「この子は苦しんでいるのかも…」と思えば思うほど悩みが増えてしまう・前編
ブログをお読みいただきありがとうございます。まいどん先生こと山下です。
私はよく、支援を受けておられるみなさんに「お子さんの気持ちを想像しながら、寄り添い話を聴きましょう」とお話します。
しかし、その想像というのも、寄り添いというのも、どちらもとても難しいもので、考えが飛躍したり、なんでもかんでも「うんうん、そうだよね。わかるよ」と同調したりオウム返しばかりするのとはまた違います。
しかし、その難しいことに取り組むからこそ、お子さんの悩みや母子登校や不登校をも乗り越えられることが多く、MIKURU・MIRUの支援を受けて母子登校や不登校を乗り越えられたケースは多いです。
そして、このような親の関わりをしようと思った時に、皆さんがよく陥ってしまいやすいのが、「この子は苦しんでいるのかも…」と思えば思うほど悩みが増えてしまうというもの。
今回は、これをテーマに記事を書いてみたいと思います。
どうしてうちの子はこんなにも弱いのだろう
支援(カウンセリング)の最初のほうのご相談では、このようなことをおっしゃる方は多いのですが、私はよく、
とお答えします。
実際、親子のやりとりを詳細にお送りいただくと、
・大体いつも同じ時間帯に「ママがいい」と言う ・特定の条件がそろうと「ママがいい」と言う ・本人のコンディションや機嫌がある状態になると「ママがいい」と言う …みたいに、どうして「ママがいい」と言うのかが見えてくることがあります。 |
お母さんがお子さんと関わっている時に、
と言われることが多いと、
…と捉えてしまう方は多いです。
その回数が多ければ多いほど、「うちの子は『いつも』ママがいいと言う」と捉えてしまうものなのですが、実際のところ、いつどのような時に「ママがいい」という発言が出るのかを記録に残し、観察し、分析していくと、実は「いつも」ママがいいという発言が出ているわけではないんだなということが分かってくることが往々にしてあります。
このように、主観による思い込みの強さが、「この子を弱くしたのは私」という結論につながっていきやすいともいえます。
子どもの視点に立って考えてみることは大事だけれど
…と、私は皆さんに傾聴によるお子さんへの共感と理解の方法をお伝えしているのですが、上で書いたような思い込みが強い方は特に、悩みをあらたに生み出したり、深めてしまいやすい傾向にあります。
例えば、
このようなやりとりがあったとします。
これまでのやりとりでは、消しゴムを取られたりうるせーといわれたということに対して、「そんなの奪い返せばいい」とか「そんなこと言われたくない。返して!って強く言えばいい」などのアドバイスをしていたお母さんも、寄り添おう・理解しようと関わりを変えようとすると、上記のようなやりとりをされるようになっていきます。
そして、本人が見ている世界を知ろう・理解しようと思うので、色々と想像するのですが、
…というふうに悩んでしまうことがあります。
しかし冷静に考えてみると、
・この段階においては、学校が辛い環境なのかどうかはわからない ・毎日耐えているとは本人は言っていない ・嫌なことばかり起きると言っているけれども、他に何があるのかは聞いていない ・学校が嫌だというレベルはどの程度かがわからない …ということがわからない状況であるともいえます。 |
そう考えますと、親の憶測で「かわいそう」「無理をさせている」「相当なストレスを感じている」と判断してしまっているともいえますね。
主観が親の不安や心配を生み出しているかもしない
子どもの視点に立つためには、ひとつのものの見方だけではかなり偏ってしまいます。
そして、無理をさせ過ぎているという結論に至った時、多くの親御さんはお子さんに腫れ物を触るような関わりになってしまったり、無理しなくていいと学校を休むように言ったり、一生懸命おうちでリラックスさせようと甘えさせられるように行動されます。
しかし、実は子どもが話をしてくれているのは1日のうちのごく一部の切り取りでしかなく、さっき例で挙げた「山下くんに消しゴムをとられたエピソードには続きがあった」なんてこともよくある話です。(その後山下くんも一緒に中休みで鬼ごっこをして遊んで楽しかった…など)
にもかかわらず、「この子はかわいそうなんだ」「無理をさせ過ぎているんだ」と極端な捉え方をしてしまうことによって、親が子をケアしたいと思うがあまり手を加えすぎて愛情過多になったり、ストレスになりそうなものを片っ端から排除しようとしたりして、どんどん状況が複雑化してしまうことがあります。
実際、支援を受けてみたいとご相談をいただくケースの殆どが最初はこの状態なんです。
親子会話を拝見していると、みなさんとても頑張ってお子さんと関わっておられるのですが、特に最初は「どうしてここまで気を遣われているんだろう」「どうしてこんなにも腫れ物を触るような関わりになっているのだろう」「どうしてこんなにも『よしよし、大丈夫だからね』と安心させたいという気持ちが前面に出続けているんだろう」とこちらが思うほど、丁寧すぎるほどに、そしてどこか丁寧すぎて違和感があるくらいに関わっておられることが多いです。
なぜこのような関わりをされているのでしょうかと聞くと、「この子はとてもおびえているんです」「私がいないとダメな子に育ててしまったから…」「いつも怖い、不安だって言うんです」という返事をいただく。
そしてしばらく数日分の会話を拝見して分析していくと、親の主観が「この子はかわいそうな子なんだ」に偏りすぎてしまっていることがわかり、「こういうものの見方もできますよ」「試しにこうやって関わってみてもらえませんか」とお伝えして、ものの見方を変えるように気をつけてもらったり、関わりを変えてもらうことで、
「あれ・・・?この子、案外強いな・・・」
とびっくりされることがあります。
偏ったものの見方にならないよう、日頃から出来る限りたくさんのものの見方で、状況を多角的にとらえ、感情的になりすぎずに子どもの話に耳を傾けていくということが大切です。
長くなりそうなので、続きはまた次回書かせていただきます。
また次回のブログにてお会いしましょう 🙂
まいどん先生(公認心理師)
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