がんばりが見えにくく、疲れがたまりやすいとき
この記事では、刺激を深く受け取る気質(HSCぽさ)という背景を 「特性・気質と、親・家族の背景という視点」から整理しています。 原因を一つに決めるのではなく、 いま起きていることを 地図の一地点として捉えるための記事です。
① この特性を、どう捉えるか
音、光、人の気配、空気の変化。
周囲が気にも留めない刺激を、
自然と受け取ってしまう子がいます。
このページで扱う「HSCぽさ」とは、
診断やラベルの話ではありません。
世界を受け取る感度が高い、という気質が、
いまの生活環境の中で
どのように負荷として積み重なっているか、
その「起きていること」を言葉にする視点です。
刺激を深く受け取ること自体は、
弱さではありません。
それは本来、
-
周囲に気づける
-
人の感情に敏感
-
微細な変化を察知できる
という、大切な力でもあります。
ただし、
刺激の多い環境では、
疲労がとても早く蓄積します。
② なぜ「がんばっているのに、伝わらない」のか
刺激を深く受け取る子は、
外では驚くほど踏ん張ります。
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周囲に合わせる
-
空気を読む
-
迷惑をかけないようにする
その結果、
-
学校では「問題なさそう」に見える
-
家では一気に崩れる
という姿になりやすくなります。
このとき起きているのは、
切り替えができていないのではありません。
外で使い切った力を、
安全な場所で手放しているだけ
ということがあります。
③ よくある誤解
この特性に対して、
次のように受け取られることがあります。
-
「気にしすぎ」
-
「繊細すぎる」
-
「慣れれば平気になる」
-
「甘えているだけ」
ですが、
刺激の受信量が多い場合、
「慣れる」前に
疲れ切ってしまうことがあります。
また、
我慢できている=大丈夫
ではありません。
我慢できているからこそ、
限界が見えにくい
という側面があります。
④ この特性があると起きやすいこと
刺激を深く受け取る気質があると、
次のような状態が現れやすくなります。
-
朝や登校前に強く疲れを感じる
-
行ける日と行けない日の差が大きい
-
家に帰ると何もしたくなくなる
-
身体症状として不調が出る
これは、
心が弱いからではありません。
刺激処理に多くのエネルギーを使っている
という、身体の反応です。
⑤ 家庭で起きやすいすれ違い
この特性があると、
家庭では次のようなすれ違いが起きやすくなります。
-
「学校ではできているのに、なぜ家では?」
-
「甘えているのでは?」
-
「少しずつ慣らせばいいのでは?」
ですが、
家で崩れているのは、
家が「崩れても大丈夫な場所」だから
という可能性があります。
親にとっては安心でも、
同時に
親の前でしか限界を出せない
という状態でもあります。
⑥ この特性と、他の背景・状態が重なるとき
刺激を深く受け取る気質は、
他の条件と重なることで
負担が増えやすくなります。
たとえば、
-
比較されて育った背景
→ がんばりを見せ続けてしまう -
つらさを言えなかった背景
→ 疲れを言葉にできない -
期待に応え続けてきた関係
→ 限界を超えても止まれない
この重なりの中で、
-
無気力
-
五月雨登校
-
嘔吐不安・身体症状
といった状態が
あらわれることがあります。
⑦ 見直すと楽になる視点
この特性に気づいたとき、
何かを矯正したり、
強くしたりする必要はありません。
見直したいのは、
本人の性質ではなく、
環境とペースです。
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刺激を減らせる時間があるか
-
一人になれる余白があるか
-
「何もしない時間」を許されているか
刺激を深く受け取る子は、
回復の時間があってはじめて、
力を発揮できます。
⑧ すぐに判断しなくていいこと
-
この特性があるから不登校になった
と結論づけなくていい -
強くならなければいけない
と考えなくていい -
今すぐ環境を変えなければならない
と思わなくていい
この視点は、
原因を決めるためのものではありません。
これ以上、
本人が気づかないところで
消耗し続けないための
「調整の地図」です。
⑨ 関連するページ
-
困りごとから考える
無気力/嘔吐不安・身体症状 -
不登校の状態から考える
五月雨登校/完全不登校 -
親・家族の背景から読み解く
比較/つらさ/期待/心配
最後に
刺激を深く受け取る気質は、
扱いにくい性質ではありません。
ただ、消耗しやすいだけ
なのかもしれません。
このページが、
「この子は弱いのではなく、
疲れやすい条件をもっているのかもしれない」
と捉え直すための
静かな手がかりになればと思います。
ここで扱った視点は、全体の一部です。
他の視点も含めていまの状態を整理したい方は、こちらのページをご覧ください。