は、こちらのページをご覧ください。

「困りごと」から読み解く