「この子は苦しんでいるのかも…」と思えば思うほど悩みが増えてしまう・後編
MIKURU・MIRUでは、
・子どもに寄り添い共感・理解の姿勢を示していくことが大事であると考える
・物事の捉え方がひとつに偏らないように心がける
・観察が大事
ということをよく皆さんにお伝えしています。その取り組みにおいて、「この子は苦しんでいるのかも…」と思えば思うほど悩みが増えてしまうことをテーマに前回からの続きで記事を書かせていただきます。
思考の矛盾
親御さんのカウンセリングをしていると、「矛盾があるな」と感じることがあります。
「迷い」ともいえることで、どちらの意見もわかるなと思いつつ、いつまでもその迷いから抜け出せなくて同じところをぐるぐるされている方の場合、
・悩み続けるけれども行動にうつせない
・悩み続けて行動はするんだけれども「これでよかったのか」と過ぎたことに対してさらにあれこれ考えてしまう ・後悔したくないという気持ちが強すぎて本や動画などから色々な情報を得ようとしすぎる |
…ということがあります。
その結果、
と言う一方で、
とも仰ることがあります。
このように文字にしてみると、「将来のために頑張らせたい」でも「傷つけたくない」という矛盾(迷い)があるということがわかります。
実際、お子さんが不登校であったり、母子登校であるケースの場合、このような2つの両極端なことをぐるぐると考えてしまうというかたは多いんではないかと思います。
支援を行う上で、「状況がすぐ変わるor変わりにくい家庭」そして「状況はすぐ変わり、その上で同じことを繰り返しにくいor繰り返しやすい家庭」があるのですが、
①「状況が変わりにくい」あるいは
②「状況はすぐ変わるけれども同じことが繰り返しやすい」家庭の場合、
①「状況が変わりにくい」
…といった感じで、変化を恐れるがあまり「子どもを成長させたい」と思うのに、そのために行動を変えようとすると拒否が出てしまう
②「状況はすぐ変わるけれども同じことが繰り返しやすい」
(状況がすぐに変わってよくなっていく。そして半年後…)
ここまでやってきましたが…この子も結局は変わらないんじゃないかって思うんです(子ども側の変化への諦めに近い発言)
私、先生に教わったこともできなくなっていて。恥ずかしいです。嫌になります
…といった感じで、最初は頑張って「言われた通りに」やってみるものの、無理な頑張りでもあったので長期スパンで同じ取組の継続ができなくなり、親子の関わりがうまくいかないところを支援者に見られる=「自分はダメな人間だ」という思い込みでさらに落ち込み、支援初期の思考に戻ってしまう
このようなご家庭は、支援も親御さんのカウンセリングもうまく前に進んでいかないケースといえます。
でも、こういうことって誰にでもあると思うんですよね。私も失敗したくない人間なので、買い物をする時なんかは念入りに調べて、買った後もマイナスレビューも調べまくって、時間をかけてはじめて買ったものに納得する…なんていうことがあるので、親御さんがたのお気持ちはよくわかるなと思います。
「この子は苦しんでいる」という視点にとらわれすぎない
子どもが学校などでの周囲との関わりをすればするほど、多かれ少なかれ、不安や心配ごとは必ずうまれます。だからこそ子どもは、安寧を求めようとします。穏やかで、心安らかな状態を求めたがります。
そして、多くの親御さんは、多かれ少なかれうまれる子どもの不安や心配ごとのほうにフォーカスしがちです。
しかし実は、こどもの不安・心配ごとなどの「障害物」「憂慮」を取り除くのではなく、「安心させよう」「おうちでは好きにさせてあげよう」と過剰にケアしようとしすぎないことのほうが重要です。
不安や心配から逃れようとしすぎると、他者や親御さんとの関係や環境に安寧をもとめすぎてしまうことがあります。
そして波風が立たない、自分にとって苦痛が全くない環境を追い求めすぎて、ほんのちょっとの不快感を極端に・そして過剰に受け取ってしまって、「あれが怖い」「これが嫌」と、子どもにとっての不安や気になることがどんどん増えていきがちです。
様々な方法で、(ちょっとなら耐えられるかなとおもう範囲のものでいいので)苦痛を耐えてみたり、苦痛に密着してみたりしながら、「なんだ。これくらいなら平気だぞ」と思う経験を積み重ねていくことも大切です。
この「苦痛に耐える」というのは、よちよち歩きの子にいきなり走りなさいという極端なものではなく、「5歩歩けたからもう1歩歩いてみよう」くらいのレベルのものでいいんです。
時にこけてしまうかもしれません。それでもやってみる。そして、「こけることへの不安と戦ったあなたに、チャレンジの倍以上の安心感をあげましょう」と過剰にケアしすぎないようにも心がけてみることも大事です。
何重にも鍵をかけられているような安心できる場を提供しすぎると、「5歩歩けたからもう1歩歩いてみよう」レベルのチャレンジを外ですることすら怖くなってしまうからです。
もちろん甘えさせてはいけないというわけではありません。
ですが、「今日はひとりで行けたから、ママがずっと遊んであげるね。おやつは何がいい?好きなものを買ってきてあげるね。明日頑張れたらこのご褒美を買おうね。ヨシヨシ。あなたは強い子ね。頑張ったから、ゲームのルールも大目に見るね。あなたは学校が嫌なのに、苦しいのに、それでも頑張ったんだから。すごいわ」…というふうに、1歩多めに歩くくらいならばそこまでの苦痛ではないはずなのに、親が「この子はかわいそうなんだ」「この子は苦しんでいるんだ」という考えにとらわれるがあまり、おうちで落ち着ける環境を作りすぎてしまうと、逆に不安や苦痛をさらに生み出してしまうこともあります。
大事なのはバランスです。不安を取り除こうとしすぎないし、安心を与えようとしすぎない。何にしても「やりすぎ」はよくありません。
まとめ
「この子は苦しんでいるのかも…」と思えば思うほど悩みが増えてしまう。
その理由は、主観による思い込みの強さや、思考の矛盾や、安心させようとし過ぎることが原因だということを書かせていただきました。
支援(カウンセリング)の中では、こういった親御さんの思い込みや、思考の矛盾や、安心させようとし過ぎる傾向に気づいていただけるようにお話を聞いたりアドバイスをしています。
MIKURU・MIRUの家庭教育支援では、親御さんのケアを重視し、「あなたのお子さんはこういう性格だから、親はこう関わるとよい」とアドバイスを差し上げつつ、いずれ支援を卒業されることを見越して親御さんの思考に対しても気づきを得ていただけるように心がけています。
支援から、カウンセリングから離れても、ご自身でご家庭を客観視して、複雑に捉えてしまっている部分をみつけて、ご自身で整理出来るようになることで、似たような悩みを作りだしにくいと考えるからです。
なかなか自分を客観視したり、頭の中の考えを整理することは難しいものですが、よければ今回のブログがどなたかのお役に立てれば幸いです。
それでは、今回はこのへんで終わりたいとおもいます。
また次回のブログにてお会いしましょう 🙂
まいどん先生(公認心理師)
👇応援よろしくお願いします!!
にほんブログ村
👇Instagramはこちら