
親の抱え込み・先回りが強い家庭の関わり方
ブログをお読みいただきありがとうございます。
まいどん先生こと山下です。
今回は、母子登校5つの動物タイプのうち、カンガルータイプについて解説します。
以前の記事では、カンガルータイプを「過保護型」と表現していました。
親が子どものことをとてもよく見ている。
忘れ物がないように声をかける。
学校で困らないように準備する。
子どもが不安にならないように先回りする。
子どもが決められないとき、代わりに決める。
子どもが言えないことを、親が先生に伝える。
このような関わりが多く見られやすいタイプです。
ただ、今あらためて多くのご家庭を見ていると、カンガルータイプを単に
「過保護な親」
「甘やかしすぎた家庭」
「親が世話をしすぎた結果」
と解釈するのは、少し違うように感じています。
カンガルータイプの親御さんは、たいてい、とても頑張っています。
子どもを困らせたくない。
学校で恥をかかせたくない。
先生に迷惑をかけたくない。
不登校にしたくない。
愛情不足にしたくない。
自分の対応で子どもを傷つけたくない。
そう思って、必死に支えてきた方が多いです。
親が子どもの不安・判断・準備・行動を、長い間一人で抱えすぎてきた状態なんだと思います。
つまり、カンガルータイプで大切なのは、「過保護をやめましょう」という話ではなく、
親が持ちすぎている役割を、子どもに合った大きさにして少しずつ返していくこと
だと思っています。
この記事はこんな方におすすめです
カンガルータイプのお母さんはとっても頑張り屋さんで、愛情深い方が多いです。
子どもを愛するがあまり、必死になりすぎていて、「愛情不足にならないように」「子どもを満たしてあげられるように」と関わっているけれどうまくいかない…じつはそんな方は「愛情過多」かもしれません。
この記事は、次のようなお悩みがある方に向けて書いています。
この記事はこんな方におすすめ
- 子どもが親の声かけがないと動かない
- 朝の準備を親がほとんど管理している
- 忘れ物や宿題が気になり、つい確認してしまう
- 子どもが「ママ決めて」「ママやって」と言う
- 親がいないと、子どもが何をすればいいかわからなくなる
- 学校で困らないように、親が先回りして説明している
- 先生への連絡や子どもの気持ちの代弁を、親が担いすぎている
- 夫から「もう少し放っておけば」と言われる
- でも、放っておくと子どもが崩れそうで怖い
- 過保護なのか、必要なサポートなのかわからない
カンガルータイプとは?
カンガルータイプのお子さんは、親が声をかければ動けることが多いです。
でも、親の声かけがないと、自分から動きにくいタイプでもあります。
たとえば、朝の準備場面において…
母 「給食袋は持った?」
子 「あ、忘れてた」
母 「昨日一緒にやった宿題はランドセルに入れた?」
子 「今入れる」
母 「早くご飯食べないと間に合わないよ。ほら、席について」
子 「うーん……」
母 「今日は7時50分に出るからね。歯磨きして、靴下履いて、ランドセル背負ってね」
子 「わかった」
…このように、親が声をかければ動けまし、
時計が読めないわけではないし、何もわからないわけでもなく、やる力がまったくないわけでもありません。
でも、自分で先を読んで、順番を考えて、時間を見ながら動くことが苦手です。
親が声をかけることで、なんとか一日が回っている。
…これがカンガルータイプでよく見られる姿です。
また、判断を親に委ねやすいこともあります。
例えばファミレスで、
母 「何食べる?」
子 「ママ決めて」
母 「ハンバーグにする?」
子 「うん」
母 「飲み物は?」
子 「わかんない。ママどうしよう」
母 「オレンジジュースにする?」
子 「うん、オレンジジュース」
…このように、子どもが自分で選ぶ前に、親が選択肢を整理し、決めやすい形にしていることがあります。
もちろん、これは悪いことばかりではありません。
親が手伝うから、子どもは困らずに済んでいる。
親が整えるから、学校生活が回っている。
親が先回りするから、トラブルが起きにくくなっているというよい点もあります。
でも、その関わりが長く続くと、子どもは
「自分で考える」
「自分で選ぶ」
「自分で失敗する」
「自分で戻る」
という経験を積みにくくなることがあります。
「過保護」と言われるけれど、実際は親が頑張りすぎている
カンガルータイプの親御さんは、周りから
「過保護なんじゃない?」
「もう少し放っておけば?」
「手を出しすぎじゃない?」
と言われることがあります。
そのたびに、胸が痛くなりますよね…。
自分でも、少しやりすぎているのかもしれないと思っている。
でも、放っておいたら子どもが困る。
困ったら学校に行けなくなるかもしれない。
忘れ物をして恥をかくかもしれない。
先生に怒られるかもしれない。
友達に何か言われるかもしれない。
そのまま不登校になるかもしれない。
だから、手を出す。
声をかける。
確認する。
整える。
代わりに言う。
親の愛情です。ただし、愛情が深いほど、親が持つ荷物が増えすぎることがあります。
最初は、必要なサポートだった。
でも、いつの間にか、親がほとんど全部を管理している。
子どもは親に聞けばいいと思っている。
親も、子どもが失敗する前に整えないと不安になる。
この形が続くと、親も子どもも苦しくなります。
カンガルータイプの母子登校で起きやすいこと
カンガルータイプの母子登校では、学校への付き添いも、親のサポートの延長として始まることがあります。
子 「ママがいないから学校怖い」
母 「怖いの?どうする?ママも一緒に行こうか?」
子 「うん、来て」
母 「大丈夫。ママがいるよ」
このように、親がいることで子どもは安心します。
親がいれば学校に行ける。
親がいれば下駄箱に入れる。
親がいれば教室に入れる。
親がいれば先生に言える。
親がいれば困ったときに助けてもらえる。
親の存在が、子どもの学校生活を支えています。
ただし、ここで問題になるのは、親がいるからできる状態のまま、次の段階が作られないことです。
親がいればできる。でも、親がいなければできない。
親がいないと、何をすればいいかわからない。
親がいないと、誰に言えばいいかわからない。
親がいないと、困ったときにどうすればいいかわからない。
…この状態が続くと、母子登校は長期化しやすくなります。
親が持ちすぎている役割とは
カンガルータイプでは、親がいろいろな役割を持っています。
たとえば、
・朝起こす
・着替えを促す
・持ち物を確認する
・宿題を確認する
・登校時間を管理する
・子どもの不安を聞く
・不安の原因を探す
・先生に連絡する
・子どもの気持ちを代弁する
・学校まで付き添う
・教室で困ったときに助ける
・子どもの失敗を事前に防ぐ
・子どもの選択を代わりに決める
・帰宅後に学校での出来事を整理する
…などなど。これだけの役割を親が一人で持っていたら、当然疲れます。
そして、子どもも親を頼るようになります。
最初は、必要だったのです。でも、子どもの成長に合わせて、少しずつ自分でできるように働きかけることをおすすめしたいです。
朝起こすのはまだ親がしてもいいけど、靴下は自分で選ぼうねと促したり、
持ち物確認は親が一緒にするけど、でも、ランドセルに入れるのは本人ねとしたり、
先生への連絡は親がしてもいいけど、でも、先生に一言だけ本人が言うようにしたり、
学校までは親が付き添ってもいいけど、でも、下駄箱からは先生にバトンタッチする…など。
一つずつです。
「見守る」と「放置」は違う
カンガルータイプの親御さんが苦手なのは、「見守る」ことかもしれません。
なぜなら、見守るという言葉が、
「何もしない」
「困っていても助けない」
「失敗しても放っておく」
のように感じられることがあるからです。
でも、見守ることは、放置ではありません。
見守るとは、
すぐには代わりにやらず、子どもが自分で動く時間(予知)を残すこと
です。
たとえば、子どもが靴下を探している。
親は、靴下の場所を知っている。
言えばすぐ解決する。
でも、あえて少し待つ。
子 「靴下どこ?」
母 「どこにありそう?」
子 「わかんない」
母 「昨日、洗濯物をしまった場所を見てみようか」
子 「あ、あった」
このように、親がすぐ答えを出さず、子どもが探す道筋を一緒に作ります。
親はそばにいて、子どもが自分で動く余白を残していますよね。放置はしていません。
カンガルータイプに必要なのは、この余白です。
カンガルータイプへの関わり方
ここからは、カンガルータイプへの関わり方を具体的に整理します。
1. まず、親が持っている役割を書き出す
最初にすることは、親が持っている役割を見える化することです。
朝から夜まで、親が子どものためにしていることを書き出してみましょう。
起こす。
着替えを促す。
服を選ぶ。
持ち物を確認する。
宿題を確認する。
学校に連絡する。
不安を聞く。
不安の原因を推測する。
先生に説明する。
付き添う。
帰宅後に気持ちを整理する。
書き出してみると、親がどれほど多くのことを担っているかが見えてきます。
ここで自分を責める必要はありません。
「私、こんなに持っていたんだ」
と気づくことが第一歩です。
2. 返す役割は、小さく選ぶ
次に、その中から、一つ選びます。
いきなり、
「明日から一人で登校しなさい」
「全部自分で準備しなさい」
「先生には自分で言いなさい」
は難しいことが多いです。
返すなら、小さく…
・靴下を自分で選ぶ
・水筒を自分で入れる
・ランドセルを玄関まで持つ
・連絡帳を自分で出す
・先生に「おはよう」と言う
・困ったことを一言だけ言う
・校門の数メートル手前から歩く
・下駄箱で先生にバトンタッチする
…など、子どもが成功しやすい大きさにします。
自立は、いきなり親から離れることではありません。小さく小さく、できることを増やすことです。
3. 声かけを「指示」から「確認」へ変える
カンガルータイプでは、親の声かけが多くなりやすいです。
「早くして」
「顔洗った?」
「給食袋持った?」
「宿題入れた?」
「歯磨きした?」
「靴下履いた?」
「もう時間だよ」
「ランドセル持って」
「忘れ物ない?」
この声かけがないと、子どもが動かない。でも、毎日親が指示し続けると、子どもは親の声を待つようになります。
なので、少しずつ、指示を確認に変えてみましょう。
「次、何するんだっけ?」
「出発までに必要なものは何かな?」
「時計を見ると、あと何分ある?」
「昨日決めた順番、覚えてる?」
「ランドセルの中、最後に自分で見てみようか」
親が答えを出すのではなく、子どもに思い出させる声かけにします。
4. 子どもが困る前に助けすぎない
カンガルータイプの親御さんは、子どもが困る前に助けます。
子どもが忘れそう。
子どもが迷いそう。
子どもが不安になりそう。
子どもが失敗しそう。
だから先に動く。
でも、子どもは少し困ることで、考える力を使います。
もちろん、大きく困らせる必要はありません。
でも、小さく困る経験は必要です。
忘れ物をしそうになったら、自分で気づく。
靴下が見つからなければ、自分で探す。
先生に言えなければ、まず一言だけ言う。
時間が迫ってきたら、自分で時計を見る。
…とかでいいんです。
親は、子どもが困った瞬間に全部解決するのではなく、「どうしたらいいと思う?」と一緒に考える役に回ることをおすすめしたいです。
5. 失敗を「親の責任」にしない
カンガルータイプの親御さんは、子どもが失敗すると、自分の責任のように感じやすいです。
忘れ物をした。
親が確認しなかったから。
宿題を忘れた。
親が声をかけなかったから。
学校で困った。
親が先生に伝えていなかったから。
こう感じると、親はますます確認を増やします。
でも、子どもの小さな失敗は、子どもの経験でもあります。
忘れ物をしたら、先生に言う。
宿題を忘れたら、次にどうするか考える。
困ったら、助けを求める。
この経験をすべて親が防いでしまうと、子どもは
「困ったときにどう戻るか」
を学びにくくなります。
親の役割は、失敗をゼロにすることではありません。
失敗しても戻れる道を一緒に作ることなんだと思います。
家庭でできる小さな練習
たとえば、
・明日の服を2択から選ぶ
・水筒を自分で台所に出す
・給食袋を玄関に置く
・宿題をランドセルに入れる
・朝の準備表を見て、自分で一つ進める
・時計を見て「あと何分」と言う
・ファミレスで自分の飲み物を選ぶ
・店員さんに「お願いします」と言う
・忘れ物をしたら、次の対策を一緒に考える
どれも小さなことです。
でも、こうした小さな役割が、学校での自立につながります。
家庭で何でも親が決め、親が準備し、親が確認している状態で、学校だけ一人で頑張るのは難しいです。
だから、学校での母子分離を進める前に、家庭での小さな自立をすすめていくことが大切です。
カンガルータイプで親が気をつけたいこと
1. 急に手を離さない
「私がやりすぎていたんだ」と思うと、親御さんは急に手を離そうとすることがあります。
「もう知らない」
「明日から自分でやって」
「困っても助けないからね」
でも、これは子どもからすると、急に突き放されたように感じます。じわじわ、が大事です。
2. 子どもの失敗を見て、すぐ回収しない
子どもが失敗すると、親はつい回収したくなります。
忘れ物を学校に届ける。
先生に先に謝る。
友達とのトラブルを親が説明する。
子どもが言う前に、親が全部伝える。
毎回親が回収すると、子どもは失敗の後始末を経験できません。
小さな失敗なら、子どもに経験させてみることも大切です。
3. 親自身の不安を見る
カンガルータイプでは、子どもの自立だけでなく、親自身の不安も大切です。
子どもが困るのを見るのがつらい。
失敗させるのが怖い。
先生に迷惑をかけるのが怖い。
周りから親の責任だと思われるのが怖い。
子どもが傷つくくらいなら、自分が先に動いた方がいい。
この不安が強いと、親は手を離しにくくなります。
カンガルータイプは、親子で変われる
カンガルータイプのお子さんは、親がいないと動けないように見えることがあります。
これまで親が担ってきた役割を、少しずつ本人に返していくことで、子どもは自分で動く経験を積んでいけます。
最初は小さくてかまいません。小さな積み重ねが、学校での自立にもつながります。
そして親御さんも、少しずつ
「全部私が持たなくてもいい」
と思えるようになります。
子どもは失敗しても戻ってこられる。
先生に頼ることもできる。
家庭の中でも、自分でできることが増えていく。
この感覚が育つと、母子登校からひとりでの登校に向かいやすくなります。
MIKURU・MIRUでは、親が持ちすぎている役割を一緒に整理します
MIKURU・MIRUでは、カンガルータイプのご家庭を
「過保護」
「甘やかし」
「親が世話をしすぎ」
と決めつけることはしません。
親子の会話、朝の流れ、学校で止まる場面、親が先回りしている場面、子どもが自分で動きにくくなっている場面を一緒に整理していきます。
そのうえで、
・親が何を持ちすぎているのか
・子どもに返せる役割は何か
・どの順番で返すと無理が少ないか
・学校にどこから受け取ってもらうか
・親御さん自身の不安をどう扱うか
を見立てながら、ご家庭に合った関わり方を考えていきます。
「過保護なのかもしれない」と言われて苦しくなった。
でも、どう手を離せばいいかわからない。
子どもを突き放すのは怖い。
このまま全部自分が抱え続けるのも限界。
母子登校を少しずつほどいていきたい。
そのような方は、一度ご相談ください。
親がもっと頑張るためではなく、
親子が抱えすぎているものを少しずつ整理するために、
今の状態を一緒に見立てるところから始めていきましょう。
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