不登校の子ども達がみている世界を理解しようとする姿勢の大切さ

不登校の子ども達がみている世界を理解しようとする姿勢の大切さ

今回は、不登校の子ども達が見ている世界はどのようなものか?をテーマに記事を書いてみたいと思います。

これまでの支援の中でお子さんたちがふと話してくれたことや、私が支援のなかで「このお子さんはこう考えているかもしれないな」と想像したことをまとめてみました。

 

不登校中の子はこんなことを考えているかもしれません

「そんなこと、まわりはちっとも気にしていないよ」

そんなふうに言われるけれど、ちがうと思う。
先生は、親は、自分の見ている世界を、吸っている空気も、視線も、声も、自分と全く同じように見れないじゃない。

表面的にはそう見えても、感じても、自分にはそうは思えない。

 

「被害妄想がつよいんじゃない」

そんなふうにいわれても、通りすがりに「キモッ」て言われたり、なんとなくまわりに避けられたり、嫌な視線を送られてる。みんなそんなわかりやすくやらないって。
ああいう仲間外れは、こっそりやるもんで、大人にはわからないようにする。大人の前ではいいこにふるまって、裏でこそこそとわからないところで自分を輪から追い出そうとしてくるんだよ。

 

「そんなんで将来どうするの」

そんなの、自分が知りたいよ。自分だって、学校という社会に、輪に入っていけないことが不安なのに。
強がりで、学校なんて今時ナンセンスとか、勉強がくだらないとか、思いつく限りの学校批判をするけれど、自分だって、てきることなら楽しく勉強をして、みんなの輪のなかに入って、楽しみたいよ。

 

「学校に行きたいと思うなら行けばいいのに。」

簡単にいわないで。勉強はしたい。友達はほしい。クラス行事にも参加したい。
でも、求めてるのはいまの環境じゃない。
転校すればいいという話でもない。




心の中がぐちゃぐちゃ。
社会に取り残されている感覚。
学校に行けない自分。
親は焦ってるし、怒るし、ときに自分を否定するし、

そう思えば急に愛を言葉にしてくるし。

親の不安を自分にぶつけるだけぶつけてきたくせに、

それを帳消しにしたいような感じで「愛してる」とか、

「あなたのためを思って」とか言ってきて。

調子のいいこと言わないでよ。自分をわかろうともしなかったくせに。

わかろうという努力をしてないくせに。

親の思い通りにしようとしないで。

自分には、自分の気持ちがあるのに。

 

あくまでも想像・あるお子さんがふと話してくれたことではありますが…

上の文を読んでいるだけで、なんだか心がえぐられるような感覚になった方も少なくないのではないかと思います。

 

学校は、いずれ社会に羽ばたいていくための訓練所ともいます。

勉強をして、知識を得ること。
集団生活を通して、協調性を学ぶこと。
先生に従うことに慣れて、上下関係の中で仕事ができるようになること。学校での経験が、いずれ社会で役に立つ。

それ以外には、自分がワクワクすることは何なのかを見つけたり、友達との出会いがあったり、仲間と何かを成し遂げたり、たくさんの思いでを作ったり。

親もまた、学校で嫌なことがありながらも得られたものはたくさんあったし、小中学生のうちに教育を受けさせるのは義務でもあるから、学校には行くべきだと思うし、周りとおなじように学校に行ってほしいと願うものでもあると思います。

 

うまく学校に適応できなくなった途端、周りから浮いている、性質の違う『異質な子』になってしまう。

みんなは毎日将来にむかって同じ方向を向いて前に進んでいるのに、コースをはずれてしまったことで取り残された居るように感じてしまう。

だから大人は、親は、必死にまたコースに戻させようとしてしまうのかもしれません。

 

コースをはずれた理由は、
自立の問題かもしれないし、
精神年齢の低さや幼さかもしれないし、
感受性が豊かすぎるのかもしれないし、
賢すぎるのかもしれないし、
コースそのものが本人にとって合わなさすぎるのかもしれない。

 

それぞれに理由があるはずだけれども、それをわかろうとせずに、ただ、

「コースに戻りなさい。取り残されてはいけない。仮面をかぶってでもついていきなさい。

甘えるんじゃない。ずっと家にこもるつもりか。うちにこもって、そんなんでどうする。

そんなんじゃ社会じゃ通用しないぞ」なんて言われたら、もうどこにも逃げ場がありません。

 

たとえそれでコースに戻れたとしても、それは本人の個性をつぶし、仮面をかぶらせ、学校に適応できる自分を演じさせているだけかもしれません。

 

目先のことだけ考えれば…

学校は、「行った方がいいか」「行かなくていいか」の二択しかないと言われれば、行った方がいいと私は答えます。

 

でも、今の世の中、昔のように言われたことを、言われた期日までに、言われた通りにこなすのが優秀とは言われなくなり、より人との関わりを求められ、先々を予想しながら、タフに仕事ができるひとが優秀といわれる時代です。

学校というちいさな社会で、とっさにその場にそぐうような反応をすることが癖づいたまま大人になった子たちは、大人になってから自分がわからなくなって、自分を見失って、彷徨うことになるかもしれません。

 

自分はどういう人間で、何をしているときが楽しく、不快で、何を大切にしたいかがわかっていて、自立した大人になっていくのか。

 

このようなアイデンティティというのは、本来は中学の間に乗り越えるべき問題といわれますが、むりに学校に適応しようとした子はアイデンティティの確立が困難になり、社会に適応しなければというところばかり特化してしまいます。

 

本当に目指すべきなのは、自分という人間を大切にでき(アイデンティティを持てていて)、かつそのうえで社会に適応するよう、うまくバランスを取りながら生きていくということです。

 

社会に適応することばかりの毎日では、自我を押し殺す毎日にもなってしまう。
成果。結果。協調性。
そればかりを追い求め、与えられた役割を演じる毎日。

自分がしたいことはなんなのかわからないし、何となく毎日がすぎて、むなしくて、さみしい。

そう考えれれば、たとえ自我を押し殺して、その場にそぐう自分になれて、学校に戻れたとしても、代償は大きいかもしれません。

 

二度目になりますが、これは決して学校に行くなという話ではありません。
学校に行くべきかそうでないかの二択しかないならば、行くべきだと私は答えます。

でも、学校に戻すということだけを目指しても、意味がありません。

 

「復学させたい」 その前に…

まずは子どものみている世界を知ろうとしてあげてほしいのです。

一人ひとりの個性はつぶさず、活かした状態で、学校の環境を整えてみたり、本人の強みを発揮させられるようにしてあげたり、本人の成長に合わせて応援してあげてほしいのです。

 

そのためには、わかっているようで実はわからない部分が多い子どものみている世界を理解しようとすることです。
多くの大人は、わかった気になっているだけかもしれません。

こういう行動をしたのだから、この子はこういう性格なんだって、すぐに答えを出してしまう。

でも、それはその時に限っての話で、人の考えることや見せる表情はその場その場で違います。

おなかが空いたなと思ってからご飯を食べたら、30分後は満腹だと考えているように。

家族の前ではだらしない自分が見せられても職場の上司の前ではきっちりしている姿を見せられるように。

友人一人ひとり、微妙に見せる顔が違うように。

そして目の前の相手に対しても、怒ったり、悲しんだり、笑ったり、自分のコンディションによって微妙にちがいます。

 

子どももそうです。
まだ幼いから、大人はついつい子どもの思考は単純でかんたんだと思いこんでしまう。

言葉にできないだけで、大人以上に子どもは感受性が豊かです。

その言葉にできない状態を、幼さだと決めつけて、単純だ、かんたんだ、見てわかると思いこまないで見てみてほしいのです。

意外と注意深く観察してみると、いろんなものがみえてくるものです。
そうすると、寄り添いかたも、声のかけかたも、まったく違ってゆくはずです。

 

まとめ

子どもの見ている世界を知ること。

まずはそこからだと私は思います。

 

なぜなら、子どもの見ている世界を知り、寄り添おうと・理解しようとする姿勢がないまま「復学」という目的が果たされた瞬間、親が子どもの心の声に興味すら持てなくなるかもしれないからです。

ひとは目的達成をしたら、過去のこととして捉えるようになり、取り組んできたことそのものに興味を持つことが困難になります。

 

「復学をさせた途端、子どもへの扱いが雑になってしまった」

…という話は、めちゃくちゃよく聞く話です。

でも、もし、子ども達が最初に書いたようなことを考えていたとすれば。子ども達は「学校にさえ行けたら親はそれでいいと思っているのか、自分のことになんて興味を持ってくれないんだな」という寂しさを持ってしまうかもしれません。

 

必ずしもどのケースにおいてもそうだというわけではありませんが、ひとつ参考にしてみていただければ幸いです。

 

それでは、今回はこのへんで終わりたいとおもいます。

また次回のブログにてお会いしましょう 🙂

まいどん先生(公認心理師)

 

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