家族の結びつきを理解する『自己理解のためのジェノグラム』 

 

家族の結びつきを理解する『自己理解のためのジェノグラム』

ブログをお読みいただきありがとうございます!

前回は心の声が駄々洩れな記事になってしまったので、今回は、まじめに(?)『自己理解のためのジェノグラム』をテーマに記事を書いてみたいと思います。

 

子育ての悩みの背景にあるもの

子どもが不登校や母子登校になる背後には、家族の影響が潜んでいることがあります。

不登校や母子登校を乗り越えるための取組の一環として、『ジェノグラム(家系図)を用いて自己理解を深め、家族関係のパターンを探る』という方法があります。不登校や母子登校と家族関係のつながりに焦点を当て、ジェノグラムを通じて自分や家族の過去を振り返り、未来に向けての洞察を得る方法です。

これは支援の場においても、親御さんにご家庭の状況を伺う際に欠かせない視点です。

 

なぜ子どもとの関わりに悩んでしまうのか

子どもが不登校や母子登校になる理由は複雑です。必ずしもどのケースもそうであるとはいえませんが、その一因が家族関係にある場合があります。

 

ジェノグラムを通して、以下の視点から『わが家はいまどういう状況なのか』を考察してみることで何かが見てくるかもしれません。

  1. 世代間の影響: 子育ては世代を超えて影響し合います。例えば、親が過去に抱えたトラウマや不安が、子どもの行動に影響を与えることがあります。ジェノグラムを通じて、祖父母からの影響を含めて家族全体のパターンを把握しましょう。
  2. 未解決の問題: 不登校や母子登校の背後には、家族内で未解決の問題が潜んでいることがあります。ジェノグラムを使って、過去に発生した出来事やコミュニケーションの障害を見つけ、解決への一歩を踏み出しましょう。

カウンセリングの場では色んなお話を伺います。

最初はお子さんの登校のことや性格についてや、「こんな時親は子どもにどうかかわればいいのでしょう」というようなご相談やご質問をいただきます。

しかし、そのうち、『そういえばうちの両親は仲が悪かったんです。身近に夫婦仲のいい親のモデルがいなかったなぁ…』『母は私の話を聴いてくれたことがなくて、情緒的に支えてもらったことがないです。そんな私なので、「母性」ということばや「支える・寄り添う」ということばがイマイチしっくりこないし、どうしたらいいかわからないんです』というような話をしていただくことがあります。

 

支援を受ける親御さんは、支援の後半には必ず過去の自分の養育歴からさかのぼっていると言っても過言ではないくらいです。

自分がなぜ子育てに自信がもてないのか。

自分がなぜ子どもにきつく当たってしまうのか。

自分がなぜ子どもに過剰に過保護になってしまうのか。

 

その答え・ヒントは過去にあった…ということは多いです。

 

不安と悩みの源をたどる

子育てにおける悩みや不安は、家族の過去から派生していることがあります。ジェノグラムを通じて、以下のポイントを確認してみるのもひとつです。

  1. 世代ごとのパターン: ジェノグラムを使って、過去の世代ごとに伝わる特定のパターンや行動傾向を発見してみる。これにより、子どもが抱える問題が家族全体の中でどのように継承されてきたのかを理解できるかもしれません。
  2. コミュニケーションの齟齬: 家族の中でコミュニケーションが途切れることが、子どもの不安や悩みの原因となり得ます。ジェノグラムを通じて、過去の代からのコミュニケーションパターンを明らかにし、改善のための方針を見つけてみましょう。

ジェノグラムを書きながら、日頃の親子会話を振り返ったり、自分の子ども時代の家族のコミュニケーションを思い出してみる・比較してみると、何かが見つかるかもしれません。

そうすると、『ああ…なんだ。私だけの問題じゃないやん』と思えて、少しこころが楽になることもあると思います。

 

その上で、子どもへの理解を深め、関わり方についてのヒントを見つけてみることをおすすめします。例えば…

  1. 共感と理解: 子どもが抱える問題の背後にある家族の歴史を知ることで、共感が生まれやすくなります。理解が深まることで、子どもに対するサポートがより適切になるかもしれません。
  2. 新たなコミュニケーションの模索: ジェノグラムを通じて見えた過去のコミュニケーションの齟齬に対処し、新たなコミュニケーションの手段を模索してみましょう。家族全体でオープンな対話を育むことが重要です。

 

まとめ

ジェノグラムを通して家族の歴史を知り、子どもとの関わり方を見つけることは、家族全体の結びつきを強化し、未来に向けて前進する一歩となります。

「先生、うちはなぜこうなってしまったのでしょう」

「正直、うちの家庭とよそを比べると、よそのほうがよほどまずい関わりをしているように見えるんです…なのになぜ、うちが…?

というお話をいただくこともあるのですが、支援を進めていくと『今現在の子育て中の我が家』だけの問題ではなかった…ということがわかる場合があり、過去からさかのぼって再解釈・理解を深めていくと親子会話が大きく変わったり、親御さんの雰囲気が変わったり、お子さんに笑顔が戻ってきた…ということもあります。

「うちはどういう状況なのだろう。客観的な意見が欲しいな」と思われている方は、自己理解と共に、家族全体の成長を促進するために、ジェノグラムの活用を検討してみていただくのもひとつかもしれません。

 

それでは、今回はこのへんで終わりたいとおもいます。

また次回のブログにてお会いしましょう 🙂

まいどん先生(公認心理師)

 

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