親が子どもの話を「聞こう」とすればするほど距離が遠くなる…なぜ?

親が子どもの話を「聞こう」とすればするほど距離が遠くなる…なぜ?

ブログをお読みいただきありがとうございます!

今回は、前回に引き続き思春期のお子さんを持つ親御さん向けに、傾聴を頑張っているのにどんどん親子の距離感が遠くなっていく…という矛盾した状況について解説をしたいと思います。

 

そもそも思春期っていつから?

みなさんは、「10歳の壁」という言葉を聞いたことがありますか?

厚労省は、思春期は8歳~18歳くらいまでといっていますが、一般的には10歳頃から思春期に突入することが多いといわれています。

身体が第二次性徴としての変化がおこりはじめたころ。

女の子だと胸のふくらみが出てきたり、男の子ですとのどに違和感が出てきたり…少しずつ大人になる準備を体がはじめる時期です。

早い子でしたら8歳くらいから思春期に突入する…ということで、びっくりですよね。

 

高学年~中学生にもなると、子ども達は反抗期に突入しやすく、親との衝突が起きやすくなっていきます。

👇音声配信でも解説しています。よければ聴いてみてください👇

思春期・反抗期とは

 

子どもが思春期に入ってから、親は子が何を考えているのかがよく分からない

思春期は8歳以降からですが、10歳頃からはじまることが多い思春期。

思春期の子は、勢いで言いたいことを言いがちです。

「は?バカなの?」「ウザッしね」「だまれくそが」

…みたいなことを言われると、お母さんもさすがに傷ついたり腹が立ったりしますよね。

 

「誰に言ってるの?もう一回言ってみなさいよ」

なんて言ってしまった日には、その日1日はずっと険悪なムードの中過ごさなけばならなくなるでしょう…。

 

そもそも、思春期の時期はみんな情緒不安定だと思っていいくらい、「自分とは何か」「自分はどんな人間なのか」を知ろうとして周りの目を気にしすぎたり、自分に気持ちが集中しすぎたり(自意識過剰)します。

同学年の子とお互いが不安定な中人間関係を築いていかなければならず、人間関係において悩みは尽きません。

しかし、お互い自由に好き勝手に発言していくことで、そこから学んでいったりします。

「さっきのはさすがに調子に乗りすぎたかも」「嫌われたかも」「傷つけたかも」

…と振りかえっていくことで、相手とのかかわり方を学んでいきます。

 

これは友達との関係のみならず、親子でも同じことがいえます。

しかし、友達関係との大きな差は、『親は絶対に子どもから離れていかないという安心感』かなと私は思っています。

だからこそ、思いっきり親が傷つくようなことをグサグサ言える。時に、過去の自分の子育てを批判されているようなことを言われたりもします。

 

「お母さん、あの時あれをやりたいって言ったのにやらせてくれなくてさ~。俺、数日夜ずっと枕を濡らしてたわ。笑」みたいに。

 

特に子どもには悪気はありません。

親は絶対に自分から離れないという安心感があればあるほど、子どもは過去を振りかえって「あの時、実は嫌だったんだよねシリーズ」を吐露しだすことがあります。

これがあるから、過去のモヤモヤを消化できて前に進めるとも考えられます。

ずっと喉の奥に引っかかっていた骨が出てくるような、言いたくても言えなかった本音がポロポロ出てきて、消化していけるなら素敵だと思いませんか。

 

それに対し、親は「この子が急にこれまで言わなかったことを言いだした…この子がわからない…」ではなく、「本音を言えるくらい、この子は大きくなったんだな」「親に見放されるかもと思って、これまで我慢させてしまってたのかもだな」と解釈する必要があるのではないかと考えます。

 

時々、中学3年生にもなるのに、ずっと親御さんに気を遣って、本音を言えていない子も見かけるのですが、精神的に不安定で脆く、自己肯定感が低いケースが多いと感じています。

そういったお子さんのケースでは、往々にして親御さんが管理・支配・押さえつけを無意識的にしてしまっていて、かなりお子さんが窮屈そうにしています。

もちろん親御さんに悪気はないので、支援の場では、『お子さん、今こう感じているかもしれませんよ』とお子さんの視点に立ってアドバイスをして、親御さんに気づきを得てもらえるように意識をしています。

 

寄り添おうとすると、どんどん心の距離が遠くなる

さて、私は常日頃から口を酸っぱくして傾聴だと言い続けており、支援を受けていただいている方は耳にタコができるくらいだと思います。

傾聴が出来れば、親子の関係性がよくなり、絆も深まりますよ、と。

しかし、万能に見える傾聴・共感にも落とし穴がありまして、共感をしようとすればするほど、「親子の心の距離感が離れていく」ことがあります。

頑張って取り組んでいるのに、なぜ?と思いますよね。

 

その理由は、ダブルバインドにあります。

 

👇ダブルバインドについて解説しているブログはこちら👇

 

共感しようと思うと、人はつい『思ってもいないことにも「わかる~!」と言ってしまいがち』なんです。

例えば、子どもが自分が推しているキャラをお母さんに紹介した時、親はよく良さをわかっていないのに「わかるわかる、こういうのがいいんだよね」と言われても、子どもは親の反応にしっくりきません。

なぜなら、自分と同じ熱量を感じないし、「いや、良さはそこじゃないし」と思うことがあるからです。

「わかるわかる!」と簡単に言われてしまうと、自分の推しへの熱量を馬鹿にされたような感覚にすらなるかもしれません。

ほかに、例えば、不登校の子に対し、本心は「学校に行ってほしい」なのに、言葉では「あなたが動き出すまでお母さんは応援するよ。見守る。あなたは動き出せると信じてるよ」と言われると、逆につらく感じさせてしまうこともあります。

 

子どもは特に親のそういった嘘を見抜くプロで、

『最近の親は、自分を分かろう・寄り添おうとしてあえて味方ポジションになって「うんうん、わかるよ」ってやってるよな。わかってるよ。バレバレ。味方風にしてても、わかってるから。でも、俺、お母さんに酷いこと言われて押さえつけてこられたこと恨んでる。だから、心を絶対開かない』

…みたいに(これはかなり極端な例ですが)逆に『絶対親に本音を言わない』と決意させかねません…。怖いですよね。

 

このように、あまりにも親の本音から離れ過ぎた『表面的な共感姿勢』はむしろ相手を孤独にさせ、距離が遠くなりやすいのです。

 

自分とは別人格の相手を「理解する」こと

じゃあもう私、詰んだやん…子どもが何を考えているかもわからないし、子どもがわからないなか共感「風」やってるだけで…

…と思われた方もいらっしゃるかもしれませんが、そうではありません。

 

そもそも、思春期のお子さんを理解するのはめちゃくちゃ難しいことだと思います。

なぜなら、本人ですら自分で自分が分かっていないからです。

思春期とは、「自分とは何か」「自分はどんな人間なのか」を知ろうとして周りの目を気にしすぎたり、自分に気持ちが集中しすぎたり(自意識過剰)する時期。

半年前に言っていたことと真逆のことを言いだすこともあり、その瞬間は本気かもしれないし、どれも適当に言っていることかもしれません。

でも、それが思春期です。それでいいんです。

 

そこを理解した上で、大事なのは、

『この子は親とは全くの別人格。最も近い存在だからこそ見えないところが沢山ある。親は子の一番の理解者だと思い込まない。この子が分からないということを大前提に、何を考えているのかを考え、観察し、掘り下げ、理解していく』

ということです。

 

これ、めちゃくちゃ難しいことだと思うのですが、支援をうけていただいている方は、なんとなくわかるなと思ってもらえるかなと思います。

 

人間、「わかっている」と思っているものには、改めて学び直そうとしません。

因数分解をやっているのに、わざわざ足し算引き算を学び直そうとは思わないのと同じで、分かっていることは過去のこととして、更に新たな勉強を積み重ねたくなりますよね。

でも、これが家庭教育においては、親がわが子を『この子はこういう性格なんだ』と決めつけて(思い込んで)しまうと、ますますわからなくなってしまいがちです。

 

こういう性格なんだと決めつけて(思い込んで)いると、「そういう性格」だと思う材料にのみ反応してしまうからです。

「この子はだらしない子」と思えば、1日のうちたった10分間出したものを出しっぱなしにしていただけで、「この子はすぐ散らかす。だらしない」と思ってイライラしてしまう。

でも、「この子は物を豪快にまき散らして遊ぶけど、決まった時間にちゃんと片付けられる」と思っていれば、目の前が散らかり放題でも「でも、そのうち片付けだすだろうな」と思って余裕をもって子どもを見ることができます。

 

このように、決めつけで相手を見てしまうと、とくにネガティブな情報に過剰反応をして親はイライラしがちですし、親が思っているのとは違う行動を子どもにされると、予測を越えた行動に親は混乱して、「あの子がわからない」になってしまいます。

 

子どもは毎日成長をしているわけなので、今は片付けが苦手でも、半年後には片付け上手になっていることもあります。

そういったことを意識しながら、日々わからないなりにも「こう考えているのかもしれない」「こう変化したのかもしれない」という視点で子どもを観察していくと、「なんとなく子どもがわかってきたかも…」となっていくことでしょう。

時間はかかりますが、これができたほうが圧倒的に子育てが楽しくなるでしょう。

 

まとめ

いかがでしょうか。

今回は、傾聴のテクニックというよりも、考え方について解説をしてみました。

MIKURU・MIRUには、お子さんが思春期・反抗期に突入した小学校高学年~中学生の親御さんが、「子どもの考えていることがわからない…」「わかるようになりたい。寄り添いたい。寄り添い方を知りたい」と感じてご相談をいただくことが多いです。

実際に支援をしてみて、「こういうことかもしれない」「こう捉えることもできる」と色んな可能性や視点をお伝えしていくと、じわじわと霧が晴れていって、「この子ってこんなこともできるんだ」「こんなポテンシャルを秘めてたの?!」と驚かれる方は多いです。

 

数か月ではなかなか霧が晴れないことが多いですが、晴れると、子どものほんの些細な変化に喜びを感じられる方が多いように感じます。

そして、「今、子育てが一番楽しい」というお声をいただくたびに、私も「がんばろう」と思えます(*'ω'*)!

 

それでは、今回はこのへんで終わりたいと思います。

最後までお読みいただきありがとうございました!

親まなびアドバイザー まいどん先生

 

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