親子関係が良好だと母子登校は解決する?
ブログをご覧いただきありがとうございます!まいどん先生です。
心理学は哲学から派生されたものと言われているのですが、最近はみなさんにもっとよい支援・情報発信をしたいと思い哲学書を読むことが増えました。
マルティン・ブーバーの『我と汝』という書籍を最近読み、「これは親子関係においてとても大切なこと」と思い、一度では落とし込めなかったので連続で読み返し2周しました。
今回は、そんな『我と汝』の内容をふまえ、母子登校の解決方法のひとつをご紹介していきたいと思います。
「我なんじ」と「我それ」
ブーバーは『人間には2通りの存在の仕方がある』と言っています。
それは、『我ーなんじ』と『我ーそれ』の関係です。
我ーなんじとは
「人を人として見ている状態」そして心が平和的であること
我ーそれとは
「人を物として見ている状態」そして心が敵対的であること
…と書かれてあるのですが、「人を人として見る」「人を物として見る」ということとはいったいどういう状態を指すのでしょうか。
例えば、自分の目の前の人が…
・自分の存在を気にかけてくれる
・目を見て話しかけてくれる
・優しく微笑みかけてくれる
あるいは、
・自分の存在を気にかけてくれない
・目を合わさない
・顔を見ないでやりとりをされる
どちらのほうが、「自分は受け入れられているという安心感」を持てるでしょうか。
答えは前者ですよね。
後者のやり取りは、まるで自分を意に介さないような態度であり、「人として向き合えてもらっている」とは言えません。
相手のことを対等な存在としては受け入れておらず、存在を否定したり傷つけてしまう状態が「我ーそれ」の状態です。
親子会話において、親が子とのやりとりにおいて、大事な話の時に全く目をみずに「ふーん」だけで終わっていたり、話を聴き切らずに「それはこうでしょ」と意見をしてしまうと、「我ーなんじ」ではなく「我ーそれ」の状態になってしまっているとも言えます。
その結果、子どもは疎外感を持つようになってしまいます。
不思議なことに、親は一生懸命子どものために毎日美味しいご飯を作り、家を清潔に保ち、勉強を見たり色んなサポートを通じて関わっているにも関わらず、子どもは疎外感を感じてしまうというわけです。
逆に言えば、多少ご飯が手抜きでも、家の中が少し乱れていても、一生懸命なサポートがなくても、「向き合うこと」で子どもは安心感を味わえるということです。
母親は、子どもを産むことでオキシトシンが大量に分泌されると言われます。
そして、母子間の強い絆とつながりを感じるのですが、医学では母親がそのつながりを強く感じているが故に、「子どもを時に物として扱っても大丈夫」と思ってしまうときがあるということが言われているようです。
家事や仕事に追われていると、ついつい子どもの目を見ずに「へえ」「ああそう」「そんなことより宿題したの?」なんて言いがちです。
しかし、子どもにとって、お母さんに話しかけている瞬間に見向きもされなければ「人として扱われている」よりも「物として扱われている」ような疎外感を持ってしまいます。
このようなやりとりが日常化すると、どんなに親しい人とも、そして親子関係であっても「そばにいるのに疎外的な関係」になってしまいます。
あまりにも社会や家庭から疎外されると、人の本質や人間性が人間から離れてよそよそしく疎遠なものいなり、非人間的な状態に陥らせます。
そこまでいかなくとも、疎外的な続くと、『孤独な状態』になってしまいます。
生活は豊かなのに、友達がいっぱいいるのに、それでも孤独な状態。
「いつもさみしい」「いつも不安がある」「いつも自分に自信が持てない」
このような状況を作りだしてしまうと言われています。
よって、親子関係においては、しっかり向き合い「我ーなんじ」の関係性を築いていくことが大事です。
心から理解する・共感するということ
友達・ご主人・職場の人・親 など、過去の誰かとのやりとりを思い出してみて、「自分を理解してもらえた」という感覚を持ったことはありますか?
自分は深刻な悩みを抱えているにも関わらず、まるで相手に見えないバリアが出来て、相手が「自分を守るモード」に突入し、あまりちゃんと話を聴いてもらえなかった…とか、話をしていたのに「そういえば私も…」と会話の主導権を奪われてしまった…とか、「そんな時はこうよ!」と話の全体を聴く・掴む前にアドバイスをされた…とか、そういった経験はしたことありませんか?
実はこのような状態は、先ほどの説明でいえば「我ーそれ」の状態と言えます。
人は話を聴いてもらいたいのにそうじゃないとき、相手は自分のことを人として見るというよりも、物として見ている感覚を持ち、疎外感を感じてしまいがちです。
それが親子関係においても同じことが起きていたとすれば、少し悲しいですよね。
子どもは親と離れて集団生活を送る上で、お母さんが離れていても見守ってくれている感覚さえあれば、勇気がわき、チャレンジが出来るようになるとも言われています。
そのため、しっかりと『聴く』『受け止めてあげる』ことが大事ということがいえます。
よく、
「でも、子どもの言うことになんでも『そうなのね』と言ってしまったら、まるで私が子どもの言うことを『それでいいよ』と肯定しているみたいじゃないですか…子どもが宿題したくないとか、学校に行きたくないのに『そうなのね』なんて言えません」
…というお声もいただくのですが、決して同感しなければならないというわけではありません。
大辞林でいう②と③にあたるのが共感です。
① 他人の考え、行動に「全くその通りだと感ずること」同感
② sympathy/他人の体験する感情を自分のもののように感じ取ること
③ empathy/感情移入
子どもが「宿題したくない」「学校に行きたくない」と言うのであれば、その感情を親はいったん②あるいは③の状態に入り込むようにしてみましょう。
それができるかできないかで、「そっか、宿題したくないのね」という共感の後に続く声掛けがとてもやさしいものに変わるはずです。
結果親が「じゃあ宿題しなくてもいいよ」と言わず「でも、宿題頑張ろうよ」と声をかけたとしても、子どもには『自分の感情を理解してくれた・聴いてくれた』という感覚が伝わるはずです。
表面的に言えば『共感と非受容』のテクニックということになりますが、本質的な話をすると共感というのは簡単そうでとても難しいものであるということがわかりますね。
だからこそ、家庭教育のお母さん対応の基礎は「アクティブリスニング(傾聴)」であるということをみなさまにお伝えしています。
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内なる父・内なる母
家族療法や家族心理学では、親子の関わりを通して、人は『内なる父』と『内なる母』を獲得していくと言われています。
子どもは、親とのかかわりの中で自分の中に『プチお父さん』『プチお母さん』を宿していきます。
正確にいえば、知らず知らずのうちに親のことを模倣している状態です。
ふと子どもの兄妹間でのやりとりを見ていると…
「うわッ、その妹への指摘の仕方…私がイライラして子どもに言っているのとそっくり!」
とびっくりする瞬間はありませんか?
このように、お母さんやお父さんの思考や口癖などは知らず知らずのうちに子どもが模倣し、知らず知らずのうちに同じような行動を取っていることがあります。
内なる父・母は、お母さんお父さんが『母性』(共感的な心や相手を思いやる気持ちなどのこと)と『父性』(ルールは守るべきという社会規範や不正をせず立ち向かうこと)を意識して子どもと関われば関わるほど、より育まれていきやすいのです。
親子関係の良好さが子どもの未来の「生きやすさ」を作る
ここまで、「我ーなんじ」の関係性により「自分を受け入れてくれている安心感」と「子どもは親を模倣する」ということを書かせていただきました。
日頃親が子どものことをコントロールしようとしたり、管理をしてしまう状態は、ある種「我ーそれ」の「子どもを物として扱ってしまっている状態」とも言えるかもしれません。
親は子どもの自我を認めてあげたり、しつけはするけれどもきちんと向き合い「なぜ親はいま叱っているのか理由を説明する」ことや「子どもが一生懸命話してくれていることに向き合おうとする」ことは「我ーなんじ」の「子どもを人として扱っている状態」であると言えます。
そして、そのような関わりを積み重ねていくことで、たとえお母さん・お父さんがそばに居なくても、
子どもはまるでいつでも見守ってもらえているような安心感を持てるようになります。
子どものころは、子どもは親の庇護がなくては生きていけないこともあり、親の言うことが絶対的なので親に言われたことに対して深く気に留めずに過ごすことが多いですが、実は親子のやり取りで感じた不快感情は大人になるまで蓄積されていて、大人になってから「生きづらさ」を感じる要因のひとつになっているとも言えます。
少し話が逸れますが、アダルトチルドレン(AC)と呼ばれる状態の方は「我ーそれ」の関係性で大人になっていっているという風にも考えられます。
子どもが大きくなり大人になった時に、「親に温かく見守られ受け入れてもらえた」感覚がある状態を目指したいものですよね。
まとめ
いかがだったでしょうか。
今回は少し哲学的な話も交えながら家庭教育や心理学について解説をいたしました。
家庭内暴力や癇癪の多さや母子登校や不登校や引きこもりなど、ご家庭内での悩みというものは、もしかするとこのような「我ーなんじ」「我ーそれ」の関わりが続いていたことが関係しているかもしれません。
私は家族の中での悩みというものは、『子どもとカウンセラー』あるいは『親とカウンセラー』の一対一の関わりで変化することは難しいと感じています。
家族心理学でいう『システムズアプローチ』といって、親子関係や家庭資源を考慮し、家庭全体をシステムとして分析した上でアドバイスをしていくことが大事です。
親御さんとカウンセラーとの関係性を築くことはもちろんのこと、お父さんとお母さんの関係性はどうか?お父さんと子、あるいはお母さんと子の関係性はどうか?それ以外の家族との関係性はどうか?というところもしっかりと分析・判断をしていきながら一体どこで「エラー」を起こしてしまっているのかというところを知ることが重要です。
そこを知らない・分からない状態で対応を組み立てたりアプローチをしても、対症療法でしかありません。
根本が変わっていないため、似たような悩みを抱え続けることもあります。
家庭教育をまなび親が変わっていくということは、お母さん自身の「生きづらさ」の解消や「問題が起きても乗り越えていける強さを家族全体がもてる」ことや「子どもに疎外感ではなく安心感を持たせる」ことができ、何よりも家族全員が安定した関係性を築けるので家族全体の将来にプラスの効果を生み出します。
今もし、母子登校や不登校などの悩みを抱えていなくても、「なんとなく子育てに不安感がある」「親自身に生きづらさがある」のであれば、家庭教育を学ばれてみるのもひとつかもしれません。
👇stand.fmでも3回にわたり、共感的に話を聴くという点について話をしていますので、よければこちらも聴いてみてくださると嬉しいです。
それでは、今回はこのへんで終わりたいと思います。この記事が、どなたかのお役に立てると幸いです。
貴重なお時間をいただいたこと、最後までお読みいただいたことに感謝いたします。ありがとうございました!
親まなびアドバイザー まいどん先生
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