できない自分を責め続けてしまうとき
この記事では、自己否定が強くなる背景を 「特性・気質と、親・家族の背景という視点」から整理しています。 原因を一つに決めるのではなく、 いま起きていることを 地図の一地点として捉えるための記事です。
① この背景を、どう捉えるか
「自己否定が強い」と聞くと、
考え方の問題や、自信のなさとして
捉えられることがあります。
けれど、このページで扱うのは、
性格や意識の問題ではありません。
自己否定が強くなる背景とは、
うまくいかない状況の中で、
理由を外に見つけられず、
自分に引き受け続けてきた状態
のことを指します。
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できないのは自分のせい
-
迷惑をかけているのは自分
-
周りが困るのは自分が悪い
そう考えることで、
状況を理解しようとしてきた結果、
「自分を責める形でしか説明できなくなった」
という状態です。
② なぜ、自己否定が止まらなくなるのか
自己否定が強くなる背景には、
「責任感の強さ」があります。
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周囲を困らせたくない
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期待を裏切りたくない
-
空気を壊したくない
こうした気持ちが強いほど、
うまくいかない出来事が起きたとき、
「自分が悪い」と考えたほうが、
話が早く、納得しやすい
という構造が生まれます。
特に、
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理由を説明しても理解されなかった
-
つらさを言葉にする余地がなかった
-
「がんばればできる」と言われ続けた
こうした経験が重なると、
原因を自分の内側に集める
ことが習慣になります。
③ 無意識に起きやすい心の動き
この背景があると、
子どもの内側では次のようなことが起きやすくなります。
-
失敗する前から「どうせ無理」と思う
-
できなかった理由を説明しない
-
褒められても受け取れない
-
成功しても安心できない
これは、
自信がないからではありません。
期待に応えられなかったときの痛みを、
これ以上感じないための防衛
として起きている反応です。
④ 家庭で起きやすいすれ違い
自己否定が強い状態では、
家庭で次のようなすれ違いが起きやすくなります。
-
親は「励ましているつもり」
-
子どもは「責められていると感じる」
-
親は「そんなことないよ」と否定する
-
子どもは「分かってもらえないと感じる」
親がかけた言葉そのものより、
「できない自分を前提に話が進んでいる」
と感じることが、
子どもの苦しさにつながることがあります。
⑤ 親自身の背景と重なるとき
自己否定が強い状態は、
親の背景と重なることで
さらに強まりやすくなります。
たとえば、
-
比較されて育ってきた背景
→ できない自分=価値が下がる感覚 -
期待に応え続けてきた背景
→ 成果を出せない自分への失望 -
つらさを言えなかった背景
→ 助けを求められず、自分を責める
この重なりの中で、
子どもは
自分を責めることで
関係を保とうとする
ことがあります。
⑥ この背景と、状態・困りごとが重なるとき
自己否定が強くなる背景は、
次のような状態と
深く結びつきやすくなります。
-
無気力
→ どうせやってもダメ、という感覚 -
勉強がわからない
→ できない自分を見たくなくなる -
完全不登校
→ 評価される場から距離を取る -
身体症状・嘔吐不安
→ 自責の緊張が、体に出る
ここで起きているのは、
怠けでも逃げでもありません。
これ以上、自分を傷つけないための
距離の取り方
であることがあります。
⑦ 見直すと楽になる視点
自己否定が強いとき、
「自信をつけさせよう」
「前向きに考えさせよう」
とする必要はありません。
まず大切なのは、
「責めなくても説明できる言葉がある」
と知ることです。
-
疲れていた
-
条件が合っていなかった
-
今は力が残っていなかった
こうした言葉が増えることで、
「全部自分のせい」
という構図から、
少しずつ離れやすくなります。
⑧ すぐに判断しなくていいこと
-
自己肯定感を上げなければならない
と考えなくていい -
考え方を変えさせようとしなくていい
-
今すぐ前向きにならなくていい
この視点は、
自分を責める癖を直すためのものではありません。
これ以上、
一人で責任を引き受け続けなくていい
という、
負担の置き場所を変える視点です。
⑨ 関連するページ
-
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無気力/勉強がわからない -
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HSCぽさ/ADHDぽさ
最後に
自己否定が強くなる背景は、
弱さではありません。
責任を引き受けてきた結果
として生まれた状態です。
このページが、
「自分が悪いからこうなった」
という一択から、
「そうなる理由があった」
という見方へ、
少し視野を広げるきっかけになればと思います。
ここで扱った視点は、全体の一部です。
他の視点も含めていまの状態を整理したい方は、こちらのページをご覧ください。