「ママがいないと不安」な子への関わり方
ブログをお読みいただきありがとうございます。
まいどん先生こと山下です。
今回は、母子登校5つの動物タイプのうち、ラッコタイプについて解説します。
ラッコタイプは、以前の言い方では「母子密着型」と表現していました。
お母さんと離れることに強い不安がある。
学校に行くには行くけれど、お母さんが一緒でないと行けない。
校門、下駄箱、教室前でお母さんから離れられない。
家でも、困るとすぐに「ママ来て」「ママやって」となる。
このような姿が見られやすいタイプです。
ただ、今あらためて多くのご家庭を見ていると、ラッコタイプを単に
「お母さんに依存している子」
「母子密着が強い子」
とだけ表現するのは、少し違うように感じています。
もちろん、結果としてお母さんを強く頼っているように見えることはありますが、でも、その奥には、
親を安心基地にしながら、なんとか学校に向かっている子どもの姿があることも多いのです。
この記事はこんな人におすすめ
- 子どもがすぐにお母さんを頼りにしてくる
- お母さんと子どもがべったりなことが多い…といったことに悩まれている
- 子どもが「ママがいないと不安」と言う
- 学校には行くけれど、親と離れられない
- 校門や下駄箱で泣いてしまう
- 教室に入るまで付き添いが必要
- 別室登校でも親がそばにいないと落ち着かない
- 家でもすぐに「ママ来て」「ママやって」と言う
- 母子分離不安なのか、甘えなのかわからない
- いつまで付き添えばいいのか不安
- 離そうとすると泣くので、どう進めればいいかわからない
(このラッコタイプは、書籍『これで解決!母子登校』に出てくるあきこちゃんと同じです)

ラッコタイプとは?
ラッコタイプのお子さんは、お母さんやお父さんをとても強く頼ります。
困ったときや、不安なときや、わからないとき。
失敗しそうなときや、誰かに見られている気がするとき。
自分で決めなければいけないとき。
すぐに親を呼びます。
例1








例2








…とこのように、子どもが何でもかんでもお母さんを頼りにしてすぐに「ママ」「ママ来て…」と呼ぶ。
親からすると、「少しは自分でやってよ」と思いますよね。
でも、子ども側からすると、
「自分でやるのが怖い」
「失敗したら嫌だ」
「わからない状態に耐えられない」
「ママが来てくれたら安心する」
という感覚があるのかもしれません。
ラッコタイプの子は、単に何でも親にやらせたいわけではありません。
不安になったとき、親を呼ぶことで自分を落ち着かせていることがあります。
・家でひとりでトイレなどに行けない
小学校低学年の子の場合に多いのが、「廊下が怖くてトイレに行けない」ということです。
この気持ち、すごくよくわかります。私もこどもの頃は暗い廊下が怖かったです。
とくに夏休みに怖い表現のアニメ回を観た日なんかはトイレに行くのが怖くてトイレを我慢することもありました。
ただ、そういった「怖さ」とは別で、ここではトイレだけではなくお風呂や寝室に行ったりするなど、日常生活において「常にお母さんが横に居ないと不安」という状態を指します。
・知らない子の輪に入ることを怖がりやすい
これは見方によっては「慎重なタイプ」「安心さえすれば輪の中に入っていける」「どういうコミュニティーなのかを把握してからなら輪の中に入れる」というふうにも捉えることができます。
「楽しそう!」と思ったらすぐにその輪の中に入っていけるのも素晴らしいですが、慎重に目の前の状況を分析してから行動をするのも素晴らしいことです。
しかし、「お母さんと離れることへの不安」からきている場合は私がそのお子さんを分析する上で「分離不安の傾向があるのではないか」の判断材料のひとつになることがあります。
・お母さんと離れて過ごすことに対し極端に不安がる
小学校低学年の場合は30分~2時間ほどのお留守番ができればよいですが、無理に離れる必要はありません。
また、低学年の子は生まれ月によっても差が出やすいのであまり他のお子さんと比べる必要はないでしょう。
しかし、回覧板を出しに行ったり、30分以内のお留守番で子どもからの「着信履歴が20件」という状態は少し行き過ぎているかもしれません。
この場合も、私がそのお子さんを分析する上で「分離不安の傾向があるのではないか」の判断材料のひとつになることがあります。
「ママがいないと不安」は甘えなのか
母子登校でよくあるのが、子どもがこう言う場面です。
「ママがいないと不安」
「ママも一緒に来て」
「ママが帰るなら学校行かない」
「ママが教室の後ろにいて」
「ママがいないなら無理」
これを聞くと、親御さんは悩みます。
「これは甘えなのかな」
「私が甘やかしたからかな」
「もっと突き放した方がいいのかな」
「でも、無理に離すと傷つくのでは」
「いつまで付き添えばいいのかな」
毎朝、答えの出ない問いを抱えながら、学校へ向かうことになります。
大切なのは「甘えかどうかを急いで決めないこと」だと私は思います。
これまで多くのご家庭を見てきていますが、「ママがいないと不安」という言葉の奥には、以下のようないろいろな背景がみられることがあります。
・本当に親と離れることそのものが怖い場合。(分離不安症ぽさ)
・学校の音やにおい、人の多さが負担になっている場合。(感覚過敏ぽさ)
・先生の声や教室の雰囲気が怖い場合。(不安症ぽさ)
・友達に見られることが恥ずかしい場合。(場面緘黙症ぽさ)
・失敗への不安が強い場合。(失敗が苦手)
・朝の流れがうまく組み立てられず、親がいないと動けない場合。(先読みが苦手)
低学年の子は、こういったことをうまく細かく説明できないことがほとんどです。
だから、全部まとめて「ママがいないと不安」となりやすいです。
親にくっついているように見えて、実は学校の中の何かに困っていたり、母子密着に見えて、実は学校環境の負荷が強かったり、甘えに見えて、実は不安をどう扱えばいいかわからなかったり。…ということがあったりします。
ラッコタイプは「安全基地」を必要としている
これは愛着の話になりますが、子どもは不安な場所に向かうとき、安心できる人を必要とします。
小さい子が公園で遊ぶときも、いきなり遠くへ行くわけではなく、↓
少し遊ぶ→ちらっと親を見る。
また遊ぶ→不安になると戻ってくる。
抱っこされたり、目が合ったりすると、また少し離れて遊びに行く。
…このように、子どもは安心できる大人を土台にして、外の世界に出ていきます。みなさんのお子さんも、こんな感じでしたでしょうか?
母子登校のラッコタイプも、これに似ています。
お母さんがいるから、校門まで行ける。
お母さんがいるから、下駄箱に入れる。
お母さんがいるから、先生と話せる。
お母さんがいるから、教室に座れる。
お母さんがいるから、学校という場所にいられる。
つまり、親の存在は悪いものではなく、むしろ、親がいることで学校に向かえているとも言えます。
ただ、
親がいることで安心できる→でも、親がいない状態で安心する経験が積めない。
親がいればできる→でも、親がいないとできないままになる。
…この状態が長く続くと、母子登校は常態化・固定化しやすくなります。
だから、ラッコタイプの支援では、安心をなくすのではなく、安心の場所を少しずつ移していく(増やしていく)ことが大切になることがおおいです。
安心させることと、常態化・固定化することは違う
ラッコタイプのお子さんには、安心が必要で、
「大丈夫」「怖かったね」「ママはここにいるよ」
「先生もわかってくれているよ」「今日はここまででいいよ」
こうした声かけが必要な時期はもちろんあります。
ただし、安心させる関わりが、いつの間にか「親がいないと安心できない仕組み」になってしまうこともあります。
たとえば、
子どもが不安になる→お母さんを呼ぶ→お母さんが来る→子どもが落ち着く。
また少し不安になる→またお母さんを呼ぶ→お母さんが来る→子どもが落ち着く。
この流れが続くと、子どもは「不安になったら、ママを呼べばいい」になりやすくなる…こともあります。
もちろん、それ自体が悪いわけではなく、安心させることはいいことなのですが、でも、学校生活では、いつでも親を呼べるわけではありませんよね。
「不安になったら、必ずママが来る」から、
「不安になっても、先生に言える」
「不安になっても、少し待てる」
「不安になっても、保健室や別室で落ち着ける」
「不安になっても、自分で深呼吸できる」
「不安になっても、ママは家で待っていると思える」
という力が持てるようになるのが大事ですよね。
ラッコタイプに必要なのは、親から急に引き離すことではありませんが、「親だけ」が安心の供給源になり続けないように、少しずつ安心の受け取り先を増やしていくことが必要です。
母子登校の様子














ラッコタイプの母子登校は、はじめはこのように始まることが多いです。
ラッコタイプの母子登校は「ママがいないと不安」と言ってお母さんに一緒に来てほしいとお願いしてスタートすることが多いです。
学校が小1プロブレムの(クラスメイトの多数が授業中立ち歩いたり先生の話を聴けず授業が進行しない)状態にある場合も「ママがいないと不安」と訴えて母子登校がはじまる場合がありますが、これは環境が整うことで自然と安心して1人で登校できるようになることがあります。
(その他聴覚過敏や嗅覚過敏があるということが母子登校きっかけで発覚することもありますがこの場合は学校としっかり共有して出来る限りのサポートを受けられるようにしたほうが良いです)
この「学校には行きたい。でもママがいないと無理」という言葉は、ラッコタイプでよく見られ、親としては、とても苦しいですよね。
学校に行きたくないわけではないけど、一人では行けない。
親が付き添えば行けるから、付き添わないと学校に行けない。
この状態になると、親は「行けるなら付き添った方がいいのかな」と思います。
最初はそれでいい場合もあります。
でも、付き添いが長く続いているけど、次の段階が作られていない場合は、少し整理が必要かもしれません。
親がどこまで付き添うのかや、親が帰るタイミングはいつかや、今日は何ができたらOKなのかや、次の小さな目標は何なのか。
ここが曖昧なまま付き添い続けると、親も子も疲れてしまいますね。
ラッコタイプへの関わり方
ここからは、ラッコタイプのお子さんへの関わり方を具体的に整理します。
1. まず「何が不安なのか」を細かく見てみよう
「ママがいないと不安」と言われたとき、まず見るべきなのは、
本当に親と離れることだけが不安なのか
という点です。
たとえば、
・校門で止まるのか
・下駄箱で止まるのか
・教室前で止まるのか
・親が帰る瞬間に止まるのか
・先生が近づくと止まるのか
・友達に見られると固まるのか
・給食前に不安が強くなるのか
・朝の会が苦手なのか
・音やにおいがつらいのか
・失敗や発表が怖いのか
…などなど。「ママがいないと不安」という言葉は、子どもの中の困りごとの総称であることがありますので、親と離れられないことだけを問題にするのではなく、
学校のどの場面で不安が強くなるのかを一緒に探してみるといいかなと思います。
2. 分離は「場所・時間・人」で段階を作る
ラッコタイプの分離は、一気に進めない方がよいことが多いです。
「明日から一人で行きなさい」
「もう教室には入らないよ」
「今日からママは帰るね」
このように急に流れを変えると、子どもは強い不安を感じがちです。
〇たとえば、場所で分けるなら、
- 家から校門まで一緒に行く
- 校門で先生に会う
- 下駄箱まで一緒に行く
- 下駄箱で先生にバトンタッチする
- 教室前まで行く
- 教室には親は入らない
- 親は学校内の別室で待つ
- 親は一度帰り、決めた時間に迎えに来る
〇時間で分けるなら、
- 5分だけ親と離れる
- 10分だけ離れる
- 1時間目だけ親なしで過ごす
- 中休みまで過ごす
- 給食前まで過ごす
- 給食まで過ごす
- 下校まで過ごす
〇人で分けるなら、
- 親と担任が一緒にいる
- 親から担任へバトンタッチする
- 担任から支援員や別室の先生へつなぐ
- 子どもが困ったときに頼れる先生を決める
- 親ではなく先生に一言言う練習をする
このように、分離は「気合い」ではなく「設計」が大事かと思います。
3. 家庭でも「ママがやる」から「一緒に考える」へ変える
ラッコタイプの母子登校は、学校だけで起きているとは限りません。家庭でも、子どもがすぐに親を呼び、親が代わりにやってあげないといけないような場面は多いはずです。
| ①その年齢の子であればできることはひとりでこなせることを増やすような対応を心がける
②お母さんに代わりにやってもらわなくても「ひとりでできた!」という経験を積ませて「お母さんがそばにいなくても大丈夫」と思ってもらえるような対応を心がける |
もちろん、すべてを子どもにやらせる必要はありませんが、でも、何でも親が代わりにやってしまうと、子どもは「困ったらママがなんとかしてくれる」と期待しやすくなることもあります。
でも、「自分でやりなさい」「ママは知らない」「いつまでも甘えないで」だと突き放しちゃう感じになるので、
「一緒に考えよう」「まずはどこまでできるかな」
「ママが全部やるんじゃなくて、ここはあなたがやってみよう」「困ったら手伝うけど、最初の一歩は自分でやってみよう」
というやりとりが望ましいです。
たとえば、宿題のドリルが見つからないとき。
子 「ママ、ドリルがない!探して!」
母 「ドリルがなくて困っているんだね。まずは、昨日どこで使ったか思い出してみようか」
子 「わからない!ママ探して!」
母 「ママも一緒に考えるよ。でも、探すのはあなたも一緒にやろう。机、ランドセル、リビングの順番で見てみよう」
…のように、段階を踏んでみることをお勧めします。
ほかには…












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いきなりこんな風にはいかないかも知れませんが、「気持ちが落ち着くまで待ってあげる」「(お母さんが代わりにやるのではなく)一緒に乗り越えてみようと誘ってみる」「できたね」と認めてあげるような対応を積み重ねていくことで、子どもに自信がついていくかもしれません。
ラッコタイプで親が気をつけたいこと
ラッコタイプの支援では、親御さんがとても疲れやすいです。
なぜなら、子どもが常に「親」を求めるから。
学校でも親。
家でも親。
困ったときも親。
泣いたときも親。
決めるときも親。
先生に言うときも親。
…これが続くと、お母さんは自分の時間も心もなくなっていきますよね。親である前に、ひとりの人間なのに。
そして、ある日突然、限界が来て、
「もう無理」「いい加減にして」「いつまでママ、ママなの」「自分でやってよ」
…そう言ってしまい、あとで自己嫌悪になる。
ずっと安心基地を一人で担当し続けるのは、普通にしんどいです。当たり前のことです。最悪とかそういう話じゃないです。自然なんです。
母子登校は「お母さんがもっと頑張る話」になりやすいです。
学校と相談したいこと
ラッコタイプの母子登校では、学校との連携がとても大切で、学校にお願いしたいのは、「泣いても無理に引き離してください」ということではありません。
また、「子どもが落ち着くまで親がずっと付き添います」だけでもなく。
・親はどこまで付き添うのか
・先生はどこで声をかけるのか
・子どもが泣いたら誰が対応するのか
・親が帰るタイミングはいつか
・子どもが不安になったときに行ける場所はどこか
・その日の目標をどこに置くのか
…ここを決めておくと、毎朝の混乱が減りやすいです。
ラッコタイプの子は、大人側の対応が日によって変わると不安が強くなりやすいです。
昨日は教室までママが来た。
今日は校門で帰ると言われた。
昨日は泣いたらママが残った。
今日は泣いても帰ると言われた。
先生によって対応が違う。
このように流れが変わると、子どもはさらに親から離れにくくなります。(結構学校側が「昨日いけたから今日いけるっしょ」でどんどん次のステップいかせようとして崩れるってこと、あります)
ですので、家庭と学校で、
「今日はここまで」
「次はここまで」
という段階を共有することが大切です。
ラッコタイプは、ずっとラッコのままではない
ラッコタイプのお子さんは、親を強く求めます。
でも、それはずっと親にくっついていたいという意味ではないことがあります。
本当は、学校に行きたい。
本当は、できるようになりたい。
本当は、友達と過ごしたい。
本当は、先生に言えるようになりたい。
でも、今はまだ、親がいないと不安が大きすぎる。
そういう状態かもしれません。
自分でできた経験が自信につながっていき、そうして少しずつ、子どもの中に「ママがいなくても、なんとかなるかもしれない」という感覚が育っていく。
これが大事なんだと思います。
まとめ
甘やかしているのかな…
突き放すべき?
付き添い続けるべきなのかな。
どうしたら一人で行けるようになるの…。
母子登校のラッコタイプは、見た目には「母子密着」「甘え」「依存」に見えることがあります。
でも、実際には、学校環境への不安、親子の会話、発達特性、家庭での役割、学校との連携など、いくつもの要素が重なっていることがあります。
MIKURU・MIRUでは、「親が付き添うべきか、離れるべきか」を一律に決めるのではなく、ケースに合わせて具体的なアドバイスをしています。
「ママがいないと学校に行けない」
「付き添いをやめたいけれど、やめ方がわからない」
「離そうとすると泣くので進めない」
「学校との連携がうまくいかない」
「このまま母子登校が続くのではと不安」
そのような方は、一度ご相談ください。
お母さんがもっと頑張るためではなく、親子が安心を失わずに、少しずつ次の段階へ進むために、今の状態を一緒に見立てるところから始めていきましょう。
ラッコタイプの子は過度な母子密着状態であることから、お母さんと離れて過ごすことに極端に不安がる傾向があります。
しかし、母子登校のご相談をいただき状況を分析してみますと、深刻な母子密着状態というケースは意外と少ないのです。
本当は困難を乗り越えられる力が備わっているにもかかわらず、お子さん自身が「自分はお母さんが常にそばに居ないと何もできない子なんだ」と思い込んでしまっていただけで、家庭内で成功体験を積ませていくことで「自分はやればできる」「自分はお母さんが常にそばに居なくても時に周りを頼りながら行動できる子」というふうに自分への解釈がかわっていくケースは多いです。
お母さん自身も、頑張り屋さんな方が多く、一生懸命に子どもと向き合って頑張っておられることが多いのですが、家庭教育を学んでいただくことで「あれ?こんなに子どもに任せて大丈夫なんですね?」「わたし、頑張りの方向性が間違ってたんですね」という感想をいただくこともあります。
もし「うちはラッコタイプの母子登校かも…」と思った方で、家庭教育にご興味がありましたら、是非取り組めるところから実践してみていただければと思います。
公認心理師 まいどん先生(山下真理子)
↓ほかの母子登校5つの動物タイプについてはこちら↓
| ・ライオンタイプ |