親御さんの傾聴力が高いご家庭ほどお子さんの学力が高くなる?
ブログをお読みいただきありがとうございます 🙂
ベランダで育てている大葉がぐんぐん育ち、それはいいのですが、うまく消費できずに毎日困っている公認心理師のまいどん先生こと山下です。
家庭菜園に憧れてちょこちょこハーブや薬味や野菜を育ててみるものの、今度は料理スキルが追い付かず…「この料理にこの薬味を入れたら美味しいだろうな」と考えてパパっと作れてしまう方をみかけると、「ちょっとだけでいいのでそのスキルを分けてください…」と思ったりします…。
さて、今回は、親の傾聴力と子どもの学力をテーマに記事を書いてみたいと思います。
お子さんの学力・勉強へのやる気が高いご家庭の特徴
これまでの支援を振り返ると、親御さんの傾聴力が高いご家庭はお子さんの学力・勉強へのやる気が高い傾向にあるなと思います。
そういったご家庭の特徴は、
親が子のいわんとすることをあえて察することをせずに、たどたどしくても辛抱強く最後まできいてあげる姿勢を見せ、最後まできいたら、次は子どもが話してくれた説明をゆっくりじっくり整理することに取り組み続けている
というもの。
なかなかできることではないですよね。
時間に追われていたり、聞き手に余裕がなかったり、せっかちな性格だったりすると、
…ということがあると思います。
というか、ほとんどのご家庭がそうだと思いますし、私もそんなふうにつねに話を聴けるかというとそうではありません。
家族に対しては特に、何も考えずにポンポンと物を言ってしまいますし、聴くのも適当で、あとになって「もう、全然話聴いてへんやん」と怒られることもあります 😥
しかし、それでも『聴こうとする姿勢』をできる限り意識出来ているかどうかでかなりの差が出てきます。
教えよう・学ばせよう・身につけさせよう…と必死になるのではなく、
とにかく理解しよう・聴いてあげよう・じっくりと話を振り返り言葉の意味を理解させ、人の受け売りではなく自分の考えと言葉で堂々と説明出来る子になってもらおう
…と長い目で見て関わっておられます。
「語彙を増やす」のではなく「語彙の理解」を高めることの大切さ
先ほどの例のように、親が会話を先読みして「つまりこうでしょ」と要約したり、教えてあげると、会話はとてもスムーズになります。
お互い無駄のないやりとりが出来るのでストレスが減るともいえます。
しかし、その要約の仕方が…
・親の思い込みや勘違いがあることに気づかないまま行われている
・論点をずらしたり「教えなければ」ということに意識が向きすぎる
・『大人なら理解できる言葉と説明』になってしまっている
…という場合、子どもは『自分の言葉で語る』『自分の考えを持つ』『正しい語彙理解で会話をする』ということが苦手になることがあります。
親の思い込みや勘違いがあることに気づかないまま行われている
子どもの話をきいていると、
と話の途中でピンときたような感覚になることってありませんか。
これまでの会話の傾向から、「この子はこういう思考になりやすい」「こういう時にこんなことを言いがち」とわかっていると、ついつい子どもが全てを話し切る前に頭の中で親が「これを言いたいんだろうな」と先に結論付けてしまって、その結論ありきで話をきいてしまっていることから、微妙に親の考える結論と本人が言いたかった話が一致しないまま話が進んでしまうことがあります。
こういうことが起きている場合、微妙にニュアンスは違うのに、会話はかみ合っているように見えていて、互いに思い込みや勘違いがあることに気づかないままであることがあります。
その状態で、親が
と言うと、まだ幼いお子さんであればあるほど語彙力が大人ほどないので、よくわからないままに
と返事をしてしまう。
『子どもでもわかるようにしなければ』と意識しすぎるがあまり、子どもの説明してくれたことから大きく離れた要約をしてしまっている
子どもの話を聴いていると、話があっちこっちにいっていて、整理するのが難しい…
だけれども、うまく要約してあげないと…とは思う…
そんな時、ついついやりがちなのは、論点をずらして要約をしてしまう・「教える」に偏ってしまうというもの。例えば、
…みたいなことを子どもに話してこられたとします。
…と、結局それ、何言いたかったんや…?と混乱することはありませんか。
そんな時にやりがちなのは、
と、指摘しておかないといけないなという部分のみ切り取って「教えて」しまったり、
と、論点をずらしてしまう。
『大人なら理解できる言葉と説明』になってしまっている
特にお子さんがよくお話してくれるタイプのご家庭に多いのですが、親子会話を拝見していると「本当に低学年…?」と思うような発言があるお子さんをお見掛けすることがあります。
たとえば…
…のように、小学1年生でも「そこまで自分で考えられているならば何も言うことはないな…」と思うようなしっかりした意見を言ってくれる子がいます。
しかし、よくよく親子会話を拝見していると、親御さんのお子さんへの説明が難しい言葉で説明しているなと感じることがよくあります。
上で書いたような(「宿題をいつやろうと思うのか」への子どもの返事のような)ことを、実は過去に親子の関わりの中で、親がお子さんに対してすでに話をしてきていたことだった…ということがあります。
たとえば…
1週間学校行って疲れもあるだろうし、今日はゆっくりしていい。明日(土曜日)はおばあちゃんの家に行くから、明日は日中はおばあちゃんの家でたくさん遊んで、そのかわり、夜にやろう。
いい?明日やる場合は「やっぱしんどい」とか「やりたくない」とか文句言わないでね。で、明日やっておけば日曜日ゆっくりできるでしょ。
日曜日にしっかり休んで、月曜日からまた頑張るのよ。まあ、まだ1年生の1学期だからまだ慣れなくても仕方ないね。
少しずつ宿題をすることに慣れていくんだよ。習慣になっていけば、宿題しないと気持ち悪くなるくらいになるだろうから…
…みたいな感じで過去に親がお子さんに話をしていたのをお子さんが覚えていて、『親が自分に話してくれた内容を自分が考えた話かのように真似して喋る』ことがあります。
このようなやりとりを続けていくことで、子どもの語彙力が増えることはあります。
しかし、実は親の真似をしているだけ(親の受け売りをしているだけ)で、言葉の意味は理解できてないことが殆どだったりします。
かつ、このように『大人っぽいやりとり』をご家庭でしがちなお子さんは、友達や先生に理屈っぽい説明をしたがり、聴くより話すことに一生懸命になることもあります。
そうすると今度はアクティブラーニング系の授業で躓くことがあります。
理屈説明は得意でも、話し手の伝えたいことや自分が聞きたいことを聞いて理解し、聞いたことをもとにして自分の感想や考えをもつという聴く力が低いと、たしかな学びにつながりにくいということもあります。
まとめ:「詰め込み」による知識習得以外の学力向上には親子会話が重要
話し合いの内容を保持しつつ、同時に自分の考えと照らし合わせ、さらに自分の考えを修正したり、新しい考えを自分の考えとするような力(言語性ワーキングメモリ)が高い子は、アクティブラーニング系の授業についていきやすいですし、自分の言葉で理解を深めていくことがしやすくなります。
この力が高いと、詰め込み暗記での学力向上のみではなく、『自ら問い、答えを導き出す』方法での学力向上も期待できます。
そしてこのような力は親子会話にて培われるものでもあります。
親が根気よく子どもの話に耳を傾け、先読みせずに理解しようとする。
その姿勢や態度そのものが、子どもの聴く力、聴く姿勢のお手本となる。
子どもの説明では意味がいまいちわからない話も、整理しながら、「その言葉はもしかしてこうかも」なんて言いながら、カタチにしていく。
そういうことを家庭でやっていると、音声で表現される数や単語、あるいは文章などの情報を保持する言語性ワーキングメモリが高まるし、話し手の伝えたいことや自分が聞きたいことを聞いて理解し、聞いたことをもとにして自分の感想や考えをもつこともできるようになります。
このような力がベースにあると、あらゆる教科において学びを深めやすかったり、テストでも作案者の設問の意図を汲み取りながら解くことができたりもします。
よって、詰め込み暗記のような即効性はないので時間はかかるものの、最終的には学力が高くなっていたのではないか。ということです。
支援中のお子さんが、あんなに宿題や勉強嫌がってたのに「勉強たのしい!」とか「〇中(中高一貫の進学校)にいきたい!」とか言い出すことがあって、親御さんがびっくりされる…ということも珍しくありません。
このように、
…と口を酸っぱくして言うよりも、親子会話・対話を意識するだけで、見えない力が育まれ、培われていくということがあります。
目先の点数アップ・学力向上に目を向けすぎることなく、子どもの「語彙理解力」「言語性ワーキングメモリ」に注目し、
とにかく理解しよう・聴いてあげよう・じっくりと話を振り返り言葉の意味を理解させ、人の受け売りではなく自分の考えと言葉で堂々と説明出来る子になってもらおう
と、長い目で見て実践してみると、まわり道のように見えても確実な成長を見られるかもしれません。
それでは、今回はこのへんで終わりたいとおもいます。
また次回のブログにてお会いしましょう 🙂
まいどん先生(公認心理師)
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