精神的虐待と愛着に課題があるお子さんの母子登校や子育てについて
ブログをお読みいただきありがとうございます。公認心理師の山下です。
今回は、精神的虐待・愛着と子育てをテーマに記事を書いてみたいと思います。
母子登校や不登校の原因とは
私のもとに母子登校や不登校や子育てについてご相談をいただくをいただくご家庭は、本当にそれぞれです。
母子登校ひとつをとっても、
・(母子)分離不安症によるもの
・お子さんの性格に起因するもの(真面目過ぎる、完璧主義、失敗を恐れがち、周りに助けてと言えない、怖がり、内弁慶…など) ・学校環境に起因するもの(先生が怖い、先生の理不尽が酷い、給食が嫌、授業が苦手、友人関係で悩んでいる…など) ・生活リズム、自律神経の乱れによるもの ・お子さんの自立に課題がありおきている ・お子さんの発達に関係しておきている ・愛着形成に課題がありおきている ・若干の虐待傾向がある(夫婦の不和、子どもへ向けるまなざし、働きかけ、声掛け…など) |
など、ほかにもあるのですがこんなふうにケースが全然ちがいます。
そのなかでも、今回は、「愛着形成」に関係がある「虐待」についてさらに書いていきたいと思います。
母子登校や不登校はお母さんがボロボロになりやすい
特に不登校や母子登校に悩まれているお母さんは、お子さんに対して酷い言葉を言ってしまったと泣きながら話されることが多いです。
…と、親として自信を失ってしまい、さらには自分のことを否定して、嫌になってしまう。
そんなふうに考えながら、毎日子どもの地雷をふまないように、腫れ物を触るかのように関わり続けたり、子どもに振り回されたり、干渉せざるを得ない毎日にクタクタで、ボロボロになっているお母さんは多いです。
不登校や母子登校で悩まれてるケースでは、お母さんが、
・夜眠れない。(睡眠不足)
・ご飯が食べられない。(栄養バランスの乱れ) ・最後に笑ったのがいつか思い出せない ・頭がずっと重い感覚がある ・息が詰まったような感覚がなくならない ・ネガティブなことを考えることがやめられない ・生きる意味がわからなくなる |
このような症状に悩まされていることもあります。
抑うつ状態がずっと続いていたり、睡眠不足であったり、栄養不足であったり、自律神経が乱れている状態で、さらにご主人ともあまりよい関係性ではなかったり、ご実家に助けを求められない…そんな状況で、『親が太陽みたいにならなきゃ』というのは無理があると私は思います。
でも、まじめなお母さんほど、
と、終始お電話で泣きっぱなし…ということもあるんです。
こうやってSOSを出してくださってよかった。「あ、私ヤバいぞ」と気づかれてよかった。
お母さんがお子さんに手をあげたり、お母さんがお酒やギャンブルに逃げようとしたり、お母さんがご自身の命を絶つなんてことがなくて、本当によかった…と思う時もあります。
子どもの自信を奪いやすい関わりがある
そんな状態のお母さんは、お子さんに対して…
「あーつかれる」
「めんどうくさい」 「やってられない」 「また?!」 「はあ…(ためいき)」 「どうせできないんでしょ。やらないんでしょ」
・条件をあたえ、罰をつくる ・アメとムチを使い分ける ・追い出すことをちらつかせて従わせる ・まず否定後から入る ・理詰めで押し通す ・早口、大声 |
このような振る舞い・言葉を日常的に使っていることがあるのですが、親御さんは「私、こんな感じで最低なんです…」とお話されます。
でも、『そりゃこれだけしんどい状況だったら、出てしまうよ…』と思うんです。お母さんだって、こんなふうに関わりたいと思っていないはず。
思っていないけれど、止まらない・やめられないだけ。それだけいっぱいいっぱいだったのだから、仕方がない。
「こんな関わりをして、子どもを壊したいのですか?」なんて言ったら、お母さんが先に壊れてしまうだろう。『不登校は親のせい』ということばもあるけれど、残酷なことだ…と支援初期のご家庭を見ていて思うことがあります。
ただ、これらの関わりが子どもの自信・自分は生きていていいんだ。存在していいんだという安心感を奪うことになりやすいのは事実です。
母子分離不安症のような症状をみせるお子さんの場合は、知らず知らずのうちに精神的虐待をしてきてしまっていた…ということもあります。
私のもとにご相談をいただくケースの場合、その程度はかなり軽いご家庭が殆どではありますが、例えば…ということで、精神的虐待についてまとめました。
精神的虐待とは
精神的虐待は、言葉や行動によって相手の心理的な健康を傷つける行為です。これはしばしば見えない形の虐待であり、被害者の自尊心や心の安定に深刻な影響を与えることがあります。精神的虐待には様々な形態があり、それには貶める言葉、脅迫、無視、冷笑、過度な制約などが含まれます。子どもへの精神的虐待は特に心の成長に悪影響を与え、将来的に心理的な問題を引き起こす可能性があります。
1. 言葉の暴力:
- 貶める言葉、脅迫的な言動、無視、冷笑などが含まれる
- 子どもの自尊心や信じる力を傷つけ、不安や抑うつを引き起こす可能性がある
2. 意図的な無視や排除:
- 子どもを無視したり、排除したりすることで、愛情不足や孤独感を生じさせることがある
- これが継続すると、子どもの安全な発達に悪影響を与える可能性がある
3. 過度な制約やコントロール:
- 子どもの個性や自己表現を抑圧することが含まれる
- 適切な自己肯定感や自己認識を形成するのを妨げ、子どもが自分を受け入れることを難しくする
4. 虐待的な期待:
- 過度な期待や無理な要求をかけ、それに対して子どもを非難することがある
- 成功や完璧さを求めるあまり、子どもにストレスやプレッシャーをかけることがある
特に小さい子の場合、『親にこんなふうに関わられるのは自分のせいなんだ』という捉え方をしがちで、これは、「親が自分を愛してくれないのは、優しくしてくれないのは自分に問題があるからなんだと捉えたほうが自分を保ちやすいから」…と言われています。
そのような関わりが続いていくと、以下のような愛着形成に課題がうまれてしまう(愛着障害の)ケースもあります。
愛着障害と精神的虐待の関連性
愛着障害は、主に幼少期に適切な愛着が形成されなかったり、維持されなかったりすることによって生じる障害です。親との信頼性のある愛着が不足すると、子どもは安全な基盤が欠如していると感じ、心の安定が損なわれることがあります。これは、感情の調節が難しくなり、他者との関係性や信頼の構築が困難になることを指します。
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実は、義務教育中に母子登校や不登校になったケースは、ラッキーといえるのかもしれないと感じることがあるんです。
お子さんが学校に行きたがらなくなったり、お母さんと離れることを不自然なくらい嫌がる様子を見て、そこではじめてハッとされるもいるからです。
…とお話してくださるかたも多く、支援を通じて、カウンセリングを通じて親御さん自身のこころを癒す作業をしたり、お子さんへの関わり方・ものの見方を変えていくことで親子共に変わっていくケースもあります。
まとめ
支援を受けられた親御さんに、なぜ他の支援ではなくMIKURU・MIRUを選んだのかをお話していただくことがあります。
「山下先生なら、私の生きづらさの理由を見つけてくれる気がしたんです」
「山下先生になら、我が家のこの負のループの抜け出し方を教えてもらえるかもしれない。導いてくれるかもしれないと思ったんです」
「先生を選んだ自分、よくやったって思います」
…という言葉もよくいただくのですが、支援者としては『自分を見つけてくれてありがとうございます』という気持ちです。
支援を受けるとなれば、全力でサポートさせて頂きますので、私もまた親御さんのこれまでの傷つきに触れて一緒に傷ついたり、苦しくなることもあるんですけれど、でも、一歩一歩、「こっちですよ~」と言いながら一緒に歩むその過程が大事だと思っています。
「はじまりは、支援を受けることになったきっかけは子どもの母子登校や不登校だったんですけど、その理由がわかっただけではなく、親の生きづらさも解消された気がする。以前より、子育てが楽しいです。子どものことを、可愛いって、そう思えます。」
…というようなお言葉をいただくと、支援者でいてよかったと思えます。
精神的虐待と愛着障害は密接に関連しており、適切な愛着が形成されない状況が続くと、子どもの心の健康に深刻な影響を及ぼす可能性があります。愛情と信頼の築き方が重要であり、子育て者は子どもの感情や安全な愛着の形成に配慮することが求められます。
…と、言葉で言うのは簡単で、親子の関わりを変えていくのはとても大変なことではありますが、変えていった先にお子さんがひとりで通えるようになったり、ご家庭が変わっていったというケースもある…というお話でした。
それでは、今回はこのへんで終わりたいとおもいます。
また次回のブログにてお会いしましょう 🙂
まいどん先生(公認心理師)
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