子どもを無理やり学校に行かせたらトラウマになりますか?
ブログをお読みいただきありがとうございます。
MIKURU・MIRU代表、公認心理師のまいどん先生です。
今回は、「子どもを無理に学校に行かせたらトラウマになりますか?」という割と多くいただくご質問に、私なりの回答をしてみたいと思います。
子どもを引っ張って学校に連れて行く毎日なのですが…
母子登校のご相談で多いのは、

というものです。
不登校とは違い、母子登校はお子さんが不登校ほど学校という場に対して恐怖感を持っていないことが多いです。
お母さんと離れて学校内でひとりでみんなと一緒に集団生活を送ることが怖いだけで、お母さんが学校内に居てくれたり、教室まで送り届けてくれれば授業を受けられるということが多いのが母子登校です。
学校側としても、学校にはこれているのだし、お母さんと離れれば意外とけろっとしていることもあるお子さんを見ていると、「とにかくお母さんが学校に連れてきてください」になりやすいのはわかります。
ただ、私としては、

という回答になるかなと思います。
無理に学校に行かせることの何が問題かというと、数ヶ月後・数年後のことがわからないことなんです。
10年以上家庭への支援をしてきた私ですが、無理やり復学させた数年後に親への不信感や恨みが爆発して特に思春期あたりに酷い反抗期や家庭内暴力や再不登校になってどうしようもなくなって民間を頼られたケースをたくさんみてきました。
小学校低学年中に不登校などを一度経験していて、その時の復学がかなり無理やりだった場合、大きくなってから当時の不満が爆発したケースのご相談です。
お子さんが小さい頃に言語化できなかったモヤモヤが、成長とともに言語化できるようになるので、『あの時親に引きずられて学校連れて行かれたことが忘れられない』となり、親への不信感や心の傷として残っていることもあります。
大人になってからそれを思い出し、

と仰る方もいます。
過去に親御さんご自身も学校に行きづらさを感じていた時、親御さんに寄り添ってもらえなかったり、無理やり学校に行けといわれたことに傷つきがあった。
にもかかわらず、ご自身の親としてのロールモデルは自分の親であることから、多くは無意識的に同じような関わりを引き継いでいることがあったり、「学校の先生に連れてこいと言われているのだから仕方がないんだわ…」とご自身の不安な気持ちにふたをして、嫌がるお子さんを無理に学校に連れて行っている方もいます。
これって、ご自身が過去に嫌だったことをお子さんにしているので、無理に学校に連れて行こうとすればするほど、親御さんの過去の傷をえぐることになるんですよね。
子どもにしかわからない恐怖・困りごとがある
給食が怖い
給食のにおいがつらい
チャイムの音が怖い
クラスメートの声が聞こえすぎて気持ち悪い
人の気持ちを読みすぎてしんどい
音楽の授業は大きな音がいっぱいで頭が痛くなる
板書についていけない
当てられるのが怖い
授業中じっとしていられない
体操服のチクチクがつらい
先生の大きな声が怖い
急に時間割が変わるとパニックになる
…など、お子さんによって感じる恐怖も困りごとも様々です。
これは発達に課題があるお子さんだけではなく、定型発達のお子さんにも起こり得ることです。
しかし、実はこういった困りごとがある多くのお子さんは、「みんな学校に行っているんだから、自分も行かなくちゃ。ついていかないと普通じゃないって思われるから…」と必死に学校に通っています。
こういった困りごとや恐怖があるにも関わらず、まだ自分の心のモヤモヤを言語化できないので、家に帰ってきてからお母さんにベタベタしすぎるほどくっついて離れなかったり、おうちでイライラしやすかったり、癇癪を起しやすかったり、妹や弟に意地悪をするしかないという子も居ます。
「自分はこういうことに困っている」ということを言葉にできないと、親御さんも実はお子さんが学校内で困っていることがあるということに気づけなかったりしますし、色々な不安や恐怖がつもりにつもって出てきた言葉が「学校が怖い」「ママがいないと学校に行けない」だと、「分離不安なのかな?」「がんばりすぎたのかな?」までは考えられても、実際にどういった場面で困りごとがあったのかというところまでを想像することが難しかったりします。
こういった、実は不安や恐怖があるのに学校に頑張って通おうとするお子さんの多くは、過剰適応といって学校では頑張りすぎてしまう傾向にあります。
ですので、学校の先生からも、お友達からも、「よくできている子。がんばりやさん。だから学校にひとりで来れないのが不思議なくらい」というふうに言われがちです。
子どもの困り感や恐怖をわからないまま無理に学校に行かせた結果・・・
人は自分が体験したことがないことへの理解を最も難しいと感じるもの。
しかし、だからといって、

…と頭ごなしに言っても、子どもが追い詰められ、孤独になるだけです 😥
「わからないなりにもわかろうとすること」
母子登校を乗り越えるにはこの理解と共感がないことには、子どもの気持ちを置き去りにして結果を求めてただ「ひとりで学校に行きなさい」「そろそろママなしで行けるようにならなきゃだめでしょ」などときつく言うだけの関わりになりやすいです。
どうしてもうまくいかない日は脅したり、気をそらせてみたり、ご褒美を用意したり、説得したり、なだめたり…と、思いつく限り・ネットで得た限りの方法を尽くして、なんとかだましだまし登校。
どうにもこうにも上手くいかなければ、お母さんがキレてしまって、お子さんがそんなお母さんの表情に「ママに嫌われたくない」という想いでなんとか登校ということもあります。
低学年のうちはそれでうまくいっても、高学年になってから「ママはあの時のわたしをわかってくれなかった」と心を閉ざす・万引き・いじめ・親の財布からお金を抜き取る・家出・親への暴言暴力…など、ひどい反抗期を迎えるケースのご相談は絶えません。

と悩まれている親御さんは少なくありません。
むりやりひとりで行かせてもなんの意味もないどころか…という話です。
まとめ
小学校の特に低学年の頃は、親御さんがある程度お子さんをコントロールしやすい時期といえます。
親の庇護がないと生きていけない子ども達にとって、親に見捨てられることは恐怖でしかありません。
親に「もうしらないから!」なんて言われて1日口を聞いてもらえなかったり、無視をされるくらいなら、恐怖だと感じている学校に行った方がましだと考える子は少なくありません。
子どもが、「自分とは何か?自分は何者か?自分は何が好きで嫌いか?どういう信念で生きていきたいか?」といったことを考える思春期(アイデンティティ確立の時期)に突入すると、親に自分のことを決められたくないし、自分のことは自分で決めたいという気持ちが強くなっていきます。
子ども達は、過去の親子のかかわりもふまえてアイデンティティが確立されていくわけですが、無理な復学を経験してしまうと、「果たして自分は親に愛されてきたのか?」「無理やり学校に連れて行かされて嫌だった自分の気持ちを無視され続けたのはなぜか?」「どうしてあの時親は自分をわかってくれなかったのか?」ということを思い出し、憎しみに変わってしまうこともあります。
力業をつかえば、たしかに短期間で不登校や母子登校のケースは復学できる場合があります。
しかし、「過去に無理に学校につれていってだましだまし何とか登校させていました。しかし中学に入り再び不登校になった今、親ではどうすることもできなくなりました」というご相談内容の深刻さをみるに、小さい時の不登校や母子登校だからこそ慎重に関わり、乗り越えていく必要があると私は考えます。
それでは、今回はこのへんで終わりたいとおもいます。
また次回のブログにてお会いしましょう 🙂
まいどん先生(公認心理師)
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