「失敗を次にいかす」はNG?

「失敗を次にいかす」はNG?

ブログをお読みいただきありがとうございます。

風邪をひき、のどがやられ、声がカッスカスの山下です。カウンセリングではみなさん、きっと聞き取りにくいだろうに「大丈夫ですよ」と言ってくださり…ありがたいです…はやく治ってほしいです(T_T)

 

いつだったか、『失敗は成功の母』というタイトルで子育てセミナーの講師としてお話をしたことがありました。
その時はレジリエンス(精神的回復力)と絡めてお話したと思います。
人前で話すということに慣れず(今もですが)、覚えたてのカタコトの日本語で「シッパイハセイコウノハハ」と言っていたような、そうじゃないような…。

親は子どものやりそうなことを予測しやすいがゆえに、先回りをしてしまう。しかしそれは、子どもが失敗から学ぶ機会を奪っているともいえる。課題の分離をして、失敗させられることはさせていきましょう。
そんな話だったように思います。

親は、

『あ、そこにコップ置いてたらこぼすで。(20秒後)ほらね。こぼした。だからいわんこっちゃない。
また面倒な作業を増やされた。あーもう、今日も思い通りにいかない…(イライラ)』
ということを何千回も繰り返してきているので、つい『ミスなく問題なく滞りなくスムーズに1日を終えられること』を目的にしやすいです。

『自立が大事っていうのはわかるけど。わかるけどさ!
そんなことよりも、大変やねん!子育てって!
水こぼされて、子どもに後始末をさせればいいっていうけど、きっとふきかたも甘いだろうから結局私が拭かないといけなくて二度手間だし。
そんなことするんなら、ちょっとくらい自立できてなくてもいいよ』
と思いたい日もありますよね。

今回は、失敗を次にいかすということをテーマに記事を書いてみたいと思います。

 

子どもが思っていたとおりにならなかったときに親がやりがちなこと

例えば、子どもがおうちのルールを守らなかったとします。

17時門限なのに、17時半に帰ってきたとして、よくやりがちなのが以下のようなやりとりです。

何時だと思ってるの!門限を30分オーバーしてるでしょ
だって…Aちゃんが帽子をなくしたっていうから一緒に探してて…
だってじゃないでしょ!それならインターホンでママに状況説明するとかできたでしょ!何回門限破るのよ!ママ、ほかのお友達のママに連絡するところだったよ!!!
…。
ねえ、どうしたらこういうことが起きないと思う?何がよくなかったと思うの?これから同じことが起きないように考えないと。同じこと繰り返すでしょ。
えっと…。友達が帽子をなくしても帰るとか…
そんなのかわいそうでしょ。そうじゃなくてさ、まず、どうしたら時間を気にすることができるの。
…。時計を持っていく?
うん。持って行って、どういうふうに確認するの
えっと…30分ごとに時計をみたり…
そうだね。定期的に確認したらいいわね。ほかは?どうしたらいい?
時間になっても帰れない時は、インターホンを押してママに言う…
そうだね。時計を持って行って時間を気にして、インターホンで状況説明してくれたらママだって降りていっしょに探したりできたよ?何かあったらどうするの。もう2年生なんだから、それくらい考えてできるようにならなきゃだめでしょ。
はい…

…と、このように、

・何がよくなかったのか?悪い点だったのか?とお説教をする

・「どうしてこうなったと思う?これからどうする?」と原因と対策を聞く(詰める)

というようなことを、子どもが言い返せない雰囲気を醸し出してやりとりしてしまう…というやりとりをよくお見掛けします。

 

まるで「蛇に睨まれた蛙」のよう

子どもも、「やってしまった(約束を破ってしまった)」ということをわかっているので、お母さんには逆らえないし、口答えができない。

親に「あなたがやったのはこういうことよ。悪いことをしたのよ。わかってるの?」とことの重大さをわからせようとチクチクネチネチお説教をされたり、原因と対策をしつこく聞かれ、しかも親の思うような回答が返ってこなければ「そうじゃなくてさ…」とため息交じりに返されてしまう。

「次からどうする」に対するこたえが「頑張る」だった場合、「具体的には?」問いつめられると、「こういうふうに工夫する」と応対するしかなくなってしまう。いわば誘導尋問で、「次からは門限を守ります」と約束させられる。

その時は子どもも心から「次は同じことを繰り返さないぞ」と思うものの、そうはできないこともあります。(私だったら、ひどく二日酔いになったら「1週間は飲まないぞ」と言った3日後には缶ビールをプシュッとやってたり。)

 

そして、親は「また約束をやぶったのか」といらだち、

こうするっていってたのに!やると言ったのに!

と子どもを責めてしまいやすいです。

 

「厳しく叱る正当性」を得た親は、子どもを責め、誘導尋問し、子どもは言い逃れできず追いつめられてしまう。

そして、守れない約束をさせ、同じことを繰り返してしまう。

親はどんどん子どもを信用できなくなり、子どもは殻に閉じこもってしまったり、開き直ってしまう…そんなやりとりを多く見かけます。

 

子どもを叱るのに十分な理由が見つかると正論を振りかざしてしまう

約束を破ったから叱る必要があるし、自分は感情的に怒らないように言っているし、なんなら優しく諭すようにしてる。

…と思いたいものの、実際は、そんなやりとりを通して「あなたは自分で言ったことも遂行できないだめ人間」と言っているのと同じだったり…。

子どもは親の言うことが正論すぎて反論できないし、逃げ場がなくて、親が納得するような態度は何かを考えてそのようにふるまうしかなくなってしまいます。しかし、この場合、反省をしてそのような態度をしているというよりも、『どうすれば親が「いま」自分を許し、このやりとりから解放してくれるか』しか考えていないことがあるので、実際は話をちゃんと聞いていないことも多いです。

 

普段子どもの自立などを意識してあまり子どもの問題に口を挟まないようにしようと我慢することが多いかたほど、こういう時は「叱る正当性」を盾に子どもを攻撃してしまいがちです。

私はそのようなご家庭には、『そもそも普段から我慢が多い状況を脱することが大事』とアドバイスをすることが多いです。

我慢が多いのは親のものの見方の問題なのか、「それは子どもの問題だ」と思って介入しようとしていないのは実は介入が必要だったとか、親が子どもが荒れないようにすることを最優先に考え我慢ばかりでしつけができていなかったとか、様々なことが親のいらだちに隠れていることがあります。

ここぞとばかりに子どもを責め、攻撃するとその時はスッキリするんですけど、今度は親子の関係性を見たときに溝ができてしまいやすいですし、『支配と服従』のような関係を深めてしまって、子は親に本音で話すことがなくなってしまう…なんてこともあります。

 

まとめ

もちろん、「次からどうしようか」という話をするのは大切なことなのですが、親が一方的に詰め寄るのではなく、

「約束を破ることになってしまったのは理由があるはず。それはなぜかを教えてほしい」

「そういう理由があったのね。それはよくわかったよ。」

「親としては、約束を守ってくれなかったことで、帰宅が遅くてすごく心配した。大切なあなたが約束の時間に帰ってこないとなったら、親は色んなことを考えてしまう。事故にあってないか。友達とトラブルになっていないか。事件にまきこまれていないか。そんなことを考えて、心配しちゃう。」

…と、理由を優しく聞いてあげたり、親の気持ちを伝えたりして、責めないように意識をしていただくことが大事だと思います。

誰だって、つねに完璧ではいられないものです。

 

もし私が、「ビールは週2までと決めたのに週4飲んじゃった」ことに対して、主人に

「で、なんで週4飲んだと思う?自分の意識の低さ?そうやんな。お酒の飲みすぎがよくないことくらいわかるよな。誘惑に勝てなかった自分がだめなんよ。次から週2で抑えられるようにするにはどうしたらいい?そうやな。紙に「ビールは週2まで」と書いて冷蔵庫に書く。いい方法や。それでやってみ。やればできるんやから。意識の問題やで。次からは我慢せえよ。ええな?」

…と毎週のように詰められるように言われたら、

口では「気をつける」と言いながら、『さて。どうやって主人の目をかいくぐって酒を飲もうか…』ということを考えることでしょう😓

「まあな~。ビールは美味しいもんな。わかるで。仕事の後。風呂の後。プシュッ、ごくごく、ぷはー!…最高やんな。わかる。わかるで?だけどさ、飲みすぎは、やっぱり、心配やねん。…ん?来週は週3にしてみる?そうか。健康を意識してくれたら、俺うれしいわ」

…と言われた方が、量を減らしてみようかな~と前向きに考えられるかなと思います。

そんなふうに、みなさんも、お子さんに対しては詰め寄らずに子どもが自ら「どうしたらいいか」を考えられるようなやりとりを意識していただくといいかもしれない…というお話でした。

 

それでは、今回はこのへんで終わりたいとおもいます。最後までお読みいただきありがとうございます。

また次回のブログにてお会いしましょう 🙂

まいどん先生(公認心理師)

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