子どもに怒りをぶつけたら…言っちゃダメとわかりながらもとまらない!!
MIKURU・MIRUのまいどん先生こと山下です。ブログをお読みいただきありがとうございます。
みなさんは、お子さんに一度怒りを覚えた時、「ああ~っ!嫌な言葉がとまらない…っ!どんどん子どもを傷つけて責める言葉が出てきてしまう…!!」となったことはありませんか?
この怒りは、なぜ発生するのでしょうか。
今回は、そんな『怒り』をテーマに記事を書いてみたいと思います 🙂
人はどういうときに怒りを感じるのか
よく、アンガーマネジメントなどでは怒りの正体について、「べき論」と「一時感情」について解説されています。
・べき論
べき論・べき思考とは、「〜すべき」「〜でなければならない」といった本人なりの基準で物事を考えてしまうことをいいます。
自分は「~べきでなければならない」にもかかわらず、そうならなければ強い拒否がうまれます。
完璧主義の方に多い思考で、子育てにおいては、
…というような考え方を指します。
・一時感情
何か嫌なことがあった時、ひとは「カッとなった」といいますよね。
私が「うわっ嫌やな~!何なの?!」と思いやすいのは、電車の順番待ちをしているにも関わらず、順番を抜かす人がいる時です。
我先にと電車に乗り込む人を見ると「自分さえよければいいんか!」とイライラしてしまいやすいのですが、
①順番を抜かされた
②順番を抜かした人に怒りを感じた
…のではなく、①と②の間には、実は一時感情がひそんでいるのだというものです。
一時感情とは、悲しい、楽しい、不安、寂しい、つらい、不安などの感情をさします。
私の「電車の順番抜かしにイライラする」を例にあげると、
①順番を抜かされた
②順番を守っていた自分やそれ以外の人のことを軽く見られている感じがして悲しくなった
③だから私は怒りを感じた
…というもの。
怒りというのは強いエネルギーなので、人はついつい上の例にあげたような「自分を軽く見られたことへの悲しさ」が怒りの原因なのだということに気づけずに、怒りだけに注目してしまうというものです。
そして、「順番は守るべき(べき論)なのに、順番を抜かされた。あり得へん!なんやねん!むかつくな~!!(二次感情のみに注目)」というようなイライラ・怒りが発生するというわけですね。
コントロール感と自尊感情
ほかに怒りの発生については、「コントロール感」と「自尊感情」で解説されていることもあります。
・コントロール感
人には、コントロール感といって、「自分が行動することによって望み通りの状況を作りだせるという感覚」があります。
皆さんが独身のうちは、「今日は1日オフだから、朝から予約していた美容室に行って、のんびりランチして、午後は買い物に行って…」と、自分のことだけを考えてその日のスケジュールをどうするか考えておられたと思います。
しかし、結婚をして、お子さんがうまれてからは、思い通りにならないことが多くなりましたよね。
なんて考えていたのに、お子さんが腹痛を訴え学校を休まざるを得なくなり、
…となってしまう。
この例では、子どもの腹痛については、親がどうすることも出来ないし、親が予定していた通りの1日を過ごせなくなってしまって、コントロール感が無くなってしまっているといえます。
・自尊感情
自尊感情とは、自分自身を価値ある存在として捉える感覚のことを指します。
たとえば、先ほどのコントロール感が無くなった例の続きとして、「子どもの腹痛は実はズル休みをしたかったので嘘だった」ということが後でわかったとします。
しかも子どもは悪びれる様子もなく、「別に今日くらいいいじゃん」というような態度。親としては、
と感じ、怒りがふつふつとわきあがります。
これは、子どもの腹痛(ズル休み)という予期せぬ出来事に対し、親のコントロール感が失われ、「親の自由な1日の予定を変えさせることになった」ことに対しての子どもの失礼な態度に親の自尊感情が傷ついてしまい、「許せない!!!」という思いがどんどん膨らんでいる状態です。
「自分だって、たまにはのんびりしたいのに。仕事がお休みの日で、とても楽しみにしていたのに。それなのに、こんな結果になっちゃって、私の大変さや気持ちなんて全然気にしない態度を取られて、悲しい。腹が立つ。だから、怒ってしまう」となっているわけです。
ほかの表現をしますと、「期待はずれ」による苛立ちともいえるかなと思います。
疲労や睡眠不足も怒りの原因
さらに怒りに関係しやすいのは「疲労」「睡眠不足」です。
悩みが原因で睡眠不足になったりして疲労が蓄積されると、脳の怒りの発生源である扁桃体を活性化させます。
そして扁桃体の活動を抑制する前頭前野の機能を低下させてしまうことで、イライラしやすくなってしまいます。
また、「過労死ライン」という言葉がありますが、
・発症前2か月間ないし6か月間にわたって1か月当たりの時間外労働が80時間を超えること
・発症前1か月間に1か月当たりの時間外労働が100時間を超えること
この状態は、業務における過重な負荷による脳・心臓疾患や業務における強い心理的負荷による精神障害を原因とする死亡やこれらの疾患を引き起こしかねません。
これは仕事における過労死の話になりますが、子育てにおいても似たようなことがいえます。
例えばお母さんが子育てをされている環境がこうだったとします。
【家族構成】
父・母・姉(小1)・弟(0歳)
【状況】 ・お父さんは仕事が忙しく、日曜日しか休みを取れない ・お父さんは仕事の疲労でなかなか育児参加ができない ・上の子が母子登校中である ・お母さんの平均睡眠時間は5時間 ・お母さんは8:00~15:00まで上の子の学校関連で付きっきり(7時間拘束/うち休憩30分) ・学校から帰宅後、15:00頃~21:00まで宿題を見たり晩御飯の準備をしたり子ども達をお風呂に入れたりねかしつけをする(6時間) ・21時以降、下の子の夜泣きなどもありなかなかまとまった時間眠れない |
たとえ母子登校をされていなかったとしても、共働き家庭ですとこういう1日のスケジュールの方って多いと思います。
このように、仮にお母さんの1日の拘束時間が13時間だった場合、平日だけで計算しても、週65時間・月に260時間拘束。
法律上の労働時間の上限は「原則1日8時間・週40時間」(労働基準法32条)であり、それ以上となると時間外とみなされるので、基準からみれば週25時間オーバーで月に100時間拘束となり、過労死ラインといえます。
このような毎日を送っていて、つねに平常心を保てなんてむちゃです。そりゃイライラもするし、子どもに感情をぶつけてしまいますよね…というお話です。
👆こちらは過労死防止の資料の一部ですが、ためしにこれを子育てに置き換えてやってみたら大体のお母さんはひっかかっているはずです…👆
まとめ
いかがだったでしょうか。
今回ご紹介したように、怒りの発生は、色んな理由があります。
「どうして私は子どもに感情をぶつけてしまうのだろう」「子どもが傷つく言葉ばかり言って、母親失格です」と泣きながらお話されるお母さんも多いのですが、ここまでお読みいただければおわかりのように、「そりゃ、そんだけがんばってたら感情ぶつけてしまうことだってあるよね」ということです。
お母さんだって、きっとわざとではないはずです。
できればお子さんとニコニコ笑って穏やかな毎日を過ごしたいですよね。でも、出来ないのは今回ご紹介したようなことが理由なのかもしれません。
怒りというのは、その他の感情と比べて、対人関係を破壊するリスクを含みます。
そして、攻撃行動(子どもを否定するような言葉がけなど)は親子関係を悪化させるだけではなく、子どもを攻撃してしまったことによる自責の念がお母さんを苦しませます。
「私って最低な母親…」と、ネガティブな自己評価ばかりになってしまいます。
でも、我慢ばかりもよくありません、あまりにも我慢をしすぎて、ためこんでしまうと、お母さんの自尊感情はどんどん低下していきます。
なぜなら、怒りの我慢というのは、『悲しさからくる怒りを気にしないようにふるまう・感情にフタをする』という行為になり、それが積み重なると『お母さん自身が自分の気持ちすらも大事にできず、自分がどんどんないがしろにされている感覚を持ち、「私っていったい何なんだろう…母親でいていいことある?」とすら感じてしまう』ことにもつながりかねません。
まずは、怒りの発生源を特定してみましょう。
そして、可能であれば「今わたしはこういう状況でつらい」ということを、ご主人や身近な人に相談したり、愚痴を吐き出すことも大切です。
「最近なんかイライラする…」は、もしかすると日頃の頑張りすぎのSOSかもしれませんので、よければ今回の記事を参考にしてみていただければ幸いです。
それでは、今回はこのへんで終わりたいとおもいます。
また次回のブログにてお会いしましょう 🙂
まいどん先生(公認心理師)
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