曖昧さが続くと、不安が一気に高まるとき
この記事では、見通しが必要な特性(ASDぽさ)という背景を 「特性・気質と、親・家族の背景という視点」から整理しています。 原因を一つに決めるのではなく、 いま起きていることを 地図の一地点として捉えるための記事です。
① この特性を、どう捉えるか
次に何が起きるのか。
どこまでやれば終わるのか。
自分はいま、何を求められているのか。
こうした 見通し がない状態が続くと、
強い不安や混乱を感じやすい気質があります。
このページで扱う「ASDぽさ」とは、
診断名の話ではありません。
出来事を「構造」として理解し、
先が見えることで安心できる特性が、
現在の環境の中で
どのように負荷として現れているかを
読み解くための視点です。
見通しを必要とすることは、
融通がきかないことでも、
わがままでもありません。
それは
安心して力を使うための前提条件
なのです。
② なぜ「急な変更」が、こんなに苦しいのか
見通しが必要な特性をもつ子は、
頭の中で常に
「次はこうなる」という構造を組み立てています。
-
時間の流れ
-
役割の順番
-
期待されている行動
これらが想定通りに進むことで、
安心してその場にいられます。
しかし、
-
急な予定変更
-
曖昧な指示
-
「あとで」「そのうち」という表現
が重なると、
頭の中の構造が一気に崩れ、
不安が感情として噴き出す
ことがあります。
それは理解力が低いからではなく、
理解しようとする力が強いからこそ起きる反応
です。
③ よくある誤解
この特性は、
次のように誤解されやすい傾向があります。
-
「こだわりが強すぎる」
-
「柔軟性がない」
-
「空気が読めない」
-
「融通がきかない」
ですが、
こだわりとは
**安心を保つための“支点”**であり、
融通がきかないのではなく
融通がきくための準備が必要
なだけ、という見方もできます。
④ この特性があると起きやすいこと
見通しが必要な特性があると、
次のような状態が見られることがあります。
-
朝や切り替えの場面で止まりやすい
-
想定外の出来事で固まる、または爆発する
-
細かい確認が増える
-
安心できる手順に強くこだわる
これらは、
反抗でも操作でもありません。
安心を取り戻すための行動
として起きている可能性があります。
⑤ 家庭で起きやすいすれ違い
この特性があると、
家庭では次のようなすれ違いが起きやすくなります。
-
親は「少し臨機応変にしてほしい」
-
子どもは「急に変えられるのが怖い」
-
親は「そんなに気にしなくていい」
-
子どもは「気にしないと動けない」
その結果、
子どもは
不安を言葉にする前に、
行動や感情で表す
ようになることがあります。
⑥ この特性と、他の背景・状態が重なるとき
見通しが必要な特性は、
他の条件と重なることで
負荷が増えやすくなります。
たとえば、
-
心配性・過保護になりやすい背景
→ 見通しが過剰に固定され、崩れたときに混乱が大きくなる -
期待に応え続けてきた関係
→ 失敗できない構造が強まり、不安が爆発しやすくなる -
つらさを言えなかった背景
→ 不安を言語化できず、行動として出やすくなる
この重なりの中で、
-
校門タッチ登校
-
別室登校
-
家族への暴力・暴言
といった状態が
現れることがあります。
⑦ 見直すと楽になる視点
この特性に気づいたとき、
必要なのは
「柔軟にさせること」ではありません。
見直したいのは、
**環境側の“曖昧さ”**です。
-
予定や流れを、できるだけ言葉にする
-
変更がある場合は、早めに伝える
-
完璧でなくていい前提を共有する
見通しが立つと、
この特性をもつ子は
驚くほど力を発揮する
ことがあります。
⑧ すぐに判断しなくていいこと
-
この特性があるから不登校になった
と決めなくていい -
こだわりをなくさなければならない
と考えなくていい -
すぐに慣れさせようとしなくていい
この視点は、
原因を固定するためのものではありません。
これ以上、
不安が行動として噴き出さないための
「条件整理の視点」です。
⑨ 関連するページ
-
困りごとから考える
家族への暴力・暴言/学校が怖い -
不登校の状態から考える
校門タッチ登校/別室登校 -
親・家族の背景から読み解く
心配性/期待/つらさ
最後に
見通しが必要な特性は、
不器用さではありません。
世界を理解しようとする力が、
とても強いだけ
なのかもしれません。
このページが、
「この子は困らせているのではなく、
安心できる条件を探しているのかもしれない」
と捉え直すための
ひとつの手がかりになればと思います。
ここで扱った視点は、全体の一部です。
他の視点も含めていまの状態を整理したい方は、こちらのページをご覧ください。