
母子登校のライオンタイプとは?怒り・反発が強い子へのかかわり方
ブログをお読みいただきありがとうございます。
公認心理師・まいどん先生こと山下です。
今回は、母子登校5つの動物タイプのうち、ライオンタイプについて解説します。
以前の記事では、ライオンタイプを「子ども上位型」と表現していました。
親が注意しても響かない。
子どもが怒ると、親が引いてしまう。
親が子どもの言うことを聞かないと、癇癪を起こす。
「ママ、こっち来て!」
「早くして!」
「ママが来ないから学校に行けないんだけど!」
…というように、子どもが親を動かす形になっている。
このような姿が見られやすいタイプです。
ただ、今あらためて多くのご家庭を見ていると、ライオンタイプを単に
「親を支配したい子」
「親の言うことを聞かない子」
「上下関係が逆転している子」
と見るのは、少し違うように感じています。
もちろん、表に出ている行動として、
怒る。命令する。反発する。
親を試す。親が従わないと荒れる。
思い通りにならないと大きな声を出す。
…というのがあって、親からすると、本当にしんどいです。
でも、その奥には、
不安や自信のなさを、怒りや命令でしか表せなくなっている子どもの姿
があることもあります。
ライオンタイプは、弱さを見せるのが苦手な子。
不安を「不安」と言えない子。
助けてほしいのに、「助けて」と言えず、「早く来て!」になってしまう子。
自分でもどうしていいかわからない気持ちを、怒りで押し通そうとしてしまう子。
そういう視点でみてみると、必要な関わり方も変わってきます。
ライオンタイプの支援で大切なのは、子どもを力で押さえつけることではありません。
でも、子どもの怒りに親が毎回従うことでもありません。
この記事はこんな方におすすめです
この記事は、次のようなお悩みがある方に向けて書いています。
この記事はこんな方におすすめ
- 親が親が注意しても、子どもに響かない
- 親が言うことを聞かないと、子どもが怒る
- 子どもの機嫌を損ねるのが怖い
- 子どもが命令口調になりやすい
- 親が子どもの言いなりになっている気がする
- 癇癪、暴言、物に当たる行動がある
- 「ママが来ないから学校に行けない」と親を責める
- 母子登校が、子どもの要求で始まっているように見える
- 甘えなのか、不安なのか、反抗なのかわからない
- どこまで受け止め、どこから線を引けばいいかわからない
先に結論をお伝えしますと、ライオンタイプで大切なのは、子どもに勝つことではありません。
でも、子どもの怒りに負け続けることでもありません。
必要なのは、親が落ち着いて、同じ態度で、言葉と行動の境界線を示し続けることです。
ライオンタイプとは?
ライオンタイプのお子さんは、表に出るエネルギーが強いです。
嫌なことがあると、泣くより先に怒るし、
不安になると、助けを求めるより先に命令するし、
困っているのに、「困っている」と言えず、相手を責めるし、
親が思い通りに動かないと、さらに強い言い方になる。(しんどい)
たとえば、朝の登校前にこのようなやりとりが起きます。
子 「ママ!早く来て!」
母 「今、洗濯物を干しているから少し待ってね」
子 「は?学校遅れるんだけど!」
母 「じゃあ先に靴を履いて待っていて」
子 「無理!ママが来ないから行けないんだけど!」
母 「そんな言い方しないで」
子 「もういい!ママのせいで遅刻する!」
親からすると、
「え、こっちのせい?」
となりますよね。
もちろん、親が何もしていないわけではないし、むしろ朝からずっと動いているはずです。
でも、子どもは自分の不安や焦りをうまく扱えず、親にぶつけてしまいがちです。
ライオンタイプは、親にべったり甘えるラッコタイプとは少し違います。
「ママがいないと不安」
というより、
「ママが思い通りに動かないと不安」
に見えることがあります。
ここが、ライオンタイプの難しさです。
親が離れることだけが怖いのではなく、
自分の思い通りに状況が動かないことに耐えることが苦手。
そのため、親を動かすことで安心を作ろうとします。
「支配したい子」と決めつけない
ライオンタイプのお子さんを見ると、親はどうしてもこう感じやすいと思います。
「この子は私を支配しようとしているのでは」
「親をなめているのでは」
「わがままを通そうとしているだけでは」
「私が甘くしたから、こうなったのでは」
たしかに、表面的にはそう見えることがありますよね。
「お茶!」
「リモコン!」
「早く来て!」
「ママがやって!」
「なんでやってくれないの!」(は?)
このように、親を召使いのように動かそうとすることがある。ムカついちゃいますよね。
ただ、「この子は支配欲が強い」と解釈すると、対応が強い対立になりやすいです。
親は、
「負けてはいけない」
「なめられてはいけない」
「言うことを聞かせなければ」
と力が入ります。すると、子どもも、さらに反発します。
結果として、親子の間には
怒る。怒鳴る。
従わせる。従わない。
…さらに怒る。
という力比べが起きます。
でも、ライオンタイプは、
なぜこの子は、怒りや命令でしか安心できないのか
というところが重要です。
不安を言葉にする力が弱いのか?
失敗することが怖いの?
親にわかってもらえないと思っているの?
家庭の中で、怒れば要求が通る経験を積んできたの?
親子の境界線が曖昧になっているの?
学校で緊張している分、家で爆発しているの?
発達特性として、切り替えや感情調整が苦手なの?
…などなど。背景はいろいろあります。
ライオンタイプの母子登校で起きやすいこと
ライオンタイプの母子登校では、子どもが親に命令する形で付き添いが始まることがあります。
子 「ママ、学校来て」
母 「今日は校門までにしようって話したよね」
子 「無理。教室まで来て」
母 「でも、先生も待ってくれているよ」
子 「先生じゃ無理。ママが来て」
母 「ママも仕事があるから……」
子 「じゃあ学校行かない」
母 「それは困るよ」
子 「ママが来ないから悪いんでしょ!」
…このような流れです。
親御さんは、「私が行けば学校に行けるなら、行くしかない」と思い、そして付き添います。
最初は、それで何とか登校できます。
でも、子どもが
「怒れば親が動く」
「強く言えば付き添ってもらえる」
「行かないと言えば、親が譲る」
という経験を積んでいくと、母子登校が常態化・固定化しやすくなることがあります。
もちろん、子どもが計算しているとは限りません。ほとんどは無意識です。
本人も必死です。
でも、結果として、
怒りや拒否が、親を動かす手段になってしまう
ことがあります。
親が「怖く感じる」と、子どもの怒りは強くなることがある
子どもが怒る。
大きな声を出す。
物に当たる。
暴言を言う。
泣き叫ぶ。
登校しないと言う。
…これが毎朝続くと、親は当然怖さを感じやすいです。
「また荒れたらどうしよう」
「学校に遅れる」
「下の子もいる」
「近所に聞こえる」
「仕事に間に合わない」
「物を投げられたらどうしよう」
「もう面倒だから、言うことを聞いておいた方が早い」
…など。そうして親が譲る。
子どもは一時的に落ち着き、親もその場は助かります。
でも…翌日また同じことが起きる。
このように、親が怖くて譲り、子どもは怒れば状況が変わる経験を積むと、親子のやりとりはどんどん固定化しやすくなります。
これは、親が弱いとか、我慢力が…という話ではなく。毎朝、親も限界なのです。
ただ、この形が続くと、子どもは怒り以外の伝え方を学びにくくなってしまいがちです。
「不安だから来てほしい」
「教室が怖い」
「先生に言うのが苦手」
「今日はここまでならできる」
こうした言葉ではなく、
「早く来て!」
「ママのせい!」
「行かない!」
になってしまう。おたがい、しんどいですよね…
ライオンタイプへの関わり方
ここからは、ライオンタイプへの関わり方を整理します。
1. 怒りの奥にある気持ちは見る
まず、子どもの怒りの奥にある気持ちは見ます。
怒っているから、不安がないわけではありません。
命令しているから、困っていないわけでもありません。
「本当は不安なんだね」
「うまくいかなくて焦ったんだね」
「ママに来てほしいくらい、心細かったんだね」
「学校に行きたい気持ちもあるけど、一人では怖かったんだね」
…という解釈が必要な場合があります。
ただ、大切なのは、
気持ちを受け止めることと、怒りの言い方に従うことは別
ということです。
「不安だったんだね」
と言いながら、
「だから命令していいよ」
にはなりません。
2. 言い方の境界線を作る
ライオンタイプでは、言い方の境界線がとても大事です。
たとえば、子どもが
「ママ!お茶!」
と言ったとします。
親がすぐにお茶を入れると、子どもは
「この言い方で通る」
と学びます。
ここで親は、怒鳴り返す必要はありませんが、落ち着いて、
「お茶がほしいんだね」
「でも、その言い方では手伝えないよ」
「お茶くださいと言えたら入れるね」
と伝えます。
子どもがさらに、「いいから入れろ!」
と言ったら、
「その言い方では入れません」
「落ち着いて言えたら手伝います」
と一貫性のある態度をとってみましょう。
これは、子どもを無視することではなく、一貫性を意識したかかわりです。
3. 親が長く説明しすぎない
ライオンタイプのお子さんに、親が長く説明すると、言い合いになりやすいです。
親 「そんな言い方をしたら相手が嫌な気持ちになるでしょ。ママだって朝からいろいろやっていて、あなたのために……」
子 「うるさい!」
親 「うるさいじゃないでしょ。あなたが先に……」
子 「もう行かない!」
…このように、説明すればするほど、親子でヒートアップしてしまうことがあります。
ライオンタイプでは、説明は短くしたほうがいい場合があります。
「その言い方では手伝えません」
「落ち着いて言えたら聞きます」
「叩くなら話は止めます」
「物を投げるなら離れます」
「学校に行く話は、落ち着いてからします」
短く、同じ言葉で、繰り返す。
親が言葉で勝とうとしないことが大切です。
4. 子どもの怒りに、その場で全部対応しない
子どもが怒ると、親はすぐに何とかしたくなります。
なだめる。説明する。
説得する。譲る。
怒る。抱きしめる。
謝る。条件を出す。
…など。もちろん、その場で落ち着かせる必要があるときもありますが、毎回親がすぐに対応すると、
子どもは「怒れば大人が動く」という経験を積みやすくなります。
ですので、危険がない範囲では、親が少し距離を取ることも大切です。
「今は怒っているから、少し離れるね」
「落ち着いたら話を聞くよ」
「物を投げるなら、ママは別の部屋に行くね」
「落ち着いて言えるようになったら、もう一度話そう」
怒りで場を支配する形に、親が巻き込まれすぎないことも大事です。
5. 登校の目標を、その場の交渉で決めない
ライオンタイプの母子登校では、朝にその場で交渉が始まりやすいです。
「ママが教室まで来るなら行く」
「今日は車で送って」
「先生が迎えに来るなら行かない」
「給食前に帰るなら行く」
「ママが学校に残らないなら行かない」
この交渉を毎朝その場でしていると、親子ともに疲れます。
さらに、子どもは
「強く言えば条件を変えられる」
と学びやすくなります。
ですので、登校の条件は、できるだけ前日に決めます。
「明日は校門まで一緒に行く」
「下駄箱からは先生にバトンタッチする」
「泣いても、ママは下駄箱で帰る」
「不安になったら先生に別室に行きたいと言う」
「朝に条件変更はしない」
このように、朝の交渉を減らします。
ライオンタイプでは、朝の親子バトルを減らすことがとても大切です。
6. 親の態度を一定にする
ライオンタイプのお子さんは、親の反応をよく見ています。
今日は怒ったらママが譲った。
昨日は泣いたら残ってくれた。
今日はパパが怒ったから、ママに言った。
ママがだめなら、おばあちゃんに言った。
先生の前では違う言い方をした。
こういうことが起きます。
これは子どもが悪賢いというより、子どもなりに安心できる方法を探しているのです。
ただ、大人の対応が日によって変わると、子どもはさらに強く出ることがあります。
ですので、親の態度はできるだけ一定にします。
・乱暴な言い方では要求を通さない
・落ち着いて言えたら聞く
・暴力や物を投げる行動には距離を取る
・朝の登校条件はその場で変えない
・親ができること、できないことを明確にする
このように、家のルールをシンプルにします。
親が気をつけたいこと
1. 子どもと同じ土俵で怒鳴り合わない
子どもが強く出ると、親も強く返したくなります。
「いい加減にしなさい!」
「誰に向かって言ってるの!」
「そんな子は知らない!」
「もう学校行かなくていい!」
そう言いたくなるのは自然です。
でも、ライオンタイプの子と同じ土俵で怒鳴り合うと、親子は力比べになります。
親が勝っても、子どもは納得していません。
子どもが勝っても、親は傷つきます。
どちらにしても、関係は疲れていきます。
親に必要なのは、怒鳴り勝つことではありません。
落ち着いて、短く、同じ境界線を示すことです。
2. 怒りを怖がって、全部譲らない
子どもが怒ると怖いです。
特に、物を投げる、暴れる、暴言がある場合、親御さんは本当に疲弊します。
ただ、怒りを避けるために毎回要求を通していると、子どもは怒り以外の伝え方を学べません。
家庭の中では、「怒れば通る」という形を少しずつ変えていくことも大事です。
3. 愛情不足だと決めつけない
ライオンタイプのお子さんの親御さんは、
「私の愛情が足りなかったのでしょうか」
「これまで甘えさせられなかった反動でしょうか」
「私がもっと受け止めればよかったのでしょうか」
とう疑問を持つことがあります。
でも、実際には、愛情が足りないというより、親御さんが一生懸命向き合いすぎて疲れ切っていることが多いです。
子どもの気持ちを受け止めようとしてきた。
子どもを傷つけないようにしてきた。
できるだけ怒らないようにしてきた。
学校に行けるように、毎日頑張ってきた。
だからこそ、子どもの怒りを受け止め続けてしまった。愛情不足なわけがありません。
ただ、受け止めることと、境界線をなくすことは違いますので、愛情があるからこそ、
「その言い方では人は動かないよ」
「怒っても、相手を傷つけていいわけではないよ」
「助けてほしいときは、助けてと言うんだよ」
と教えていく必要があります。
ライオンタイプは大変だけど、変化できる
ライオンタイプのお子さんは、怒る。反発する。命令する。強い言葉を使うところがあり、親御さんは、
「この子は変わらないのでは」
「性格がきついのでは」
「もう手遅れなのでは」
と不安になることがあります。
でも、ライオンタイプは変われない子ではありません。
怒り以外の伝え方を学ぶことができます。
親に命令するのではなく、頼む練習ができます。
不安を怒りに変えるのではなく、「怖い」「困った」と言う練習ができます。
親も、子どもの怒りに巻き込まれず、落ち着いて境界線を示す練習ができます。
ただし、これは一日で変わるものではありません。
毎日の小さなやりとりの積み重ねです。
親が同じ態度を続ける。
乱暴な言い方では通らない経験を積む。
落ち着いて言えたときに、ちゃんと聞いてもらえる経験を積む。
学校でも家庭でも、大人の対応をそろえる。
この積み重ねで、ライオンタイプの子は少しずつ変わっていきます。
まとめ:ライオンタイプは、怒りの奥にある不安と境界線を見る
ライオンタイプの子は、親を動かそうとするように見えます。
「早く来て」
「ママのせい」
「行かない」
「やって」
「なんでしてくれないの」
こうした言葉を毎日受けていると、親御さんは本当に疲れます。
でも、そこで
「この子は支配したいだけ」
「親をなめているだけ」
と解釈すると、親子は力比べになってしまいます。
大切なのは、怒りの奥を見ることです。
不安なのかな。
焦りがあるのかな。
自信のなさがあるのかな。
失敗への怖さがある?
親にわかってほしい気持ちなのかな。
怒れば状況が変わる経験を積んできたのかも。
…など、背景を見たうえで、境界線を作ります。
気持ちは受け止めるけど、でも、命令や暴言で人を動かすことを学ばせない。
助けてほしいときは、助けてと言う。不安なときは、不安だと言う。
親も、怖さや罪悪感で全部譲らない。
ライオンタイプの母子登校では、親子の境界線をひき直すことが大切です。
子どもが人と安心して関わるために、怒り以外の伝え方を一緒に育てていくために。
MIKURU・MIRUでは、親子のやりとりから一緒に整理します
MIKURU・MIRUでは、ライオンタイプのお子さんを
「わがまま」
「支配的」
「親をなめている」
と決めつけることはしません。
親子の会話、朝の流れ、怒りが出る場面、親が譲ってしまう場面、学校との役割分担を一緒に整理していきます。
そのうえで、
・どこで親が巻き込まれているのか
・どの要求には応じ、どこから線を引くのか
・子どもにどんな言い方を教えるのか
・親御さんが怖さや罪悪感で抱えすぎていないか
を見立てながら、ご家庭に合った関わり方を考えていきます。
「子どもの怒りが強くて、どう対応すればいいかわからない」
「毎朝、親子で言い合いになる」
「子どもの機嫌を損ねるのが怖い」
「付き添いをやめたいけれど、怒られると譲ってしまう」
「親子の境界線をどう作ればいいかわからない」
そのような方は、一度ご相談ください。
子どもを力で押さえるためではなく、
親子が怒りのやりとりから抜け出すために、
今起きていることを一緒に見立てるところから始めていきましょう。
公認心理師 まいどん先生(山下真理子)
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