がんばりを止めるのが怖いとき
この記事では、期待に応え続けてきた背景を 「特性・気質と、親・家族の背景という視点」から整理しています。 原因を一つに決めるのではなく、 いま起きていることを 地図の一地点として捉えるための記事です。
① この背景を、どう捉えるか
「期待に応えてきた」と聞くと、
一見、恵まれた経験のように見えることがあります。
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期待されていた
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認められていた
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頼りにされていた
けれど、このページで扱うのは
期待されること自体が問題だった、という話ではありません。
ここで扱うのは、
期待に応え続けることで、自分の限界や本音を
後回しにすることが習慣になっていった背景です。
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期待に応えると関係が保たれる
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役に立っていると安心できる
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がんばっている自分でいないと不安になる
そうした感覚が、
静かに、深く、体に染み込んでいくことがあります。
② 「がんばり」を止めるのが、なぜ怖いのか
期待に応え続けてきた人にとって、
がんばることは「選択」ではありません。
がんばっている状態が、
自分の存在を保つ条件になっている
ことが多いからです。
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がんばらなかったら、見捨てられるのでは
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役に立たなくなったら、必要とされないのでは
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休んだら、怠けていると思われるのでは
こうした不安は、
頭で考えて生まれたものはなく、
過去の関係の中で身についた感覚です。
そのため、
親になったとき、
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子どもが止まる
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動かない
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がんばらない
という姿を見ると、
自分の中の不安が
強く揺さぶられることがあります。
③ 無意識に起きやすい関わり方
この背景をもつ親は、
意図せず次のような関わりを選びやすくなります。
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「もう少し頑張ればできるよ」と励ます
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子どもの回復を“成果”として確認したくなる
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小さな前進を過大に期待してしまう
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休んでいる状態に耐えられなくなる
これらは、
子どもを追い込むための関わりではありません。
「止まってしまったら戻れなくなる」
という恐怖から出ている行動
であることが多いのです。
④ 家庭で起きやすいすれ違い
この背景があると、
家庭では次のようなすれ違いが起きやすくなります。
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親は「応援しているつもり」
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子どもは「急かされていると感じる」
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親は「この子の力を信じている」
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子どもは「休むことを許されていないと感じる」
その結果、
子どもは
「頑張れない自分はダメなんだ」
「止まったら愛されないかもしれない」
という感覚を
抱えてしまうことがあります。
⑤ 親自身の疲れが、ここに表れる
期待に応え続けてきた親は、
実はとても疲れています。
けれど、その疲れに
自分で気づきにくいことが多いのです。
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疲れていても、休む理由が見つからない
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限界でも「まだ大丈夫」と思ってしまう
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立ち止まることに罪悪感がある
子どもの不登校や無気力が続くと、
親自身もまた
「結果が出ないがんばり」を
続ける構造に入りやすくなります。
⑥ この背景と、子どもの状態が重なるとき
期待に応え続けてきた背景は、
次のような状態・困りごとと
重なって現れやすくなります。
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無気力
→ がんばること自体が苦しくなり、力を抜く -
完全不登校
→ 期待の場から、いったん距離を取る必要が出る -
家族への暴力・暴言
→ 抑え続けてきた感情が、安全な場所で噴き出す
このとき起きているのは、
親がプレッシャーをかけている、
子どもが怠けている、
という話ではありません。
「がんばることで関係を保ってきた歴史」と
「もうがんばれない状態」が、
同時に存在している
という状況です。
⑦ 見直すと楽になる視点
この背景に気づいたとき、
まず大切なのは、
「がんばらない選択肢が、
この家族にはなかったかもしれない」
と理解することです。
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休ませること=甘やかし
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止まること=後退
という二択から、
少し距離を取るだけで、
親子の緊張は和らぎやすくなります。
親が
「今は結果を出さなくていい」
と心の中で思えるようになると、
子どもも
「このままでいてもいい」
という感覚を取り戻しやすくなります。
⑧ すぐに判断しなくていいこと
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この背景が原因だと決めなくていい
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親の生き方を変えなければならない
と考えなくていい -
すぐに関わり方を変えなくていい
この視点は、
努力を否定するためのものではありません。
努力しか選べなかった時代を
ねぎらいながら、
別の選択肢を増やすための視点です。
⑨ 関連するページ
-
困りごとから考える
無気力/家族への暴力・暴言 -
不登校の状態から考える
完全不登校/五月雨登校 -
特性・気質と、親・家族の背景から読み解く
(親ページ)
最後に
期待に応え続けてきた背景は、
あなたが
信頼に応え、責任を引き受けてきた証
でもあります。
その力があったからこそ、
ここまでやってこられた。
ただ、
これからは
その力を使い続けなくてもいい場面
に、差しかかっているのかもしれません。
このページが、
がんばる以外の選択肢を
静かに置く場所になればと思います。
ここで扱った視点は、全体の一部です。
他の視点も含めていまの状態を整理したい方は、こちらのページをご覧ください。