お母さんが一緒でないと学校に行けない【母子登校・付き添い登校】1

お母さんが一緒でないと学校に行けない【母子登校・付き添い登校】1

ブログをお読みいただきありがとうございます。まいどん先生こと山下です。

これまで何度も母子登校について解説をしてきましたが、これまで解説してきた内容からさらにバージョンアップし、改めて記事を書いてみたいと思います。

なお、かなりのボリュームになりそうなので、2回にわけて解説予定です。よろしくお願いします 🙂

※今回、母子登校をテーマに書いていますが、不登校や登校に不安がないケースにも当てはまる部分は多いかと思われます。

 

様々な母子登校の要因

「母子登校」とは、不登校のように文科省が定義づけしているものではなく、あくまでも支援者が親御さんにわかりやすく説明するために「母子登校」と表現しているものです。

付き添い登校という表現もありますし、お父さんが付き添っていれば父子登校という表現をすることもありますが、私は母子登校のことを拙著にて、

母子登校とは、お母さんやお父さんと一緒でないと子どもが登校出来ない状態のことを指します。

ケースによっては祖父母の付き添いで登校していることもあります。

多くの付き添い登校の事例の対象が母親であることをふまえ、このような家族の大人の付き添いがないと登校できない状態のこと。

<拙著:『これで解決!母子登校より』>

このように書かせていただいています。

 

そして、私のもとには様々な母子登校のケースのご相談をいただきますが、以下のようなことが母子登校の要因のひとつとなっているケースが多かったです。

・分析(見立て)の誤りによって起こる状況悪化

・発達障がいのグレー(感覚過敏・不安を感じやすい・自分の気持をうまく表せられない・多動傾向 など)

・不安を感じやすい

・自立の面で課題がある

・夫婦間の不和

・親がこれまで自分以外の兄妹に注目することが多く我慢や寂しい思いをすることが多かった

・家庭内でのコミュニケーションに課題がある

※他にも「これが要因の可能性が高い」と判断されたものもありますが、すべてを書き出すとキリがないので、比較的多くおみかけするものを書いています。

 

分析(見立て)の誤りによって起こる状況悪化

お子さんが「学校に行きたくない。学校が不安。ママついてきて」と言い出したとき、皆さんは「なんでひとりで学校に行けないの?」と、そうなった理由を探そうとされたと思います。

そしてその理由を探すとともに、多くの場合は学校が「こわい」「不安」と表現する子がほとんどですので、そのこわさや不安を取り除こうとされて、スクールカウンセラーによるカウンセリングを受けてみたり、ママ友や知り合いに相談されたのではないでしょうか。

そして、親御さんあるいは相談されたママ友やカウンセラーさんにより、「これが要因かな?」と考え分析(見立て)するものの…

 

分析(見立て)そのものが誤っていた

 

…というケースを多く見てきました。

 

『様々な書籍を読んで子どもを褒めるとよいと聞いたので取り組んでいる』

『トークンエコノミーが合うと聞いたので取り組んでいる』

『分離不安と言われて安心させる言葉がけや関わりを意識して取り組んできた』

『発達検査・知能検査(wiskなど)をうけて、そこでわかったことをふまえて親は子への関わりを変えてみている』

…などなど、わたしのもとにご相談をいただく前にすでにご自身でできることを取り組んでいることが多いのですが、実際に親子会話を詳細に拝見しますと、

「新たにはじめた関わりがむしろ状況を悪化させている可能性がある」ケースが実は少なくありません 😥

 

本当に状況を悪化させているかどうかを判断するために親御さんに「試しにこのように関わってみてください」などアドバイスをして実践していただきお子さんの反応を見てみると、

新たな取組をしてみて一時的に良くなったように見えたけれども、根本改善になる方法ではなく、痛みを一時的になくすための方法でしかないということがあります。

 

これはまるで薬と同じだなと思うのですが、病院で処方される薬は患者さんが訴える痛みなどを緩和させるために出されるもので、体質改善を目指すものではいので痛みそのものを完全になくすためのものではありません。

 

(例)

子どもが不安を訴える→自己肯定感が低いことで母子登校になっている→自信をつけさせるために親は子どもをたくさん褒めるようにする(投薬)→一瞬は子どもは褒められて嬉しそうにして不安を忘れる(苦しみ緩和)→しかしその嬉しさや一瞬感じた「自分はできるかも」という感覚は長続きしない(根本改善にはならない)

 

むしろケースによっては「褒められないと(周りにOKをもらえないと)怖くて行動に移せなくなってしまった」という子もいます。

ほかにも分離不安を疑って関わってみたものの、実はすでにしっかり・十分に…なんなら他のご家庭以上に愛情をたっぷり注いでいるケースなのに、さらに安心させようとしてスキンシップを増やしたり、「甘えさせなければ」…と甘えとわがままを混同してすべてを受け入れて、結果的に退行現象(赤ちゃん返り)がひどくなっている場合も多く見かけてきました。

 

発達障がいのグレー(感覚過敏・自分の気持をうまく表せられない・多動傾向 など)

まず、みなさんにぜひ持っていただきたい考え方として、発達障がいだから「劣っている」とか「かわいそう」…というわけではないということです。

できない面ばかりが注目されがちですが、得意な面もあれば苦手な面もあります。

人よりもその場にいる人達の感情を察することができたり、覚えるのが難しいことを覚えられてしまったり、感覚が鋭かったり…物事の受け止め方や感じ方が敏感であるなどして、周囲よりも得意不得意がはっきりしているだけです。

(私も人よりもその場に居合わせた人の表情をよく読み、何を考えているんだろうと考える癖があり、人の多い場所におでかけをするとどっと疲れてしまう…というところがありますし、不安を感じやすくすぐに心臓がドキドキして緊張しがちなので、脈のはやさによく周りから驚かれます。)

それに、「ふつう」か「ふつうじゃない」かなんて、その時代の環境次第だと思っています。

今ならモラハラ・パワハラと言われることも昔ならそれが当たり前であったし、父親が頭ごなしに叱って怒鳴りつけたとしてもそれが父性だと言われてきた時代もあります。

しかし、現在においては逆にそういう人を「人の気持がわからない」だとか、そういう方をASDの傾向があるんではないかと疑われる人もいると思います。

 

現代の学校環境をひとつの基準として、「ふつう」とすると、それに適応できない子はふつうじゃないと言われてしまいやすい。

しかしそれは今現在の環境においてそうなのであって、将来はどうなるかはわかりません。

大事なのは、発達障がい(のグレー)であるがゆえに学校環境に適応できずに「学校がこわい。ママきて」となっているとするならば、その子の特性を知り、学校に共有し、周囲の理解を深めていくことだと思います。

 

実際、親御さんが「うちの子は他の子と比べてちょっと違うところがある」と気づきながらも、「うちの子はふつうなんだ」ということにこだわってしまって、発達検査を受けることを拒んでしまう…ということもあります。検査はあくまでもひとつの客観的にみてその子の性格(得意不得意)を表すものであり、何かが高すぎる・低すぎるから普通じゃなくて、社会に適応できないというわけではありません。

過去に、「字が汚すぎる。やる気がなさすぎる」ということで親御さんがお子さんに毎日ガミガミいい、丁寧に書きなさいと言い続けたケースがありました。

しかしそのお子さんは、実は書字障がい(学習障がい・LD)があり、低学年のうちは他の子もうまく文字がかけない子も多かったため周りも気づかなかっただけで、本人なりにはとても頑張って書いているのに、何度も書き直しをさせられて、周りから「やる気がない子」というレッテル貼りをされて自信を失っていたケースがありました。

書字障がいであることに親も先生も気づいてからは、適切な支援が学校で受けられるようになり、その子は母子登校ではなくひとりで学校に行けるようになったということもありました。

 

不安を感じやすい性格

上記のような発達障がいはないものの、学校という場をひといち倍「怖い」「不安」と感じてしまう子もいます。

そのような場合は、誤学習が関係している場合があります。(あくまでも一例です)

 

心理学の実験で有名な、アルバート坊やの実験というものがあります。

これは、アルバート坊やに「白いネズミを見せてから大きな音をたてる」という状況をくり返し経験させると、今まで白いネズミを見ても怖がらなかったのに、白いネズミを見ただけで怖がって避けるようになってしまったというものです。(その後白いうさぎも怖がるようになったといいます)

「白いネズミ+大きな音」を同時に呈示したことにより、大きな音への恐怖がネズミにもうつってしまって、ネズミに対してまでも恐怖心をもつようになってしまいました。(坊やは11ヶ月だったそうです…)

この実験が、『恐怖条件づけ』『恐怖症が成立する』過程が判明されたとし、恐怖症の治療法につながっていきました。

 

「いつも特定の場で母親と離れることができない」

というお子さんも少なくないのですが、アルバート坊やの例をふまえ、例えば…

学校の下駄箱でママと離れることが怖い

下駄箱に来るとみんなに注目されて嫌な思いをする

下駄箱にいると先生がやってきて無理にママと引き離そうとする(怖い)

周りに迷惑をかけていると感じるママは子どもに厳しく関わってしまう

結果、より下駄箱という場が怖くなってしまう(恐怖条件づけが成立し、より恐怖心が増してしまう)

…ということもあります。

そして、怖く感じた刺激や場所を避ければ避けるほど、その恐怖心は維持されてしまいます。

(例えば「下駄箱が怖いから教室まで来て」と言われて教室までママがついていく→下駄箱のやりとりと同じことが起きてしまう→結果、さらに恐怖条件づけが成立して下駄箱以外にも「教室が怖い」となってしまう)

逆にこれを改善していこうと思えば、

 

学校の下駄箱でママと離れることが怖い

みんながいない時間(早くor遅く)に登校して注目されないようにする

先生はやってくるけれども無理にママと引き離そうとしない(○分になったら離れましょうと声をかけたり、本人にいつママと離れるか決めさせる)

ママは子どもに厳しい言葉がけをしないように先生におまかせして見守る

結果、下駄箱という場への恐怖がうすれていく

…という取り組みもひとつであるということです。

怖がるものを避け続けると、よりその場に恐怖心を持つことになり、他にも「母親とうまく離れられない→周りに注目されて嫌な思いをする→その場が怖いという気持ちが強くなってしまう」…のように、学校以外の下駄箱に似たような状況を怖がってしまうということもありえます。

恐怖心を乗り越えていくというのは1日2日でできることではありませんが、長い目で見て取り組んでみるのもひとつ手かもしれません。

 

これまでの母子登校に関する発信はこちらのブログ👇にてまとめていますので、まだご覧いただいていないかたはこちらもお読みいただくことをおすすめします。

 

 

それでは、長くなってしまったので、今回はこのへんで終わりたいと思います。続きはまた次回!

最後までお読みいただきありがとうございました(*^^*)

 

親まなびアドバイザー まいどん先生

 

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