
本音を隠す・不安を言えない子への関わり方
ブログをお読みいただきありがとうございます。
まいどん先生こと山下です。
今回は、母子登校5つの動物タイプのうち、アライグマタイプについて解説します。
以前の記事では、アライグマタイプを「神経質傾向型」と表現していました。
繊細。
傷つきやすい。
失敗を極端に嫌がる。
新しいことにチャレンジするのが怖い。
環境の変化に弱い。
人の表情や空気を読みすぎる。
感覚が敏感。
完璧主義。
自分の中のルールが崩れると、気持ちを切り替えにくい。
このような姿が見られやすいタイプです。
ただ、今あらためて多くのご家庭を見ていると、アライグマタイプは単に
「神経質な子」
「繊細な子」
「HSCっぽい子」
と解釈するのでは足りないように感じています。
アライグマタイプの本質は、
本音や不安が外に出にくいこと
にあります。
学校では平気そうにしているし、先生からは「しっかりしています」と言われる。友達ともそれなりに過ごしている。
でも、家に帰るとそうじゃない。朝になると動けない。
「大丈夫」と言っていたのに、突然「行けない」と言う。
何が嫌なのか聞いても、「わからない」「別に」と言う。
でも、明らかにしんどそう。
このような子がいます。
アライグマは、外から見るとかわいらしく、器用で、何でもできそうに見えます。
でも、実際にはとても警戒心が強く、身を守るのが上手な動物です。
アライグマタイプの子も、同じです。
本当は不安。
本当は怖い。
本当は助けてほしい。
本当は失敗したくない。
本当は学校で無理をしている。
でも、それをうまく言えない。
言っていいのかもわからない。
言ったら迷惑をかける気がする。
言葉にする前に、自分の中で隠してしまう。
その結果、親から見ると、理由がわかりにくい母子登校になります。
この記事はこんな方におすすめです
この記事は、次のようなお悩みがある方に向けて書いています。
この記事はこんな方におすすめ
- 子どもが繊細で傷つきやすい
- 失敗すると極端に落ち込む
- 新しいことを怖がる
- 「大丈夫」と言うのに、朝になると行けない
- 学校ではしっかりしていると言われる
- 何が嫌なのか聞いても「わからない」と言う
- 本音を隠している感じがする
- HSCや発達グレーと言われたことがある
- 完璧主義で、少しのミスでも強く反応する
- 親がどこまで守り、どこから挑戦させればいいかわからない
アライグマタイプの支援で大切なのは、無理に本音を引き出すことではありません。
そして、失敗を避け続けることでもありません。
大切なのは、安心して本音を出せる関係を作りながら、小さな失敗や不安を一緒に扱える経験を増やしていくことです。
アライグマタイプとは?
アライグマタイプのお子さんは、とてもよく見ています。
人の表情や、先生の声のトーン。
友達の反応や、教室の空気。
親の機嫌や、自分が失敗したときの周りの目。
…いろいろなことに気づきます。だからこそ、疲れやすいです。
大人から見ると、「そんな細かいことまで気にしなくていいのに」と思うようなことでも、本人にとっては大きな問題です。
たとえば、朝ごはんのとき。
子 「たまごかけご飯食べようと思ったのに、たまごのカラが入った!」
母 「取ればいいよ。ほら、取れたよ」
子 「そういうことじゃない!もう食べない!」
母 「え、カラは取れたよ?」
子 「もういや!最初からきれいじゃなかった!」
大人から見ると、「いや、食べられるやん」と思いますよね。
でも、本人の中では、
「思っていた通りにいかなかった」
「気持ち悪い」
「もう嫌な感じになった」
「最初からやり直したい」
という感覚が強く出ていることがあります。
また、新しいことに挑戦するときも同じです。
母 「プログラミング教室の体験があるみたいだよ。前にやってみたいって言ってなかった?」
子 「行かない」
母 「どうして?体験だけでも行ってみたら?」
子 「怖い」
母 「何が怖いの?」
子 「前にゲームでうまくできなかった。知らない人もいるし、できなかったら嫌だ」
母 「ママもついていくよ?」
子 「行かない!」
…このように、アライグマタイプの子は、失敗を強く予測します。
「やってみたい」気持ちはあるけど、でも、「失敗したらどうしよう」が先に出てきてしまう。
楽しそうより、怖そうが勝つ。興味より、不安が勝つ。
そのため、成功が見えていることしかやりたがらないように見えることがあります。
「失敗が怖い」は、わがままではない
アライグマタイプのお子さんに対して、大人はついこう言いたくなります。
「やってみないとわからないよ」
「失敗してもいいんだよ」
「そんなことで泣かなくても」
「気にしすぎだよ」
「みんな普通にやっているよ」
「大丈夫だから行ってみなよ」
もちろん、大人の言いたいことはよくわかります。
実際、やってみたら大丈夫だった、ということもたくさんありますよね。
でも、アライグマタイプの子にとって、失敗は単なる失敗ではないことがあります。
失敗した瞬間だけではなく、そのあとも何度も思い出す。
「あのとき変だった」と考え続ける。周りにどう思われたか気になる。
次も同じことが起きる気がする。もう二度とやりたくないと思う。
…このように、失敗の記憶が長く残りやすい子がいます。
だから、本人は失敗そのものを避けようとします。
これは、傷つきから自分を守ろうとしている状態と捉えることもできます。
ただ、「失敗が怖いなら、失敗しないように先回りする」ばかりではよくない場合もあります。
失敗を避け続けると、子どもは「失敗しても戻ってこられる」という経験を積めなくなるからです。
アライグマタイプに必要なのは、大きな失敗をいきなり経験させることではなく、小さな失敗をしても大丈夫だった、という経験を重ねることです。
アライグマタイプの母子登校で起きやすいこと
アライグマタイプの母子登校では、子どもがはっきり理由を言わないことがあります。
子 「学校行きたくない」
母 「何が嫌なの?」
子 「わからない」
母 「友達?」
子 「違う」
母 「先生?」
子 「違う」
母 「勉強?」
子 「違う」
母 「じゃあ何?」
子 「わからないって言ってるやん!」
…親からすると、困りますよね。
理由がわかれば対応できるのに。先生にも伝えられるし、給食が嫌なら相談できるのに。でも、本人が「わからない」と言う。
この場合、本当にわかっていないこともあります。
不安がいくつも重なりすぎて、本人の中で整理できていないとか、
言葉にする前に身体が反応しているとか、
嫌だった出来事をうまく思い出せないとか、
言うと泣きそうになるので言いたくないとか、
言ったら親が心配すると思って隠しているとか、
言ったら学校に伝えられて、余計に目立つのが嫌だとか、
自分でも「こんなことで嫌と言っていいのか」と思っているなど。
だから、「わからない」という一言に集約されてしまうことがあります。
アライグマタイプの母子登校では、理由を問い詰めるほど、本音が隠れることがあります。(ややこしい…)
「大丈夫」は、本当に大丈夫とは限らない
アライグマタイプの子は、「大丈夫」と言うことがあります。
先生 「学校では頑張っていますよ」
本人 「うん、大丈夫」
親 「今日どうだった?」
子 「普通」
親 「嫌なことなかった?」
子 「ない」
親 「明日は行けそう?」
子 「行ける」
ところが翌朝。
子 「やっぱり無理」
親 「昨日、大丈夫って言ったよね?」
子 「知らない。無理」
親は混乱しますよね。
「昨日は行けるって言ったのに」
「学校では大丈夫って言っていたのに」
「何が本当なの?」と。
でも、アライグマタイプの「大丈夫」は、いくつかの意味を持つことがあります。
本当にその場では大丈夫だった。
でも、家に帰ってから疲れが出た。
先生の前では大丈夫と言ったけど、本当は大丈夫じゃなかった。
親を心配させたくなくて大丈夫と言っちゃった。
自分でも大丈夫だと思いたかった。うまく説明できないから大丈夫と言った。
その場を早く終わらせたくて大丈夫と言った。
なので、本人の「大丈夫」だけを信じていると、子どものしんどさが見えにくくなることがあります。
アライグマタイプでは、言葉だけでなく、表情、疲れ方、寝つき、朝の様子、帰宅後の崩れ方、食欲、宿題への反応なども見ていく必要があります。
本音を隠す子に、どう聞けばいいのか
アライグマタイプの子に、親が一番やりがちなのは、質問攻めです。
「何が嫌なの?」
「誰かに何か言われたの?」
「先生が怖いの?」
「給食?」
「勉強?」
「友達?」
「ママに言えないこと?」
「何か隠してる?」
親は心配だから聞いていますよね。でも、子どもからすると、尋問のように感じることがあります。
うまく言えないんだよな…でも答えなければいけない。
親が心配そうな顔をしている。自分が何か悪いことをしている気がする。
言ったら大ごとになりそう。言わないと怒られそう。どうしよう…という感じです。
おすすめは、質問を減らして、選択肢を少なくすることです。
たとえば、「言えることだけでいいよ」「今は話したくないなら、夜にもう一回聞くね」などです。
また、本音を引き出すより先に、話しても大ごとにならない安心感を作ることが大切です。
子どもが少し話したときに、親がすぐに
「それは先生に言わないと!」
「なんで早く言わなかったの!」
「そんなことがあったの!」
「明日学校に確認する!」
…と反応すると、子どもは次から話しにくくなりるので、まずは、
「話してくれてありがとう」
「それは嫌だったね」
と落ち着いてやりとりすることが大事です。まずは、「聴く」です。
アライグマタイプへの関わり方
ここからは、アライグマタイプへの関わり方を整理します。
1. 失敗を大きくしない
アライグマタイプの子は、失敗を大きく受け取りやすいです。
だから、親が失敗をさらに大きくしないことが大切です。
たとえば、子どもが宿題で間違えたとき、ついつい
「なんでこんなところ間違えたの?」「ちゃんと読んだ?」「前も同じこと言ったよね」
…と言いがちですが、こう言うと、子どもは「やっぱり失敗は怖い」と感じます。
なので、かわりに、「間違えたところが見つかったね」「ここだけ一緒に直そう」くらいにかかわるのがおすすめです。
失敗をなかったことにするのではなく、大きくすることもなく、失敗を、取り返しのつく大きさにして「大丈夫やで」と伝えることが大事です。
2. 成功経験だけでなく、リカバリー経験を増やす
アライグマタイプには成功経験が大切ですが、成功経験だけを積ませようとすると、子どもは「成功できることしかやらない」になりやすいことがあります。
本当に必要なのは、成功経験だけではなく、失敗してもリカバリーできた経験です。
たとえば、
忘れ物をした→でも、先生に言えた。
発表で間違えた→でも、やり直せた。
給食が全部食べられなかった→でも、先生に相談できた。
友達に笑われた気がした→でも、家で話せた。
字を間違えた→でも、消して書き直せた。
このような経験です。
アライグマタイプには、
「失敗しないようにする」
よりも、
「失敗しても大丈夫」
という気持ちを育てることが大切です。
3. 不安をゼロにしようとしない
アライグマタイプの子は、不安をたくさん予測します。
「給食が食べられなかったらどうしよう」
「筆箱がなくなったらどうしよう」
「失敗したらどうしよう」
「友達に変だと思われたらどうしよう」
「先生に怒られたらどうしよう」
親は、その不安を取り除きたくなりますよね。
でも、不安を全部取り除こうとすると、親も子も疲れてしまいます。なぜなら、不安はいくらでも出てくるからです。
だから、「もしそうなったら、どうするか」を一緒に考えてみましょう。
たとえば、
「給食が食べられなかったら、先生に一口だけにしたいと言う」
「筆箱がなかったら、先生に鉛筆を借りる」
「失敗したら、もう一回やってみる」
などです。
4. 新しい挑戦は、小さく試す
アライグマタイプに
「とりあえずやってみよう」
は通じにくいことがあります。
本人の中では、すでに失敗の映像が見えています。
だから、新しい挑戦は小さく、小さく。
プログラミング教室なら、いきなり体験参加ではなく、まずはホームページを見るとか、
次に、教室の場所だけ見に行くとか、
次に、先生にあいさつだけするとか、
次に、見学する。などです。
学校も同じです。
いきなり一日登校ではなく、校門まで。
下駄箱まで。別室まで。1時間目だけ。給食前まで。
先生に一言だけ。
5. 本音を出したときに、すぐ解決しようとしない
子どもが本音を出してくれたとき、親はすぐに解決したくなります。
「先生に言うね」
「明日から休もう」
「その子とは離してもらおう」
「給食を減らしてもらおう」
「ママが全部説明してあげる」
でも、子どもに確認せずに親が動くと、子どもは「言ったら大ごとになる」と感じることがあります。すると本音を隠されてしまうことがあるので、
まずは、「先生に伝えるかどうか、一緒に考えよう」など、「話しても自分のペースを守ってもらえる」
という経験を積めるようにかかわることをおすすめしたいです。
親が気をつけたいこと
1. 「気にしすぎ」と言わない
アライグマタイプの子に
「気にしすぎ」
と言うと、子どもは自分の感じ方を信じにくくなります。
大人から見れば小さいことでも、本人にとっては大きいことがあります。
2. 失敗させることを目的にしない
アライグマタイプには、失敗経験も大事です。
ただし、
「失敗させなければ」
と考えすぎると危険です。
大きすぎる失敗は、自信を育てるどころか、回避を強めることがあります。
3. 親が不安を先取りしすぎない
アライグマタイプの親御さんは、子どもの不安をよく察します。
「明日の発表、不安かな」
「給食、大丈夫かな」
「先生に言えないかも」
「友達に何か言われるかも」
親が不安を先取りしすぎると、子どももさらに不安になります。
もちろん、準備は大切です。
でも、親が毎回
「これも怖いかも」
「これも嫌かも」
と予測しすぎると、子どもは
「やっぱり学校は怖いところなんだ」
と感じやすくなります。
アライグマタイプは、弱い子ではない
アライグマタイプの子は、傷つきやすく見えます。
失敗を怖がる。新しいことを嫌がる。
不安を隠す。本音を言わない。
朝になると動けない。
その姿を見ると、親は「この子は弱いのかな」「社会でやっていけるのかな」と不安になるかもしれません。
よく見ている子です。よく考えている子です。
先のことを予測できる子です。人の気持ちに気づきやすい子です。
自分なりに身を守ろうとしている子です。
この力は、育て方次第で大きな強みになります。不安の方に向きすぎると、動けなくなります。
本音を隠すのではなく、安心できる相手に少しずつ出せるように。不安をゼロにするのではなく、不安があっても一歩動けるように。
それが、アライグマタイプの支援で大切なことなんだと思います。
MIKURU・MIRUでは、子どもの「大丈夫」の奥を一緒に見立てます
MIKURU・MIRUでは、アライグマタイプのお子さんを
「神経質」
「弱い」
「気にしすぎ」
と決めつけることはしません。
親子の会話、朝の流れ、学校で止まる場面、帰宅後の崩れ方、子どもが言葉にできていない不安を一緒に整理していきます。
そのうえで、
・どこで不安が強くなるのか
・どの失敗を怖がっているのか
・子どもが本音を出しにくくなっている場面はどこか
・親がどこまで代弁し、どこから本人に返すか
・学校にどのような戻り先を作るか
・小さなリカバリー経験をどう積むか
を見立てながら、ご家庭に合った関わり方を考えていきます。
「大丈夫」と言うのに、朝になると行けない。
何が嫌なのか聞いても、子どもが言わない。
学校ではしっかりしているのに、家で崩れる。
失敗を怖がり、チャレンジを避ける。
親として、守るべきか、挑戦させるべきか迷っている。
そのような方は、一度ご相談ください。
子どもを無理に変えるためではなく、
隠れている不安を一緒に見立て、
親子が少しずつ安心して次の一歩を踏み出せるように、
今の状態を整理するところから始めていきましょう。
公認心理師 まいどん先生(山下真理子)
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