ゲーム・ネットから離れられない

 逃避でも依存でもなく、「回復と調整」の居場所になっているとき 

この記事では、ゲーム・ネットから離れられないという背景を 「困りごとという視点」から整理しています。 原因を一つに決めるのではなく、 いま起きていることを 地図の一地点として捉えるための記事です。


① この困りごとを、どう捉えるか

ゲームやネットから
なかなか離れられない。

  • 朝から夜までゲームをしている

  • 声をかけると強く反発する

  • 学校や現実の話を避ける

  • ゲームの世界では元気そうに見える

こうした様子を見ると、
「依存ではないか」
「このままで大丈夫なのか」
と不安になるのは、とても自然なことです。

ただ、
多くの場合これは
現実から逃げている状態ではありません。

現実で受け取る負荷が大きくなりすぎた結果、
比較的安全でコントロールしやすい場所に
身を置いている状態

として起きています。


② よくある誤解

ゲーム・ネットが関係すると、
次のように見られがちです。

  • 「楽な方に逃げている」

  • 「甘やかしているから」

  • 「やめさせれば解決する」

  • 「意志が弱い」

ですが、
単純に取り上げたり制限すると、
現実の負荷が一気にのしかかり、
情緒が不安定になる
こともあります。

ゲームは、
問題そのものというより、
バランスを保つための装置
になっていることが少なくありません。


③ この困りごとが出やすい背景

ゲーム・ネットへの没入が強くなるとき、
次のような背景が重なっていることがあります。

  • 学校や家庭で常に緊張している

  • 評価や比較から距離を取りたい

  • 自分でコントロールできる感覚が少ない

  • 安心できる居場所が現実に少ない

オンラインの世界では、

  • 役割が明確

  • 評価が即時に返る

  • 失敗してもやり直せる

という特徴があります。

これは、
疲れきった心にとって
非常に回復しやすい条件
でもあります。


④ 家庭で起きやすいすれ違い

この状態が続くと、
家庭ではこんなすれ違いが起きやすくなります。

  • 使用時間ばかりが話題になる

  • 「やめなさい」「減らしなさい」が増える

  • ゲーム=悪いもの、という構図になる

  • 親も常に監視モードになる

その結果、
子どもは
ゲームを守るために、
親との距離を広げてしまう

ことがあります。


⑤ 状態・特性とのつながり

ゲーム・ネットへの没入は、
次のような状態と重なって見られることが多いです。

  • 完全不登校

  • 五月雨登校

  • 放課後登校

また、

  • 不安が強い気質

  • 注意の偏り(集中しすぎる特性)

  • 感覚過敏

といった特性がある場合、
現実世界よりも
刺激を選べる環境に安心を感じやすい

傾向があります。


⑥ 見直すと楽になる視点

ゲームを「やめさせる」前に、
一度立ち止まって見てみたい視点があります。

  • ゲームをしているとき、表情はどうか

  • ゲームがないとき、どんな負荷が一気に来るか

  • 現実側に、安心できる居場所はあるか

ゲームを減らすことが目的になると、
本来必要な回復や調整が後回し
になることがあります。


⑦ すぐに判断しなくていいこと

  • すぐに「依存」と決めなくていい

  • ルールを今すぐ作らなくていい

  • やめさせるタイミングを決めなくていい

ゲーム・ネットへの没入は、
いまの状態を読み解く
重要なサイン
でもあります。


⑧ 関連する視点

  • 不登校の「状態」から考える
     (完全不登校/放課後登校)

  • 困りごとから考える
     (無気力/朝起きられない)

  • 特性・気質と、親・家族の背景から読み解く
     (注意の偏り/安心を確保してきた背景)


最後に

ゲーム・ネットから離れられない子は、
怠けているのでも、
壊れているのでもありません。

現実で受け取りきれなくなった負荷を、
自分なりの方法で調整している

その可能性を、どうか忘れないでください。

このページが、
「取り上げるかどうか」を考える前に、
いま何が必要かを考えるための手がかり
になればと思います。

 

ここで扱った視点は、全体の一部です。

他の視点も含めていまの状態を整理したい方は、こちらのページをご覧ください。

「困りごと」から読み解く