評価軸が無意識に残っているとき
この記事では、比較の中で育った背景を 「特性・気質と、親・家族の背景という視点」から整理しています。 原因を一つに決めるのではなく、 いま起きていることを 地図の一地点として捉えるための記事です。
① この背景を、どう捉えるか
「比較されて育った経験」というと、
つい
「親が悪かったのではないか」
「トラウマが原因なのではないか」
と考えてしまいがちです。
ですが、このページで扱うのは
過去の誰かを責めるための話ではありません。
比較の中で育った経験とは、
その環境の中で
生き延びるために身につけてきた“感覚”や“判断の軸”
が、今も静かに働いている、という話です。
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できたか、できなかったか
-
他より上か、下か
-
評価されているか、されていないか
こうした軸は、
不安定な環境や競争の中では、
自分の立ち位置を守るために
とても役に立つものでした。
② 「ちゃんとさせなきゃ」が生まれる理由
比較されて育った人の中には、
自覚のないまま
こんな感覚を持ち続けていることがあります。
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ちゃんとしていないと、安心できない
-
何かが遅れていると、置いていかれる気がする
-
このままで大丈夫、と言い切れない
これは、
「失敗したら関係が危うくなる」
「評価されなければ居場所がなくなる」
という体験の名残であることがあります。
そのため、
親になったとき、
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勉強の遅れ
-
登校の揺れ
-
無気力な様子
を目の前にすると、
頭では「責めたくない」と思っていても、
体が先に反応してしまうことがあります。
それが
「ちゃんとさせなきゃ」
「今、何とかしなきゃ」
という焦りとして現れます。
③ 子どもに響きやすい言葉
この背景をもつ親が、
無意識に使いやすくなる言葉があります。
たとえば、
-
「前はできてたよね」
-
「みんなはもう終わってるよ」
-
「このままで大丈夫だと思う?」
-
「せっかくここまで来たのに」
どれも、
悪気のない言葉です。
ですが子どもにとっては、
「今の自分は足りていない」
「遅れている」
「このままでは認められない」
というメッセージとして
受け取られてしまうことがあります。
特に、
-
勉強がわからない状態
-
無気力で動けない状態
の子どもにとっては、
評価の言葉そのものが
動けなくなる原因になることもあります。
④ 親自身の疲れが、ここに表れる
比較の中で育った背景をもつ親は、
実はとても疲れやすい傾向があります。
それは、
今もなお、
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正解を探し続けている
-
遅れていないかを確認し続けている
-
人と比べずにはいられない
という内側の作業を
無意識に続けているからです。
その疲れは、
-
子どもが動かないとき
-
成果が見えないとき
-
周囲と比べてしまったとき
に、一気に表に出やすくなります。
これは、
親として未熟だからではありません。
長い時間、
評価の中で踏ん張ってきた人ほど、
この疲れを抱えやすいのです。
⑤ この背景と、子どもの状態が重なるとき
比較の中で育った背景は、
次のような困りごと・状態と
重なって現れやすくなります。
-
勉強がわからない
→ 理解より評価が前に立ち、学びが止まりやすい -
無気力
→ がんばること自体が苦しくなり、力を抜く -
自己否定が強い状態
→ 「できない自分=価値がない」と感じやすくなる
このとき起きているのは、
親がプレッシャーをかけている、
という単純な構図ではありません。
親の中にある評価軸と、
子どもの中にある不安や疲れが、
無意識に共鳴している
という関係性です。
⑥ 見直すと楽になる視点
この背景に気づいたとき、
すぐに言葉を変えたり、
考え方を修正する必要はありません。
まず大切なのは、
「自分にも、こういう軸があったのかもしれない」
と、静かに認めることです。
-
比べてしまう自分を責めない
-
焦る自分を否定しない
-
正解を探してしまう自分を止めようとしない
それだけで、
親子の空気は少し緩みます。
⑦ すぐに判断しなくていいこと
-
この背景があるから、今の状態が起きている
と結論づけなくていい -
親の過去を掘り下げなければいけない
と思わなくていい -
今すぐ関わり方を変えなくていい
この視点は、
原因を確定するためのものではなく、
負担のかかり方を理解するためのものです。
⑧ 関連するページ
-
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五月雨登校/完全不登校 -
特性・気質と、親・家族の背景から読み解く
(親ページ)
最後に
比較の中で育ってきた経験は、
あなたが
「もっと良くあろう」
「ちゃんとしよう」
と努力してきた証でもあります。
その力は、
今もあなたの中にあります。
ただ、
今はもう、
同じやり方で踏ん張らなくてもいい場面
なのかもしれません。
このページが、
親も子も
少し肩の力を抜いて
状況を見直すための
ひとつの視点になればと思います。
ここで扱った視点は、全体の一部です。
他の視点も含めていまの状態を整理したい方は、こちらのページをご覧ください。