お母さんが一緒でないと学校に行けない理由【母子登校・付き添い登校の見立て方】

お母さんが一緒でないと学校に行けない理由と見立て方

ブログをお読みいただきありがとうございます。まいどん先生こと山下です。

これまで何度も、母子登校について発信してきました。

「朝になると子どもが学校に行けない」
「学校までは行くけれど、親と離れられない」
「校門、下駄箱、教室前で止まってしまう」
「お母さんが一緒なら行ける。でも、一人では行けない」

このようなご相談は、今もとても多くいただきます。

母子登校という言葉は、文部科学省が正式に定義している言葉ではありません。
「付き添い登校」と呼ばれることもありますし、お父さんが付き添う場合は、父子登校と表現されることもあります。

 

私の本では、母子登校をこのように説明しています。

母子登校とは、お母さんやお父さんと一緒でないと、子どもが登校できない状態のこと。
ケースによっては、祖父母の付き添いで登校していることもあります。
多くの付き添い登校の事例で母親が付き添っていることをふまえ、家族の大人の付き添いがないと登校できない状態を、ここでは母子登校と呼んでいます。

つまり母子登校とは、「学校にまったく行けない」状態だけを指すのではなく、学校には行けていて、出席もしていて、でも、親がいないと登校できない。
親が離れようとすると泣いたり、親が帰ろうとすると怒るので、仕方なく(離れられない・帰ってしまうよりマシだという理由などから)親が学校に残り続けている。ということです。

 

母子登校は「甘え」の一言では説明できない

母子登校になると、親御さんは本当に悩まれます。

「これは甘えなのかな」
「私が甘やかしすぎたのかな」
「もっと厳しくした方がいいのかな」
「発達障害なのかな」
「分離不安なのかな」
「学校で何かあったのかな」
「このままずっと付き添うことになるのかな」

このような、いろいろな考えが頭の中をぐるぐる回りますよね。

ネットで調べると、いろいろな答えが出てきたはずです。

「安心させてあげましょう」
「無理に離してはいけません」
「親が覚悟を決めましょう」
「甘やかしはよくありません」
「発達特性を理解しましょう」
「学校と連携しましょう」
「自己肯定感を高めましょう」

どれも、まったく間違いではありませんが、すべての家庭にそのまま当てはまるわけでもありません。

ここが、母子登校の難しいところです。

同じように「ママがいないと学校に行けない」と言っていても、背景はお子さんによってまったく違うからです。

不安が強い子もいるし、
発達特性が関係している子もいるし、
自立の経験が少ない子もいるし、
親子の会話パターンが固定化している子もいるし、
学校の環境が合っていない子もいるし、
家庭の中で、子どもが言葉にできない気持ちを抱えていることもあります。

だから、母子登校は「甘えです」「発達障害です」「分離不安です」と、一言で決めつけることはできません。

なぜうちの子は、親と一緒でないと学校に行けない状態になっているのかを丁寧に見ていくことは大事なんだと思います。

 

👇母子登校という言葉の基本的な意味については、母子登校とはの記事でも解説しています。

見立てを間違えると、よかれと思った対応が逆効果になることがある

母子登校のご相談でとても多いのが、親御さんがすでにたくさん努力されているケースです。

本を読み、ネットSNSで調べ、学校に相談し、スクールカウンセラーに相談し、発達検査を受け。
子どもを褒め、安心させ、スキンシップを増やし、トークン表を作り、朝の声かけを変えてみて、学校に付き添い、先生と別れ方を相談し。

本当に、みなさんできることをたくさんされています。

ただ、親子のやりとりを詳しく見ていくと、
「よかれと思って始めた対応が、かえって母子登校を固定化(常態化)している」
というケースも少なくありません 😥 

 

たとえば、子どもが不安そうにしている→親は安心させようとして、

「大丈夫だよ」「ママがいるからね」「怖くないよ」「無理しなくていいよ」

…などと声をかけてみるパターンです。

このような声かけが必要なケースもありますが、でも、

 

すでに十分に親がそばにいて、子どもが親の安心を何度も確認しないと動けなくなっている場合は

安心させる関わりを増やしすぎることで、かえって親から離れにくくなることがあります。

 

あるいは、自己肯定感が低いのではないかと思って、たくさんたくさん褒める。

「すごいね」「えらいね」「できたね」「頑張ったね」…などなど。

こういった「褒め」が必要なケースはありますが、でも、

 

褒められることでしか安心できなくなると、今度は「褒められないと動けない」「OKをもらえないと不安」となって

余計に「ママのOKがすぐにもらえない学校が怖い」となってしまうことがあります。

 

また、トークン表やごほうびが合う子もいますが、一方で、

ごほうびがないと動かない形になったり、親子の交渉材料が増えてしまったりする子もいます。

 

つまり、方法そのものが悪いのではなく、問題は、その子に合っていない方法を続けてしまうことなんです。

母子登校では、「何をするか」よりも前に、何が起きているのかを見立てることがめちゃくちゃ大事で、これがわかっていない中、やみくもに手当たり次第に対応をしてしまうと、余計に沼にハマって出られなくなってしまうことがあります。

 

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母子登校の背景にあるもの

母子登校の背景は、一つではないです。以下、よく見られる背景を整理してみます。

1. 不安が強く、親を安全基地にしているケース

まず多いのは、不安が強いケースです。

よく、「分離不安症」「母子分離不安」という表現をされますね。

学校そのものが怖い。教室が怖い。
先生が怖い。友達の目が怖い。
失敗するのが怖い。みんなに見られるのが怖い。
お母さんと離れるのが怖い。

…子どもは、はっきりと理由を言えないこともあります。

「なんとなく無理」とか「こわい」とか「いやだ」とか「ママ来て」とか「帰りたい」とか。

このような言葉で表現することが多いはずです。

親がいれば、なんとか学校に行ける。
親がいれば、教室に入れる。
親がいれば、給食も食べられる。
でも、親がいなくなると急に不安が大きくなる。

このタイプでは、無理やり親を引き離すと、学校そのものへの恐怖が強まることがあります。

一方で、ずっと親がそばにい続けると、親なしで安心する経験が積みにくくなることもあります。

大切なのは、安心させることと、少しずつ離れる経験を積むことの両方で、

「今日は校門まで」
「今日は下駄箱まで」
「今日は教室の入口まで」
「今日は先生にバトンタッチするところまで」

…のように、分離の段階を細かく分けてみることがあう場合もあります。

 

2. 学校の特定の場面が怖くなっているケース

母子登校の中には、学校全体が怖いというより、特定の場面が怖くなっているケースがあります。

たとえば、

・下駄箱
・校門
・教室の入口
・朝の会
・給食
・体育
・音読
・発表
・休み時間
・先生に声をかけられる場面
・みんなが見ている場所で親と離れる場面

などです。

一度その場面で強い不安や恥ずかしさを感じると、次から同じ場所に近づくだけで身体がこわばることがあります。

たとえば、下駄箱でお母さんと離れられず、周りの子に見られた。
先生が来て、急に引き離されそうになった。
お母さんも焦って、厳しい声になった。

すると子どもの中で、
「下駄箱=怖い場所」
という結びつきができてしまうことがあります。

そうなると、次の日から下駄箱に近づいただけで泣く。
玄関に入る前から固まる。
校門を見ただけで「帰る」と言う…となることがあります。

大事なのは、「怖くないよ」と言い聞かせることだけではなく、怖くなってしまった場面を、もう一度安全な形で経験し直す必要があると私は思います。(もちろん、その時のお子さんの状態によります)

ただ、↑をやろうとしてみたときに、私から見ると「随分飛ばすなぁ…」と思ってハラハラすることが多いです。

わたしのイメージが1段ずつだとすると、実際は5段飛ばしくらいで怖くなってしまった場面を、もう一度経験させて乗り越えさせようと頑張りすぎて、結果大崩れしてしまって全然前進しないどころか後退しました…というお話はよく耳にします。

 

👇 「ママがいないと不安」なラッコタイプの関わり方

「ママがいないと不安」「親から離れにくい」という様子が強い場合は、母子登校のラッコタイプ|安心基地と分離の段階づくりの記事も参考になります。

3. 発達特性や感覚の敏感さが関係しているケース

大切なのは、診断名よりも、その子が何に困っているのかを見ることです。

たとえば、

・音に敏感
・においに敏感
・服の感触が苦手
・人が多い場所で疲れやすい
・予定変更が苦手
・言葉で気持ちを説明するのが苦手
・先生の一斉指示が入りにくい
・切り替えに時間がかかる
・失敗すると強く落ち込む
・字を書くことが極端に苦手
・集団の中でどう振る舞えばいいかわかりにくい

…このような特徴があると、学校生活そのものがかなり疲れるはずです。ひとより消費するエネルギーが多すぎます。

 

大人から見ると、「みんな普通にやっていることやん…」と思うかもしれません。

でも、その子にとっては、毎日かなり無理をしている場合があります。

たとえば、字を書くことが苦手なお子さんに、「もっと丁寧に書きなさい」「やる気がない」「何回言ったらわかるの」と言い続けると、子どもは自信を失います。

本当は努力しているのに、努力していない子として扱われてしまう。

そうなると、学校に行くこと自体がつらくなります。

この場合は、本人の努力不足として見るのではなく、その子の得意不得意を整理し、学校と共有し、必要な配慮を考えることが大切です。

検査は、子どもにレッテルを貼るためのものではありません。
その子に合った関わり方を考えるための手がかりです。

似た特性だからといって、ASDの子がみんな同じ性格ではないです。A型でもわたしのように不器用で雑な人間もいるように。

 

👇母子登校ペガサスタイプについての詳しい解説はこちら

切り替えにくさや気分の波、ADHDっぽさが気になる場合は、母子登校のペガサスタイプ|ADHDっぽさに見える子の見立て方も参考になります。

4. 自立の経験が少なく、親がいないと動きにくいケース

母子登校では、親がたくさん手伝わないと一日が回らないというか、その日がスタートしないから仕方なく…ということが往々にしてあります。

朝起こし、服を出してやり、持ち物を確認してあげて、ランドセルを持ってあげる。
学校まで付き添い、先生に説明し、子どもの気持ちを代弁し、帰宅後も宿題や明日の準備を支える。

最初は、必要に迫られてやっていたことだと思います。

でも、それが長く続くと、子どもが自分で動く経験を積みにくくなることがあります。(わかっていると、この文章は苦しいですよね)

この場合、いきなり「もう一人でやりなさい」と突き放してもうまくいきません。

子どもからすると、急に足場を外されたように感じるからです。

たとえば、

・靴下だけは自分で選ぶ
・水筒だけは自分で入れる
・ランドセルは玄関まで自分で持つ
・校門の5メートル手前だけ一人で歩く
・先生への一言だけは自分で言う
・親は教室前ではなく階段下で待つ

…と、このようにちょっとだけやってみようと促してみることから。

自立は、気持ちの問題だけではありません。具体的な行動の積み重ねです。

 

5. 親子の会話パターンが固定化しているケース

母子登校が長引くご家庭では、毎朝同じような会話が繰り返されていることがあります。

子どもが起きない→親が声をかける→子どもが返事をしない。
親が焦る→子どもが怒る→親も怒る→子どもが泣く→親がなだめる。
時間がなくなる→結局、親が準備を手伝う。
なんとか学校に行く→親はぐったりする→そして翌朝、また同じことが起きる。

…のような親子のやりとりが、いつの間にか抜け出しにくくなっている。蟻地獄みたいになっていることがあります。

このような場合は、「もっと優しくしよう」「もっと厳しくしよう」を取り入れてもあまり効果がかんじられないかと思います。

 

毎朝どの場面で子どもの動きが止まり、どの声かけで悪化し、最終的にどう着地しているのかをしることです。

親子の会話を丁寧に見ていくと、
「ここでお母さんが説明しすぎている」
「ここで子どもが交渉に持ち込んでいる」
「ここで親が折れる流れができている」
「ここで学校側にバトンタッチした方がいい」
というポイントが見えてくることがあります。

 

6. 家庭全体のバランスが影響しているケース

母子登校は、子ども一人の問題として見られがちです。

でも実際には、家庭全体のバランスが影響していることもあります。

夫婦の間で方針が違う。
お父さんは厳しく、お母さんは受け止める。
お母さんが子どものことを一人で抱えている。
きょうだいが我慢している。
下の子に手がかかり、上の子が寂しさを抱えている。
親自身が疲れ切っている。
家族の中で、子どもの登校問題が中心になりすぎている…など。

このような場合、子どもにだけ働きかけても、なかなか変化が起きにくいことがあります。

 

「学校が怖い」と言う子に、どう関わればいいのか

子どもが「学校が怖い」と言ったとき、親は、

無理に行かせていいのか。休ませた方がいいのか。
付き添った方がいいのか。離れた方がいいのか。
先生に任せた方がいいのか。自分がそばにいた方がいいのか。

…と、悩みますよね。すごく悩む。

そして、正解は、ケースによって違います。だからよけいに悩んじゃう。

 

ただ、一つ言えることがあります。

怖いものを完全に避け続けると、怖さが残り続けることがあります。

一方で、怖いものに急に向き合わせすぎると、さらに怖くなることもあります。

だから必要なのは、
怖さを無視せず、でも怖さだけに合わせすぎず、少しずつ安全に経験し直すこと
です。

たとえば、下駄箱が怖いなら、いきなり教室まで行かせるのではなく、まず下駄箱に入るだけ。
人目が怖いなら、人が少ない時間に登校する。
先生が近づくと怖いなら、先生には少し距離を取ってもらう。
親が離れるのが怖いなら、別れる場所と時間を事前に決める。

このように、怖さを小さく分けます。

「怖くないでしょ」ではなく、
「怖さが少し小さくなる形を作ろう」
と考えることをおすすめします。

 

👇子どもを無理やり学校に行かせたらトラウマになるのか

無理に引き離すことへの不安がある方は、子どもを無理やり学校に行かせたらトラウマになるのかの記事もご覧ください。

母子登校で親が一番つらいこと

母子登校でつらいのは、子どもが学校に行けないことだけではありません。

親が毎朝、子どもの状態に振り回され続けることです。

今日は起きるのか。今日は泣くのか。
今日は暴れるのか。今日は校門まで行けるのか。
今日は仕事に間に合うのか。先生に何と言われるのか。
周りの保護者にどう見られるのか。いつまでこれが続くのか。

…朝が来るのが怖くなる方もいます。

子どもを責めたくない。
でも、責めてしまう。
優しくしたい。
でも、もう限界。
かわいいと思いたい。
でも、正直しんどい。

母子登校は、それくらい親の心身を削ります。

 

母子登校は「見立て」から始まる

母子登校の対応で大切なのは、最初から正解の方法を探すことではありません。

「褒めればいい」
「甘えさせればいい」
「厳しくすればいい」
「休ませればいい」
「学校に任せればいい」
「発達特性に配慮すればいい」

このように、方法だけを先に選ぶと、ズレることがあります。

まず必要なのは、見立てです。見立てがあまいまま対応を始めると、よかれと思った関わりが、母子登校を長引かせてしまうことがあります。

逆に、見立てが合うと、対応はシンプルになります。

 

まとめ

母子登校は、親子の中で、学校との間で、家庭の中で、どこかに無理がかかっている状態です。

背景は一つではありません。

不安。発達特性。自立の課題。学校環境との相性。親子の会話パターン。家庭全体のバランス。

だからこそ、母子登校は、表面的な方法だけではなく、丁寧な見立てがとてもとても大事なんです。

「うちの子は甘えているだけなのかな」「発達障害なのかな」「私の育て方が悪かったのかな」

などの犯人探しではなく、落ち着いて家庭を見つめ、分析したり、整理し、見立てていくことが大事です。

 

👇母子登校が長期化していて、「いつまで続くのか」と不安な方は、母子登校はいつまで続く?の記事もあわせてご覧ください。

MIKURU・MIRUでは、母子登校の背景を一緒に整理します

MIKURU・MIRUでは、母子登校を「甘え」「不安」「発達障害」「しつけ」の一言で決めつけることはしません。

親子の会話、朝の流れ、学校で止まる場面、お子さんの特徴、家庭の状況、親御さんの疲れ具合まで含めて、今の状態を一緒に整理していきます。

母子登校が長引いている。
付き添いをやめたいけれど、どう進めればいいかわからない。
学校との連携がうまくいかない。
子どもにどう声をかければいいかわからない。
毎朝のやりとりに限界を感じている。

そのような方は、一度ご相談ください。

親がもっと頑張るためではなく、
親子が今の苦しい形から少しずつ抜け出すために、
一緒に見立てるところから始めていきましょう。

 

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👇母子登校の付き添い方の違い|校門・下駄箱・別室・教室後方で何が変わる?解説動画はこちら


最後までお読みいただきありがとうございました(*^^*)

公認心理師 まいどん先生(山下真理子)

 

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