母子登校と過保護は本当に関係があるのか②

母子登校と過保護は本当に関係があるのか②

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前回からの続きです。

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過保護とよばれがちな「がんばりすぎ」以外の視点で母子登校を考えてみる

別の視点からみてみますと、母子登校は以下のように『親御さんの性格や考え癖が原因』なことがあります。

・HSP
・物事を深く考える癖がある
・心配性
・神経質
・完璧主義
・子どもを管理しがち
・子どもが辛そうにしていると子ども以上に辛くなる
・子どもの考えていることが分かりすぎてしまう

…とこのように、他のひとであれば気にならないような部分も広く「見えてしまう」方が多いように感じます。

例えば、同じ絵を見ても、「これはウサギの絵やな」で終わる人もいれば、「ウサギの周りの背景のこの部分はこういうことを表現しているのでは」と細かいところまで見れる人もいます。

頑張り屋さんなお母さんの多くは、物事の多くが見えてしまいやすい傾向にあるように感じています。

そういったかたは、『過剰適応』といって、すべてにおいて他者への配慮があります。というか、ありすぎてしまいます。

自分の気持ちや考えはさておき、「子どもを安心させる」という子どもへの配慮ばかりに力を注いでしまって、ご自身への配慮が全くなくなっている方は多いです。

 

さらにいうと、心配性なお母さんとは反対に、お父さんが楽観的すぎたり、あまり子育てに協力してくれないケースも多いように感じています。
お父さんが楽観的すぎると、お母さんは「この子は不安なのよ、どうしてわからないの?!」とよけいにお子さんの不安を取り除く関わりを強化させてしまうこともあります。

そしてお母さんが孤立化してしまうことも。

このように、周りが思うよりも母子登校や不登校の問題は複雑に色んなことが絡まっています。

親の仕事のことや、過去の心の傷や、舅姑関係の影響があったりもします。

母子登校は「親の過保護」だけが影響しているとはいいきれません。

 

「親の対応改善」についてふれた書籍

拙著『これで解決!母子登校』(PHP出版)について、「この本を読んで書いてあることを実践するだけで本当に母子登校ではなくなった」というお声をいただくことがあります。

しかし、書籍の内容は出来るだけ多くの人に当てはまるように広く浅く書いているため、具体的な実践例というものはあまり紹介していません。

にもかかわらず状況がよくなる理由としては、

・環境変化に適応するのに少し時間がかかるタイプのお子さんだったため、時間の経過とともに学校に慣れてひとりで行けるようになった
・親御さんが先回りしないようになったことでお子さんが成長してひとりでも学校に行けるようになった
・元々そんなに親子会話で悪循環を生み出すご家庭ではなかった

といったところかと想像しています。

「書籍を読んである程度はよくなったものの、母子登校のまま」というケースも多いのではないかと思うのですが、それもそのはずで、さきほども書いたように母子登校と一言でいっても状況はそれぞれだからです。
書籍に書いてある内容までは取り組めても、それ以外のやりとりでは親御さんがご自身で考えなければなりません。
それがまさに難しく、多くのご家庭はほかの母子登校や不登校に関して発信されているかたのブログや書籍などを読んで熱心に勉強をして取り組まれます。
それがうまくいくこともあれば、逆に悪化することもありますし、書いてあることが極端に違う説明を見つけてしまってどうしていいかわからなくなってしまうこともあります。
なぜなら、その内容もまた、広く浅く多くの人に向けて発信していることがほとんどだからです。
「うちの子とどう向き合えばいいのか」をピンポイントでおさえた内容と出会うのはかなり難易度が高いものと思います。

また、書籍に書いてあることを実践すると、思わぬ落とし穴にはまってしまうことがあります。

それは、
「これをしてはいけない」「こう言わないといけない」
ということばかりに意識がいってしまって逆にちゃんと子どもと向き合えなくなってしまうということです。

 

いつしか目的と手段が入れ替わってしまう

子どもが成長して学びを得るために通わせ始めた学校。

その学校に行き渋ったり、母子登校になったことで、親御さんは「このまま不登校になったらどうしよう」「心の傷をおわせたらどうしよう」と悩みます。

毎朝「今日はどうなるんだろう」「また行く行かないで揉めるのかな」「またあの不安そうな顔を見ることになるのかな」と考えます。

子どもが泣くたびに、お母さんも一緒に泣きたくなるし、そのたびに傷つきます。

お母さんは自分のメンタルを守るためにも「ひとりで学校に行ってほしい」と願うようにもなります。

それもそうですよね。毎朝お母さんもお子さんと一緒に傷ついているのであれば、そのしんどさから早く解放されたいと思うはずです。

 

そして、「この子の不安を取り除きたい。わかってあげたい。母子登校を乗り越えたい」という目的がいつしか「母子登校を乗り越えたい」に変わって、ひとりで学校に行かせるためだけの関わりになってしまうわけです。

親の目的が母子登校解決「だけ」になると、子どもの話に耳を傾けたり、子どもの話から考えていることを理解しようとしたり、がんばっていることを認めることが難しくなったり、「これはほめていいのか?悪いのか?」と悩んでしまったり、子どもの成長に目を向けられずに出来ていないところばかりが目についてしまうこともあります。

どんどん親は子に『なんで学校行かないの』と不満を持ち、子どもは親に『どうして向き合ってくれないの』と不安になり親子関係が悪化することも…。

私のもとにいただくご相談は、このように複雑化したケースが多く、母子登校になってすぐというよりも、「母子登校から不登校になった」「不登校から母子登校へと次のステップをふんでいる」というご家庭が多いです。

 

親のカウンセリングも重視した「家庭教育支援」

私が普段行っている「家庭教育支援」というものは、たまたま不登校や母子登校として顕在化した親子の関わりや関係性を見直すことを目指しています。
不登校や母子登校解決はその副産物ですよとお伝えしていますが、結果お子さんがひとりで通えるようになるのは8割以上です。

先ほど書いたような性格の親御さんの場合、親自身の価値観や思考や判断に自信がなかったり、なんとなく生きづらさがあったり、ほかのママ友と自分は違う感覚があるとお話されることが多いです。
支援を通して紐解いていくと、実は親御さんの育ってきた環境が「生きづらさ」の原因だったということがわかることがあります。

「親はわたしに親の価値観を押しつけてばかりで自分の意見が言えなかった」
「親は共働きで忙しそうで話を聴いてもらった記憶がない」
「いつも我慢をさせられたし、いい子でいなければならなかった」
そんなことがカウンセリングの中で掘り起こされることもあります。

ですが、私はこの発見はとても大切だと思っています。

親としてのロールモデルがなかったから、ずっと子育てに自信がなかったのかもしれないし、親御さんのようにはなりたくないと無意識に思って取り組んでいくうちに極端になっていただけなのかもしれないし、誰かに心から自分を理解してもらえてその安心感を得た経験がないから、なかなか子どもの話を受容共感的に聴けずに管理ばかりしてしまうのかもしれません。
そこがわかってくると、お母さんやお父さん自身が大きく変わり、子どもへの関わりも変わり、家庭全体がとてもリラックスして子どもの成長を穏やかに見守れるようになっていきます。

また、母子登校や不登校というものは孤独なたたかいです。
ママ友にはわかってもらえなかったり、お父さんがいまいち協力してくれなかったり、弟や妹への影響に悩んだり…。
そもそも自分の親のことを誰かに自分が小さい頃から遡って話すということもなかなか出来ることではありません。

私が行う『家庭教育支援』では、単に「こうすれば子どもがひとりで学校に行けるようになります」とアドバイスするだけではなく、お母さんの一番の理解者であることを目指します。

カウンセリングの中で、「自分のことをわかってくれた」「まさにそのことを言いたかった」そんな経験をすると、次第に親御さんもお子さんに「私もこの子に同じように寄り添いたい」と自然と思えるようになりますし、話の聴き方もどことなく私が親御さんにしているような聴き方に似てきたかも…ということもあります。

 

問題解決までの思考や客観視の習得と、自分が変わっていく感覚と実感

このように、たまたま母子登校や不登校がきっかけで受講することになる家庭教育支援は、子育てを見直す機会にもなり、誰かに心から理解してもらったり共感してもらう経験が得られます。

親御さんは子育てへの本当の自信と『子育てしている感覚』を得られ、親子の絆を得られて、支援ご卒業後も安心して子育てができるようになります。
そして子どもがどんな社会でも柔軟に生きていけるスキルが身につくようになります。

詳細にご家庭の状況を把握する必要がありますので、週に1度のカウンセリングのほかに親子会話を毎日送っていただくことになります。
これがなかなか大変ではあるのですが、
『文字にしてみるだけでも自分で気づきが得られる』
『文字にして、客観的な意見をもらうと、そんな視点があるのかと毎回驚く』
『子どもとの距離が近すぎて見えていないところが多かったと気づいた』
というご感想をいただきます。

ご家庭を知ろうとしますと、週1回の電話のカウンセリングだけでは情報が全然足りません。
毎日の様子を見てはじめて理解がはじまっていきます。

そんな情報共有の先に、親子の会話パターンがどのように影響を与えあっているのかを知り、その影響がどのような結果をうみだしているのかを導き出せます。
特に初期は、「アドバイスされたことをそのままなぞってやってみる」ということの連続で、『本当にこんな対応で変わるの?』と思いながらやってみると、「うまくいった!」という成功経験や、「ほんのちょっと声掛けのタイミングをずらしただけなのに、こんなに簡単に親の気持ちが伝わるの?!」といった経験を何度もされることになります。

対応を変えてみたら、よい反応が返ってきた。
そんなふうに、たくさんの成功経験を積み重ねていくことで、『なるほど、これが親が子に影響を与えているということか』ということが気づけます。

また、これまで親御さんが誰かに心から理解してもらったり共感してもらう経験が少ない場合、親子のやりとりでもまた、共感や理解が少なくなりがちです。
「話を聴いてもらえるというのは、なんと心地がいいんだ。子どもにもこんな風に関わってあげたい」と思うと、お母さんはより子どもに寄り添い受容共感的になっていきます。

そして、日々親子間では色んなことが起きます。
癇癪を起こされたり、急に「明日から学校行かないから」と宣言されたり、万引きで捕まったり、親の財布からお金を抜き取られたり…。

このように家庭の中でおこった問題に対しても、解決までの思考とプロセスをお伝えしています。
これも最初は『なぞる』ところからはじまるのですか、「こういうふうに対応してみてください」とお伝えし、実践してもらい、結果を得ていただく。
また困ればアドバイスをなぞり、結果を得る。
それを繰り返していくうちに、どういう思考で、どういうプロセスをふんで解決すればいいのかがわかるようになります。

このようなことを繰り返していくうちに、親自身が自分が変わっていく感覚と実感を得て自信を持てるようになります。

このように親が変わることができ、その先に良好な親子関係が築けて絆が深まり、気がつけば母子登校や不登校さえも解決していることもあります。

MIKURU・MIRUの支援は、「子どもを変えて学校に行かせたい。それだけでいい。」というよりも、「何がうまくいっていないのかをちゃんとしりたい。」というかたにおすすめです。

 

長くなったので、続きはまた次回にしようと思います。

次回は実際に母子登校や不登校に悩まれたご家庭についてお話をしたいと思います。(次回で連続ブログ更新ラストです)

最後までお読みいただきありがとうございました!

 

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親まなびアドバイザー まいどん先生

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