頑張れる子にしたい。だから厳しく関わってしまう。

頑張れる子にしたい。だから厳しく関わってしまう。

ブログをお読みいただきありがとうございます。

まいどん先生こと山下です。今回は、『愛のムチ』をテーマに記事を書いてみたいと思います。

 

「あなたのために思って」というけれど…

愛しているが故のムチ…といいますが、その人を思って愛するがゆえに叱ったり厳しくするのと、感情による押さえつけとはまったく意味が異なります。

子どもが間違ったことをしたり、未熟な判断をして周囲に迷惑をかけたときに叱ったり、ときに「その逃げの手はだめ」と厳しくするなど、子どものためを思って心を鬼にして関わらないといけない場面が子育てにはあります。

 

「もっと頑張れ。逃げるな。全力を尽くせ。」

 

こういった言葉は、

『親はあなたを愛している。あなたの成長を心から願っている。あなたの力を信じている。だから、心を鬼にして伝える』

ということが相手に伝わっていてこその言葉で、

 

『なんでわからへんねん。逃げるな。イライラする。そんなんやからいつまで経っても成長せーへんねん。ほんま甘いわ。見ててイラつく。親をイラつかせるなよ』

と実は心の中で思いながら、イラつきを隠しきれなかったり、恐怖で押さえつけようとして相手に言ってしまうと、愛のムチとはいえません。

子どもを批判したり拒絶するような関わりは、子どもを傷つけたり、自信を失わせたり、失敗を極端に恐れるようにさせるなど、愛のムチにより子どもの成長を促すというプラスとはちがい、マイナスの影響を与えてしまいます。そして、ときに親子の絆がガラガラと崩れ落ちてしまうこともあります。

 

押さえつけでは何もならないどころか毒になることも

子どもが小さいうちは押さえつけでもなんとかなることが多いです。
その理由のひとつは、子どもにとって親は絶対的な存在だからです。

子どもは親の庇護のもと生きていくので、親に見捨てられること、見放されることを最も恐れます。

 

また、「実は親の精神力が未熟で感情のコントロールができなくて子どもを押さえつけようとしてる」なんて子どもは思いたくないので、親ではなく自分のせいにして、「自分が悪いんだ」「自分がちゃんとしないからお父さんやお母さんは自分を責めているんだ」と思って納得したがります。

そういったお子さんは、どんどん自信をなくしてしまうか、親に反発をするかのどちらかになることが多く、自信を失い常にビクビクするか、「どうせ自分なんてだめなんだから」とあえて親に嫌われるような態度をとってしまうことがあります。

 

そして、子どもが成長すると、
「あれは、愛の鞭じゃなくて、ただの押さえつけだ」

とわかってしまう瞬間がやってくることがあります。

多くの場合は、思春期に突入したころ。小学5年生~中学生に多いですが、早い子ですと小4で親の程度みたいなものに気づく子もいます。

 

例えば、仕事に置き換えて考えてみると、自分勝手であったり、すぐ感情を外に出して人を支配するような上、いつも自分を批判し、人格否定をするような人なので「この人みたいにはならない」「人として尊敬できない」と思っている上司がいたとします。

そのような上司には心を開こうとしないでしょうし、心のなかできちんとつながりあっているような、絆もありません。

そのような存在から、

「おまえの為をおもって…。」

と言われても、

「知らんがな。誰がおまえにアドバイスを求めた?おまえに自分の何がわかんねん。(どの口が言うねん)」

と思いませんか。

 

大きな声で、こうしろと一方的に言われても、大きな反発が返ってくるか、従順なふりをして実は心の中で憎むか、反発をあきらめて自分の本当の気持ちを奥底に追いやらせるかのどれかになるだけで、恐怖による支配は、後々大きな問題の種になりやすいです。

 

よく、中学生のお子さんを持つ親御さんからのご相談では、「昔は親のいうことをなんでもきくいい子だったんです」とおっしゃるのですが、

小学生のころどのような関わりをしていたか?ということを聞いていくと、

「ああ…そりゃ、こうやって暴言を吐きたくなるだろうし、暴力もでるよな…。親を困らせるようなことをしたくなるのには、この子なりの歴史と積み重ねがあって、仕返しであり、復讐なんだろうな」

と思うことがあります。

愛のムチという名の恐怖による支配は、都合のいい言い訳であり、感情をコントロールできないことを正当化しているだけといえるのかもしれません。

 

子どもを否定したり感情でおさえつけるのには理由がある

子どものひどい反抗期には、ここまで説明したような理由がある場合があります。

ほかにも理由があるケースもありますが、私は家族療法・家庭教育の専門家なので、家庭においてそのようなふるまいをさせることになった経緯はないかを考えます。

そして、ひどい反抗期は過去の親子のやりとりが関係しているとわかったら、そこで親御さんのせいだと言い、「そんな言い方をするから子どもは反発したくなるんですよ」と一方的に責めることはしません。

もしそうだった場合、次に行うのは「なぜ親御さんが子どもを恐怖で支配したがるのか」「どうして感情でおさえつけてしまうのか」という点の分析をすすめます。

 

多くの場合は、親御さん自身も今お子さんに行っているような関わりを実の親から受けてきていたり、夫婦関係からの影響があるからです。

親御さんがそういう関わりを子どもにしてしまうのにもまた理由があると考え、親御さんと一緒になぜかを考えていく。

決して親御さんのせいじゃない。親御さんの我慢力の低さであるとか、性格の悪さなどのせいにはしない。

お母さんなりの、お父さんなりの理由があったのですよねというところにたどり着くと、不思議と感情で子どもをおさえつけるような関わりが自然となくなっていくことがあります。

いろんな理由があるとは思いますが、ひとつは「自分がなぜこうなっているのかの理由がわかった」「自分のことをわかってもらえた」という安心感からきているのではないかと考えます。

 

まとめ

いかがだったでしょうか。

不登校や母子登校相談を受けていく中で、今回のようなことに悩まれているご家庭は少なくありません。

親御さんが後でご自身の子どもへの関わりや、過去の家庭のやりとりをふりかえってみて、「うちの場合は、子どもの不登校はSOSだったんだと思います。親が子どもを押さえつけて、心のなかを知ろうとしなかった。学校に行かないと親が困るとわかっていて、あえて欠席して復讐の意味もあったのかもしれません。」とおっしゃるご家庭は多いです。

 

母子登校や不登校の状態からなかなか抜け出せない…ということに悩まれているケースの場合は、今回のテーマについて考えてみていただくのもよいのかもしれません。

 

それでは、今回はこのへんで終わりたいとおもいます。最後までお読みいただきありがとうございます。

また次回のブログにてお会いしましょう 🙂

まいどん先生(公認心理師)

 

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