子どもが「明日学校行きたくない」「本当は○○が嫌」と口にする時、何が起きているの?
ブログをお読みいただきありがとうございます!
MIKURU・MIRU代表 公認心理師の山下です 🙂
さて、今回も心理学をふまえて「学校に行きたくない」と言葉にする子どもに何が起きているのか?ということをテーマに記事を書いてみたいと思います。
「明日学校行きたくない」「本当は○○が嫌」と言われた時、親は・・・
・・・・こんな感じでにこにこでお子さんが帰宅してきたとします。
こんなふうにご機嫌で学校でのことをお話してくれると、「給食を楽しめていて、来週の登校も安心だわ」なんて思ったりしますよね。
しかし、日曜日の夜・・・
・・・こんなこと、ありませんか?
「え、え?!なんで?給食おいしい、嬉しい、カレーだ、スパゲティーだって言ってたのに?!本当は給食なんて大嫌いってドユコト…??????」
と、混乱しますよね。
気をつけたいのは『ネガティブ発言前の子どもの様子と親子のやりとり』
こういうやりとりが起きたとき、多くのケースでは事前に以下のようなことが起きていたりします。
・親が子どもに過干渉に関わりすぎた
(例:「宿題いつやるの?今やりなさい」としつこく声をかけた/ご飯を残す残さないで厳しくした/お風呂に入る時間のことで言い合いになった など) ・姉弟げんかをした。その後、親が下の子の肩をもって上の子だけが叱られたり注意を受けた ・子どもは親に自分の要求を飲んでもらえずに、ふてくされていた ・子どもは思い通りに遊べなくてイライラモヤモヤしていた ・親子で言い合いをしていた |
この時点で、なんとなく「わかったかも」と思われた方もいらっしゃるかもしれませんが、この場合、
「学校に行きたくない」という言葉はその発言をする前に起きた出来事に対する不満が原因
である可能性があるということです。
支援中の方からは、
と心配してご連絡をいただくことも多いのですが、私は必ずその発言の前に何が起きていたかを確認しています。
唐突に言い出したのか。土日の過ごし方はどうだったか。土日のお子さんの様子はどうだったか。発言前に何かが起きていたか。
少なくともここがわからないことには、本心なのかどうかや、状況の判断が出来ないからです。
そして大体の場合は、「学校行きたくない」発言の直前くらいまではご機嫌だったということが多いです。
心理学:「気分一致効果」と「気分状態依存効果」
そこでみなさんに知っておいていただきたい心理学は以下の2つです。
気分一致効果
『その時の気分とその時に思い出す記憶の性質が一致しやすい』という効果のことで、ざっくりと説明をすると、
・ポジティブ(ご機嫌)な時は過去の記憶から、ポジティブ(ご機嫌)な記憶を思い出しやすい
・ネガティブ(不機嫌)な時は過去の記憶から、ネガティブ(不機嫌)な記憶を思い出しやすい
ということでして、ご機嫌な時は目の前の状況を高く評価(受け取り)をし、不機嫌な時は目の前の状況を低く評価(受け取り)をします。
先ほどの親子会話を例にあげるとすれば、「給食最高~!」とお母さんにお話をしてくれている時の子どもはご機嫌でありポジティブです。そのことから、
・「来週の給食」などをふまえて「来週も学校が楽しみだ」と登校に対して高く評価・前向きな物事の受け取りをしている
と考えることができます。
しかし、例えばお母さんと言い合いをしてお母さんに感情をぶつけられた後、子どもは不機嫌でありネガティブです。そのことから、
・「来週の給食」なんてどうでもいい。私は今不機嫌である。「来週の学校も行きたくない」と、登校に対して低く評価・後ろ向きな物事の受け取りをしている
と考えることができます。
私たち大人でも、似たようなことってありますよね。
よいことがあって気分がアガッてハッピー!と思っている時は、たとえスーパーで買い物をした時、レジの店員さんが研修中で作業がもたもたしていても、ほほえましく見れます。
しかし嫌なこと続きでネガティブでつらい…と思っている時は、同じ条件でも「はよしてくれ…」とか、「ああ…最悪。遅いレジに並んでしまった…なんてツイてない…」とさらにネガティブになったり。
子どもも同じで、もしかすると、不機嫌でネガティブであるからこそ「学校行きたくない」という言葉を発しているだけで、本当は学校云々というよりも、『今の自分の精神状態をなんとかしたい』とか、『ママのせいでこんなふうに学校に行きたくなくなったんだからね!』というある種復讐心的な意味合いが含まれている可能性もあるかもしれません。
気分状態依存効果
次に似たような効果として紹介しておきたいのはこちらです。
『思い出す記憶はその時の気分状態に依存する』という効果のことで、ざっくりと説明をすると、
・ポジティブ(ご機嫌)な時に覚えた記憶はポジティブ(ご機嫌)な時に思い出しやすい
・ネガティブ(不機嫌)な時に覚えた記憶はネガティブ(不機嫌)な時に思い出しやすい
ということでして、幸せな時やご機嫌な時は過去の記憶から似たような感情を持てたエピソードを思い出し、悲しい時や不機嫌な時は過去の記憶から似たような感情を持てたエピソードを思い出すというものです。
ここでも同じように「給食最高~!」のやりとりをした親子会話を例にあげるとすれば、
もし、子どもがご機嫌なままで過ごしていれば「来週も給食楽しみ」となっている可能性があり、不機嫌に過ごした場合は、過去の記憶を思い出して「給食が嫌だ。学校行きたくない」となっている可能性がある
…ということです。
まとめ
いかがだったでしょうか。
必ずしも今回のような例だけがお子さんの「学校行きたくない」発言を引き出している原因ではない場合もありますが、このような心理学を知っていると、突然の「学校行きたくない」に対して冷静に対処が出来るかもしれません。
もしも気分一致効果や気分状態依存効果によるものだとしたら、子どもはなぜ不機嫌になったのか?ということを考えることができます。
もしそれが、お子さんは悪くないのに親御さんが感情をぶつけてしまっていたとか、厳しく言い過ぎたとか、親子会話を振り返って見たときに「やりすぎだったかも」と思うことがあったとすれば、そのことについて親御さんがお子さんに「ごめんね」が言えたり、「さっきはこういう理由で言いすぎてしまったんだよ」という解説ができます。
それにより、お子さんもモヤモヤがはれて、「やっぱり明日、学校にいく。頑張る」という言葉を口にするかもしれません。
それでは、今回はこのへんで終わりたいとおもいます。
また次回のブログにてお会いしましょう 🙂
親まなびアドバイザー まいどん先生(公認心理師)
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