不登校は引きこもりのはじまりだから学校に行かせた方がいい…?

不登校は引きこもりのはじまりだから学校に行かせた方がいい…?

ブログをお読みいただきありがとうございます。

公認心理師のまいどん先生です 🙂 

 

不登校は引きこもりのはじまりだから学校に行かせた方がいいと聞きます。本当でしょうか…。

どうしたら学校に行きますか。

母子登校や不登校から復学させるにはどうしたらいいのでしょうか。

今回はこのようなことをテーマに記事を書いてみたいと思います。

 

「どうしたら復学しますか」

母子登校や不登校から復学させるにはどうしたらいいですか。
初回相談でこういう相談をいただくことは多いのですが、MIKURU・MIRUは家庭教育の支援のみを行っております。

家族療法に取り組んでいただいたり、家庭教育の実践をしていただくことで結果的にお子さんが復学することはありますが、復学を目的とした支援は行っておりません。

ただ、復学は、手法を問わなければやりようはいくらでもあるとは思っています。
でも、1日行けただけでは意味がないし、継続登校ができなければ同じことをくり返すこともあります。

さらにいうと、学校に行かせるということだけを考えて関わるとうまくいかないどころか将来的にこどもがひどい反抗期に突入するとか、大人になってから抑うつ症状がでることもあります。

 

👇詳しくはこちらの過去ブログをお読みください👇

 

不登校はめずらしくない

もはや不登校がマイノリティーじゃなくなってきているし、多様な学びの場を。多様な選択を。と言われているこの世の中で、

「義務教育なのだから学校に行きなさい。今頑張れなくてどうする。このまま不登校でいて社会でやれるはずがないだろう。学校は社会に出て働くための練習の場なのだから」

という論調では子どもは動こうとしないことが多いです。

 

今の子どもたちは物質的に豊かなこの世界で『多くを所有したいから働きたい』『承認されたいから有名になれるよう働きたい』と思うことがあまりないように思います。

「車を買いたい」「家を買いたい」「人より多くのものを持っていたい」など、物質的な欲求を満たしたいと思い仕事を頑張ろうとする人が多数派だったひと昔前と比べると、昨今は物質的な欲求を満たしたいというよりも、『納得できる人生を歩みたい』『自分自身が生きる意味を持ちたい』というような精神的欲求を求める人が多くなってきています。

物質的な豊かさから精神的豊かさへと価値観は変容しています。

 

そのような価値観の変容がある中で、

「学校に行かないと将来ろくな大人にならないよ」「そんなんじゃ結婚できないよ」

…などと言って子どもを無理に学校に行かせよう・従わせようとしても「そうだよね」とはなりにくく、むしろ親がそのような発言から不登校などに対して差別的な意識を持っていると子どもは捉え、「親の程度はこんなものか」「お前のためと言いながら、世間体を気にしてるだけでしょ」と思われてしまうこともあります。

また、実際にそのように言われてしまったというご相談は少なくありません。

 

なぜ学校に行かせたいのか

また、学校に行く行かないの話をする前段階で、親子の関係性ができていないとそもそもうまくいきません。

毎日子どものことを否定してしまうようなやりとりをしているのに、急に「親はあなたの味方よ」なんて言われても子どもからすれば親の本音が透けてみえて気持ち悪いだけです。

自立を促すための関わりもそうで、『はよ自立してくれ』という感じで、「自分でできることは自分でやってね」なんて、昨日まで子どもの時間割を子どもの代わりにそろえていた親が急に言い出しても子どもはポカンです。

子どもはこれまで親に自分がやることを親にアウトソーシングしてきた。それが当たり前だったのに、急に自分でやれと言われても、何をどうしたらいいかわからず混乱します。

500gのダンベルを持つので精いっぱいだったのにいきなり50kgのダンベル持ち上げろと言われてるのと同じレベルで急に無茶なこと言っているといってもおかしくありません。

 

「自立させれば学校に行くんだ。学校に行かないとろくな大人にならないよと無理にでも登校を促すことがこの子のためなんだ」

と思っている親御さんは多いです。

 

しかし、少し落ち着いて考えてみてもらいたいのです。

なぜ自立させたいのでしょう。
なぜ復学させたいのでしょう。

 

不登校がきっかけで引きこもりになるのは約2割

内閣府の15~39歳対象の調査では、引きこもりのきっかけが小中高の不登校と答えたのは18.4%。卒業後に一度は働いている方が約8割です。

働いてみたものの、何かしらのことが原因で働けなくなり退職をし、その後引きこもりになったという流れが大半であり、学生時代に不登校だった方ばかりが引きこもりになっているのではなく、社会に出てからの躓きが原因といえるでしょう。

 

みなさんが「不登校を経験したら将来引きこもるのでは」という不安をもたれる理由は、

・学校などで集団生活の経験ができていないと社会に出たときに困るだろう

・学校で行きたくないけど行くとか、やりたくないけどやるといった、何かを耐えて我慢することでストレス耐性がつくのにそういった経験がないと社会にでて困るだろう

・学生時代の友達が将来自分を支えてくれる時もあるだろうから、社会に出るまでに友達を作っていてほしい。このままでは働いたときに心が折れて困るのでは

…というようなことを考えるからかもしれません。

 

同僚に助けてもらうためにはどうすればいいか。上司に好かれるにはどうしたらいいか。先輩にうまく頼るにはどう振る舞えば良いのか。

仕事を段取り良くこなすには?指示の意味を理解して活躍するには?自分を客観視しながら周囲とうまく関わるには?結果を残すには?

 

…など、こういったことを考えて行動するにあたり、学校生活が社会に出たときに役立つだろう。

だけれども、不登校になったらそういう経験が他のひとより少ないので、すぐに躓いてしまうのでは…と思ってしまう方は少なくないと思います。

また、「そもそも高校にいけるのだろうか。大学に行くのだろうか」という不安もある方も多いと思います。

 

データだけを見れば不登校が直接的に引きこもりに関係するとは言い切れませんが、休むことへのハードルの低さや、毎日登校している子との経験の差などで社会に出て躓きやすいとはいえるかもしれません。

ただ、どんなに毎日学校に行けていていた子であっても、社会に出て躓かないかといえばそうではありません。

働いてみると「思っていたのと違った」と思ったり、上司や先輩とうまく関われなかったり、仕事でなかなか活躍できなくて悩んだり落ち込んでしまう…ということは誰にでも起こり得ることです。そして気がつけば仕事をやめ、引きこもりになってしまった…ということもあるかもしれません。

 

社会に出て働く上で必要なのは「誰かに共感・理解された」経験や自分をわかり支えてくれた存在

親が子どもに

「今学校に行っていないと将来困るから行きなさい」

「学校に行く気がないならば、家であなたを無視します。おやつも与えないし、好きなこともさせません」

「現実から目を背けるな、逃げるな」

…などと厳しくしつこく、ときに追い詰めるようにして無理に登校を促した結果、子どもが

「行きたくない学校に無理して行くくらいなら死んだ方がまし」とか「学校は地獄。そこに行かせようとする親は大嫌い。学校に行かないと社会に出られないなら社会も地獄じゃないか」と考えてしまうということがありますし、実際にそのようにして子どもに登校刺激をしてお子さんに『学校に行っても地獄。家にいても地獄』と心を閉ざされてしまったというご相談をいただいたこともあります。

 

不登校になったのには何かしらの理由があるはずですが、それを早い段階で『たんなる甘え』『怠け』と捉えて無理に登校を促すと、結果的に子どもを追い詰めてしまったり、親御さんに対しての信頼がなくなってしまうことがあります。

そのような状態で学校に戻ったとして、結果的に復学も継続登校もできたけれども子どもは親を信頼しなくなった…となったら、社会に出たときに子どもは親を頼れず、ひとりで多くを抱え込み、結果的にキャパオーバーになって精神疾患になってしまう…最悪自殺を考える…ということも起こり得ると私は思います。

 

「学校に行かないとコミュニケーション能力が身につかない」論

なぜ学校に行かせるべきなのか?と考えたときに、

「学校に行かないと集団生活ができない」

「学校に行かないとコミュニケーション能力が身につかない」

ということを考えて不安になられている方も少なくないと思います。

 

私は子どもの頃、脇に体温計をはさみめちゃくちゃこすって熱を「出させた」こともありますし、風邪をひいたフリをしてずる休みもしましたし、基本的には学校がやだなーと思っていた人間です。

不登校になって引きこもりに…という流れをたどったことはありませんし、集団生活も経験はしてきてはいますが、大人になった今。

 

めちゃくちゃコミュ障です。

 

私は運動神経が悪すぎて体育会系の部活に所属をしたことがなく、いわゆる陰キャとして学生生活を送ってきています。

活発に体を動かし、仲間と一緒に成功経験を積んできている同学年の子たちと比べると確かに経験の差を感じます。

会社の採用担当をしたことがある方も、おそらく義務教育を受け、高校、就職あるいは大学進学…と進んだ2人の同い年の人を面接するとき、「長年スポーツをしてきました」というような方にガッツやコミュニケーション能力の高さを期待されるのではないかと思いますし、実際そういう方が多いとは思います。

しかし、必ずしも全員そうだとは限りませんし、スポーツ経験があまりないような人でもコミュニケーション能力抜群の人だっています。

 

確かに、不登校中のお子さんの話し方や思考を見ていると、自分本位であったり、相手の気持ちを想像する共感力が低かったり、我慢力が低いという傾向があるなと感じることはあります。

しかし、親子の会話が変わっていくとお子さんが成長して、会話の中身が変わっていったというケースをたくさん見てきています。

その先に「やっぱり学校に行きたい」と言って自ら望んで復学する子もいれば、「フリースクールに行ってみたい」と言って違う道を進む子もいれば、「高校は通信で好きなことをまなびたい」と言っておうちで勉強したり、一生懸命塾に通ったり、習い事を頑張る子もいます。

そんなお子さんに寄り添い、しっかり話を聴き、お子さんのポテンシャルを発揮させられる・伸ばすことができるやりとりが出来ているご家庭においては、お子さんのコミュニケーション能力の低さを感じることはあまりありませんし、むしろ進んでご近所さんに挨拶ができたり、習い事では先生に礼儀正しくやりとりができたり、お友達と楽しく過ごすことができる子も見かけます。

必ずしも学校でしかコミュニケーション能力を高めることはできない…というわけではなく、お子さんにかかわる大人たち次第でもあると考えます。

 

まずはなぜ不登校になってしまったのか。子どもは何に悩み、学校に行きたがらなくなっているのか。ということを理解しようとすることが大切です。

 

👇話を聴くことの大切さや向き合い方についてはこちらをご覧ください

 

まとめ

不登校経験者が必ずしも引きこもりになるわけではないけれど、社会に出て躓いて引きこもりになることはあるでしょう。

社会に出て躓いた理由は、人間関係という方はめずらしくないということを考えれば、親が子にとって一番の味方であるということを伝えていくことが大切だと考えます。

たとえ一時不登校の時期があったとしても、親がどんな自分をも理解しようとしてくれていたという経験があれば、おとなになり仕事がつらいと感じた時も「自分なら大丈夫」と思えるかもしれません。

 

「不登校になった子は将来引きこもりになるかもしれないから1日も早い復学を」

「不登校になったら集団生活を経験できなくて将来困るから1日も早い復学を」

と焦る前に、

 

「学校に行こうよ。自立しようよ」そんな話をする前に、親が子どもに否定的な言葉がけをしていないか振り返ってみる。
子どもと子どもの感じた喜怒哀楽を共有できているか。子どもと向き合えているかを振り返ってみる。様々な視点で話を聴いた上で、何から手をつけていけばいいかを落ち着いて考える。

 

まずはそこから取り組んでみて、最終的に復学が必要だと判断してから親子で不登校状態であることを話し合われるという方法もひとつかもしれません。

 

また、学校に行ったほうがいいのか、別の選択をしたほうがいいのかはお子さんによって様々ですが、『不登校はこうすれば絶対に行ける』のようなひな形的な関わりをしたり、『不登校の原因はこれしかない』というようなひな形的な結論の出し方はリスクがあるし、「100%親の関わりのせい」「100%学校のせい」「100%子どもの性格のせい」ということはないだろうとも思います。

実際私が支援を差し上げるケースは様々な要因が関係して起きていることであることが多く、環境全体を俯瞰で見て整理していかないことには親のかかわりだけを変えても改善しないケースもたくさんみてきています。

実は親御さんの成育歴から遡っていく必要があったというケースや、夫婦関係に問題があったというケースもあります。

 

状況が整理されていないまま、「不登校は親のかかわりのせいでおきる」と決めつけてしまうことで、本質的な問題に気づけない…なんていうこともあるので、「不登校は引きこもりになる」というような言葉に踊らされず、落ち着いて状況を捉えていきたいものですね。

 

それでは、今回はこのへんで終わりたいとおもいます。

また次回のブログにてお会いしましょう 🙂

まいどん先生(公認心理師)

 

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