その子どもの様子、もしかしたら分離不安ではなく「しがみつき」かも?

子どもにどんなに「してあげても」満たされてくれない

MIKURU・MIRUにご相談いただく方の中で、「子どもが分離不安だと思う」とおっしゃる方の場合、子どもの不登校や母子登校や行き渋りのことで行政の教育相談窓口やSCや病院などに相談に行って「分離不安ですね」と言われた方のほかに、「自己判断で『分離不安』だと思っている」方は少なくありません。

しかし、その「おそらくうちの子は分離不安に当てはまっている」という見立ては間違いかもしれません。

分離不安の定義とは

分離不安は、「分離不安症」あるいは「分離不安障がい」と呼ばれており、「自宅や愛着を持っている人(母親)と離れることに対して持続的に苦痛・強い不安を感じる病気」と言われています。

分離不安症のお子さんは、お母さんが自分から離れようとするときに「行かないで!」と泣きさけんだり、通せんぼしたり、離れた後もずっとお母さんと再会することばかりを考えて不安を感じ続けます。
分離不安症の症状は、親族やペットの死、転校など、生活上のストレスが引き金となり発症することが多いと言われています。

あるいは、不安を感じやすい傾向が遺伝しているという説もあります。

また、お母さんと離れた時に子どもはお母さんとの再会ばかりを考えますが、その間「早く会いたい」以外に、「お母さんが死んでしまうのではないか」「お母さんや自分が誘拐されてしまうのではないか」「お母さんが病気してしまって離れ離れになるのではないか」などの過剰な心配と不安でいっぱいになってしまいます。

通常は行動療法が有効とされていて、「分離不安」は認知のゆがみが原因のひとつとも言われています。

(認知のゆがみに関する内容は↓のブログをご覧ください。)

また、「分離不安症」「分離不安障がい」の診断は症状の内容と継続期間に基づき下されます。

医療機関などで分離不安症あるいは分離不安障がいと診断された場合は、病気の位置づけになるわけですが、果たして分離不安で悩まれているケースは本当に病気なのでしょうか。

「学校に行く瞬間だけ」お母さんとの分離に不安を感じる子

ここまで分離不安症について書かせていただきましたが、「うちの子は24時間分離不安の症状が出ているわ」と感じられた場合は、なるべく早くに相談窓口や医療機関に行かれることをお勧めします。

しかし、「うちの子は学校に行く瞬間だけお母さんと離れたくないと言う(24時間ずっと継続的に不安を訴えるわけではない)」場合は、実は「分離不安」(だけ)が原因ではないかもしれません。

母子登校の場合、親が「一緒についていけるのはここまでね」と子どもと離れようとした時、子どもが急に泣き出したり、不安を訴えたり、固まったり、怒り出すなどの反応があり離れるときにひと悶着起きることが多いです。

そして、ネガティブな感情は伝染しやすいため、親も不安を感じている場合子も不安を感じて余計にうまく離れられないなどの悪循環になってしまうこともあります。

しかし、いざお母さんと離れさえすれば、学校で楽しそうに過ごせていたり、帰宅してからも一人遊びができるというお子さんがいます。

お母さんからすれば、「朝あんなに不安そうにしていたのに、この差はなに?!」と混乱してしまいますよね。

このようなケースでは、私は母子分離不安ではなく「しがみつき」や「自立度」を重視して見ています。

人は「愛する者に対して敵対衝動を持つことがある」

過度な母子密着が強いお子さんの場合、近い人(母親)に対する要求が強く、限りない受容を求めがちです。

(子が親へ依存することは当たり前ですが、それが過度であったり、お母さんと身体的にも精神的にも離れることに困難さを感じる場合、私は「過度な母子密着状態」と呼んでいます)

このようなケースでは、お子さんは「お母さんにはいつだって自分のことを一番に思っていてほしいし、口で言わなくてもわかってほしいし、満たしてほしい」という要求が強いのですが、それが満たされないと、要求を満たしてほしい相手(お母さん)に対して敵意を抱いてしまうことがあります。

自分を満たしてほしいのに満たされないと、強い怒りを感じたり相手を嫌ったり、敵意を抱いてしまう。

自分を愛してほしいと思うのに、自分が思う愛し方をしてくれないので相手を憎んでしまう。

このような感情が子どもの中にずっとある状態は、決して健康的とは言えません。

そして私はこのような状態を「しがみつき」とよく表現するのですが、しがみつきがないお子さんの場合は、ある程度要求を飲んであげたり満たしてあげると満足してお母さんに対して過度に求めることをしません。

しかし、しがみつきがあるお子さんの場合、「具体的にこうしてほしい」というのが明確でないことが多いです。

昨日は1時間親が遊びに付き合えば満足してくれたのに、今日は2時間遊んでも満たされてくれない。

一昨日はアイスを買ってあげれば喜んでくれたのに、「なんでアイス?ゼリーが良いのに!」とわがままを言う。

親がどうしても子の要求を受け入れられない場合は、「どうせ私のことなんて嫌いなんでしょ」「あー、僕なんて死ねばいいんだね!」ということを言ってくる。

親は必死に子どもが満足出来るようにあれもこれもとやっているのに、全然満たされることがなく、何ならどんどん要求がエスカレートしていきます。

実は、このようなしがみつきがつよいお子さんの場合、訴える要求そのものはどうでもいい(本当はそこまで欲していない)ということがあります。

なぜかというと、要求を求めた相手の反応や、自分の要求をどう扱ってくれるのかを試しているからです。

このようなケースの場合、子どもは要求を通して親が自分に対してどれくらい関心を持っているのか?愛してくれているのか?を見ています。
求めているのは「親の自分への関心」と「愛」なので、満たされなければ親が要求をどれだけ受け入れてくれても満足してくれません。

そして親は、「こんなにもやってあげているのに何が不満なのよ!」となってしまいます。

それでも母子分離不安の場合の対応の鉄則とされるのは、多くの場合「子どものことを受け入れてあげて」「子どもを愛してあげて」「聴いて受容してあげて」なので、お母さんは必死に子どもの要求を飲もうとします。そしてどんどん子どもの要求はエスカレートし、お母さんは疲弊します。

お互い求め合い、そしてどんどん悪循環に…こんなつらいことあるでしょうか。

共感しているつもり…でも実はできていないかも?

子どもの「しがみつき」に振り回されている親御さんは、疲弊していることが多いです。

そのため、PCMやコンパスメソッドを意識して「傾聴」「アクティブリスニング」の実践をしているのに、子どもがどんどん不機嫌になったり、要求がエスカレートしがちです。

その理由は、

・子どもの話は聞いてはいるものの、子どもの目を見ないで「そうなの~」という相槌をうっている

・表面的な話の聞き方に偏っている(子どもの言葉の繰り返しはするけれども、子どもの視点に立って考えたり気持ちを汲むことをしない)

・子ども側の「背景」に目を向けられていない

ということがあるからです。

でも、こうなってしまうことは仕方がないと思います。

疲れていると、とてもじゃないですが丁寧に「聴く」ということはできませんよね。

もし可能であればご主人にバトンタッチして数時間でもリフレッシュしにいくなど、休息時間を取り入れてみてください。

そのうえで、お子さんとの関わりを見直してみましょう。

(↓こちらの記事もよろしければご参照ください。)

しかし、どうしてもそのループから抜け出せないという場合や、「うちは母子分離不安なのかしがみつきなのかわからない」と悩まれている方は、よろしければ一度MIKURUMIRUにご相談ください。

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この記事の内容がどなたかのお役に立てれば幸いです。

それでは、また次回ブログ記事にてお会いしましょう!

親まなびアドバイザー まいどん先生

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