「学校なんてつまらないから行かない」の言葉の裏に隠されている心理とは

「学校なんてつまらないから行かない」の言葉の裏に隠されている心理とは

ブログをおよみいただきありがとうございます!

最近いちごばっかり買っており、秋冬は焼き芋ばかり食べ、もう少しすればぶどうやスイカが食べられる…と、年中食べ物のことしか考えていないのではないかと思っている山下です 😛 

 

さて、今回のテーマは「学校なんてつまらないから行かない」という言葉についてです。

この言葉の裏に隠されている心理とは?うちの子何を考えてるの??

と気になっておられる方も多いのではないでしょうか。

 

このことについては、心理学の「認知的不協和」と「防衛機制(合理化)」を知ると理解が進むかもしれません。

 

心理学:認知的不協和

この説明をする時にわかりやすいのは、すっぱいぶどうのお話です。

 

あるキツネはおいしそうなブドウを見つけなんとか取ろうと奮闘するものの、とても高いところに実っていて、届かない。

最終的にそのブドウを諦める際、キツネは「どうせあのブドウは酸っぱくて美味しくないはずだ!まずいはずだ!(負け惜しみ)」と言い残して立ち去ります。

美味しそうなブドウが得られなかったキツネにとっては、「食べたい」という思いがあり奮闘したものの、結果ブドウを諦めざるを得なかった。

「あのブドウはどんな味なんだろう。食べたかった」とか、「こんなにも苦労したのに!」とか色んな気もちや悔しさがあったはずです。

しかしキツネは「あのブドウは酸っぱくて美味しくないに違いない」と言い残します。

これは悔しさを紛らわせようとして、結果的に「あのブドウがたべたい」という感情を否定していることになります。

 

防衛機制

精神分析の父であるジークムント・フロイトは、構造論というものを以下のように提唱しました。

人のこころは、

  1. イド…「これがしたい」「あれがほしい」などの欲求(衝動)
  2. 超自我…「それはやってはいけない」「がまんすべき」などの理性的な面
  3. 自我…a.およびb.をうまくバランスを取りながら現実原則に沿って物事を判断する

…という3つの領域に分かれている。

 

めちゃくちゃざっくりとした解説になりますが、例えば

『ダイエット中でお腹が空いてしかたがない。目の前に美味しそうな惣菜がスーパーに並んでいる。けれども手持ちがない』

という状況の時、人はどんなにお腹が空いていても、お金を支払わずに目の前の美味しそうな惣菜を手に取りその場で食べだすことはしないようにします。

あるいは、仕事の会議中なんかに眠気が襲ってきても、なんとか寝ないようにしなければならないと頑張って起きようとします。

これらは、a.のイドと、b.の超自我とをc.の自我が環境に適応できるように、衝動と理性のバランスをうまく取ろうとする頭(こころ)の中のやりとりといえるでしょう。

 

そして、イド(欲求・衝動)を処理する際、自我というものは時に『防衛機制』というものを用います。

 

「人前で発表するのが怖い。不安だ。」のように感じている人は、純粋にイドに従えばその場から逃げだしたり、「やりたくない」と発言することになります。

しかし、そうはいかず、どうしてもやらなければならない。

そういった状況の時に、大人でも一人の時や家族の前で「やだやだやだやだやりたくない!」のように幼児化してみたり、憧れの先輩の感情や価値観などを模倣して自信満々な振る舞いをしてみたり、「やりたくない発表をさせようとする上司が悪い。発表に失敗したのは上司のせいだ」と正当化してみたり…。

こういう経験は、誰しも一度はあることではないかと思います。

 

その防衛機制というのは、以下のようなものがあります。

・退行…

受け入れがたい感情がある時、幼少期の精神状態になる。赤ちゃん返り。

 

・抑圧…

無意識の世界に感情を押しやり忘れようとする。

 

・反動形成…

本心とは反対のふるまいをする。(嫌いな人にていねいに接する・好きな人にそっけなくなる など)

 

・隔離…

思考を感情から切り離そうとする(親しい人の死が直面したが、涙が出ない など)

 

・打ち消し(取り消し)…

行ったこととは反対の思考と行為で打ち消そうとする(人を批判・避難した後あとにその相手のご機嫌を取る など)

 

・投影…

自分の感情を他人に投影する(「自分が」相手のことをきらっているのに、「相手が」自分を嫌っているのだと思い込む など)

 

・取り入れ…

他人の属性(感情・価値観)を自分のものにしようとする(好きな人の行動を模倣する など)

 

・自己の向き変え(自虐)…

相手に向けている感情を自分自身に向ける(他人への怒りを自分に向き変える など)

 

・転倒…

反対の感情に変わる(好きな人とうまくいかないと、相手のことを「嫌い」となる など)

 

・昇華…

反社会的行動を社会的行動に転換する(嫌いな人への反抗心から勉強や仕事をがんばる。喧嘩好きな自分はプロボクサーになる など)

 

・否認…

目の前の状況を受け入れない(重い病気と宣告されたが認めない など)

 

・解離…

受け入れがたい経験などを正常な意識から切り離す。自分の経験として蓄積させない。

 

・置き換え…

フラストレーションなどを別の対象に向ける(仕事のストレスを家族に向ける など)

 

・合理化…

もっともらしい理由をつけて正当化して納得しようとする。

 

・同一視…

他人に自分を重ね合わせる(好きな人と同じ服装をする)

これまたざっくりとした説明になりますが、このようなものがあります。

 

防衛機制:合理化

そして、その防衛機制の中でも『合理化』は、「もっともらしい理由をつけて正当化して納得しようとする」というもの。

ようやく本テーマの解説になりますが、

 

本心

「本当は学校に行きたい。でも、今さらどうしていいかわからない。どうせ今さら学校に行こうと努力したって追いつけっこない。勉強も、人間関係も。行かなくなったあの日から、自分は置いてけぼりなんだ。行きたいけど、友達になんて思われているかな。勉強がわからない。将来がどうなるか不安。行きたくない。でも行きたい…」

認知的不協和・防衛機制

認知的不協和:「学校なんてつまらない。勉強も、人間関係も。世の中にはもっと素晴らしく学べる場があるのだ。学校は自分の居場所ではない。」と考える(学校に行きたいという感情を否定)

防衛機制(合理化):「いまどき学校一択ではない。多様な教育機会をと言われているこの時代に学校に行くなんてナンセンスだ」と考える

結果出た発言

「学校なんてつまらないから行かない」

 

…とこのように、お子さんの「学校なんて」という発言に至るまでには、ここまで説明をした『認知的不協和』と『防衛機制:合理化』が働いての発言である可能性があるということが考えられます。

 

まとめ

「先生、うちの子は何を考えているのでしょう?どういう心理が働いていると思いますか?」というご質問は、支援中の方や、支援を検討されている方などから多くいただきます。

支援を受けていただいている親御さんの場合は、日々送っていただく親子のやりとりから、「お子さんの見ている・感じている世界はこうかもしれない」「こういう捉え方もできる」「こう考えているかもしれない」など、「この子の性格上こう考えているに違いない」という決めつけでは返答しないようにしています。

 

例えば、テスト前なのに勉強をしない中学生を目の前にして、親御さんが「この子はやる気がないんだ」と決めつけてしまうことがあった場合、それ以上のお子さんの気持ちを考えたり知ろうとしなくなります。

そうすると、「やらなきゃいけないのになんでやらないわけ?理解できない…」そんなイライラとモヤモヤで、子どもについきつく当たってしまうこともあります。

しかし実際は、『大好きな友達に「お前なんか友達じゃない」と言われてしまって、勉強どころではなかった。これからどうなるんだろうという不安や悲しみがあった。そんな中、親御さんが自分を心配してくれず、「勉強しろ」としつこく言ってきたり、「だらしない…」と冷たく関わられてしまってますます孤独になってしまっている』ということもあるかもしれません。

本当に怠けていて、「勉強だりー。やりたくねー。こんなテストになんの意味があるわけ?俺のことは学校のテストでははかれないはずだ」なんて合理化しているのかもしれません。

 

しかしやはり子どもの行動というのは、結論としては、「本人にしかわからないこと」です。

 

「学校なんてつまらないから行かない」というのは表面的なものであって、その背景にかくれている気持ちはわからないものです。

その背景を知ろうとせず、「学校なんてクソ」「勉強なんてなんの意味があるんだ」「中卒で働く」…というような言葉を真に受けて親は子にガミガミ言ってしまったり、親子で言い合いのバトルになってしまうということは多いです。

 

しかしそれでは、子どもを置いてけぼりにしてしまうことにもなり、子どもの抱えているものがわからないままになることもあります。

ですから、日頃親は子どもの発言に振り回されることなく、じっくりと子どもを観察し、耳を傾けていくことが大切であると私は考えています。

 

それでは、今回はこのへんで終わりたいとおもいます。

また次回のブログにてお会いしましょう 🙂

親まなびアドバイザー まいどん先生(公認心理師)

 

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