ラッコタイプへのかかわり方

今回は「母子密着型」のラッコタイプについて解説をしていきたいと思います。

この記事はこんな人におすすめ

  • 子どもがすぐにお母さんを頼りにしてくる
  • 母子分離不安ではないか気になっている
  • お母さんと子どもがべったりなことが多い…といったことに悩まれている

(このラッコタイプは、書籍『これで解決!母子登校』に出てくるあきこちゃんと同じです)

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👇この記事の内容をより分かりやすくご理解いただけるよう動画でも解説しています

ラッコタイプとは

特徴

 

ラッコタイプは過度な母子密着状態であるがゆえに、お子さんがお母さんと離れて過ごすことができない傾向にあります。

 

子どもの状況

 

・お母さんに対する依存が強い

子どもがお母さんへの依存心があるのは、決して悪いことではありません。

むしろ特に小さい子であれば「お母さんがいないと生きていけない」「お父さんがいないと生きていけない」「親と一緒にいたい」と思うのは当然のことです。

しかしそれも「過度な依存」であると、親子ともしんどくなってしまいます。

 

例1

 

ママ―!ママ―!(遠くから大声で母を呼ぶ)
どうしたの?(あまりにも大きな声で呼ぶので急いで子どものもとへ行く)
もー!これどうしたらいいの!!!!
えっ
ゲームのこのステージどうしたらいいかわからない!やって!!
そんなこと言われても、ママもやったことないからわからないよ…何度もやりながら出来るようになるしかないんじゃないの…?
なんで!ママがわからないの!できない!やって!クリアできないのママのせいだからうわーん!(大泣き)
…(困惑)

 

例2

 

ママ!
え、なに?大声出して…
さっきから読んでたのに何で返事してくれないの?!
そんなこと言われても、ママシャワー浴びてたから聞こえなかったよ…
そんなの知らない!もう!宿題のドリルが見つからない!!!
そんなに泣かなくても、ママが少しすれば出てくるのわかるでしょ?一緒に探そう
待てない!もうママが探して!!!(大泣き)
…(困惑)

 

…とこのように、子どもが何でもかんでもお母さんを頼りにしてすぐに「ママ」「ママ来て…」と呼ぶような状態を「過度な依存心」と呼んでいます。

また、状況によっては依頼心というふうにも表現ができます。

 

依存心と依頼心の違いは以下の通りです。

依存心 ー 特定の人がいないと何もできない状態・他者に責任をなすりつける・精神的に自立ができていない

依頼心 ー 自分でやらなくとも誰かがやってくれると思っている状態・他者をはじめから頼りにする

もちろん分からないことは親に聞いたり、自分ではできないことは代わりにやってもらってよいのですが、先ほどの例1と例2いずれのパターンもお母さんを頼りにして自分の代わりになんとかしてもらおうという気持ちがつよい状態ということがいえます。

わからないことはお母さんと一緒に調べたり、考えたりしながらお母さんの助けができなくてもいずれはひとりでできる状態を目指していきたいものの、あまりにも大泣きされたり暴れられると、お母さんは「目の前の状態をまずは解決したい」という気持ちで「親が子の代わりに行動をしてしまう」ケースをよくお見掛けします。(お気持ちは本当によくわかります)

家庭内では、「子どもの過度な依存心をどうするか」ということを考えていく必要があるでしょう。

 

・家でひとりでトイレなどに行けない

小学校低学年の子の場合に多いのが、「廊下が怖くてトイレに行けない」ということです。

この気持ち、すごくよくわかります。私もこどもの頃は暗い廊下が怖かったです。

とくに夏休みに怖い表現のアニメ回を観た日なんかはトイレに行くのが怖くてトイレを我慢することもありました。

ただ、そういった「怖さ」とは別で、ここではトイレだけではなくお風呂や寝室に行ったりするなど、日常生活において「常にお母さんが横に居ないと不安」という状態を指します。

 

・知らない子の輪に入ることを怖がりやすい

これは見方によっては「慎重なタイプ」「安心さえすれば輪の中に入っていける」「どういうコミュニティーなのかを把握してからなら輪の中に入れる」というふうにも捉えることができます。

「楽しそう!」と思ったらすぐにその輪の中に入っていけるのも素晴らしいですが、慎重に目の前の状況を分析してから行動をするのも素晴らしいことです。

しかし、「お母さんと離れることへの不安」からきている場合は私がそのお子さんを分析する上で「分離不安の傾向があるのではないか」の判断材料のひとつになることがあります。

 

・お母さんと離れて過ごすことに対し極端に不安がる

小学校低学年の場合は30分~2時間ほどのお留守番ができればよいですが、無理に離れる必要はありません。

また、低学年の子は生まれ月によっても差が出やすいのであまり他のお子さんと比べる必要はないでしょう。

しかし、回覧板を出しに行ったり、30分以内のお留守番で子どもからの「着信履歴が20件」という状態は少し行き過ぎているかもしれません。

この場合も、私がそのお子さんを分析する上で「分離不安の傾向があるのではないか」の判断材料のひとつになることがあります。

 

母子登校の様子

ママがいないと不安…
…(困惑)
ママ…一緒に学校来て…
…それはできないよ…
だったら学校むり!行けないー!学校行きたいのに!ママ一緒にきてよー!
(学校に行きたいのに行かせられないのは可哀想だよな…)…わかった…一緒に行こう…

 

ラッコタイプの母子登校は「ママがいないと不安」と言ってお母さんに一緒に来てほしいとお願いしてスタートすることが多いです。

学校が小1プロブレムの(クラスメイトの多数が授業中立ち歩いたり先生の話を聴けず授業が進行しない)状態にある場合も「ママがいないと不安」と訴えて母子登校がはじまる場合がありますが、これは環境が整うことで自然と安心して1人で登校できるようになることがあります。

(その他聴覚過敏や嗅覚過敏があるということが母子登校きっかけで発覚することもありますがこの場合は学校としっかり共有して出来る限りのサポートを受けられるようにしたほうが良いでしょう)

「過度なお母さんへの依存心がある」ことからスタートしている場合は、親子の関わりをすこし変えてみると少しずつお子さんは「ママがいなくても平気かも…」と思ってくれるかもしれません。

 

まずはここから

過度な母子密着状態、過度な依存状態をどう改善していくかがポイントになるケースが多いのですが、その場合は以下の2つを意識してみると良いでしょう。

①その年齢の子であればできることはひとりでこなせることを増やすような対応を心がける

②お母さんに代わりにやってもらわなくても「ひとりでできた!」という経験を積ませて「お母さんがそばにいなくても大丈夫」と思ってもらえるような対応を心がける

 

例えば先ほどの例1でいえば…

ママ―!ママ―!(遠くから大声で母を呼ぶ)
どうしたの?(子どものもとへ行く)
もー!これどうしたらいいの!!!!
ん?どうしたの?焦らなくて大丈夫よ。落ち着いて気持ちを言ってごらん
ゲームのこのステージどうしたらいいかわからない!やって!!
ん、どうやってクリアしたらいいかわからないんだね。ママもわからないな…
じゃーもう無理!できない!ママやってよ!うわーん!
できないと悔しいよね。でも、泣いていたらもっとできなくなっちゃわないかな。まずは落ち着いて、泣き止もうね。そのあとママと一緒にやってみようよ
…うん…(グズグズ)
…(待つ)
もう泣いてないよ…ママ、一緒にやろう…
いいよ。よく泣き止んだね。よーし、どうやったらできるかな?

 ・

 ・

 ・

あっ!やったぁ!クリアだ―っ!!!
よかったね!焦らなくても、落ち着いて取り組めばママが居なくてもクリアできたね!次はひとりでできるかな?(にこにこ)
うんっ!!(にこにこ)

いきなりこんな風にはいかないかも知れませんが、「気持ちが落ち着くまで待ってあげる」「(お母さんが代わりにやるのではなく)一緒に乗り越えてみようと誘ってみる」「できたね」と認めてあげるような対応を積み重ねていくことで、子どもに自信がついていくかもしれません。

 

まとめ

ラッコタイプの子は過度な母子密着状態であることから、お母さんと離れて過ごすことに極端に不安がる傾向があります。

しかし、母子登校のご相談をいただき状況を分析してみますと、深刻な母子密着状態というケースは意外と少ないのです。

本当は困難を乗り越えられる力が備わっているにもかかわらず、お子さん自身が「自分はお母さんが常にそばに居ないと何もできない子なんだ」と思い込んでしまっていただけで、家庭内で成功体験を積ませていくことで「自分はやればできる」「自分はお母さんが常にそばに居なくても時に周りを頼りながら行動できる子」というふうに自分への解釈がかわっていくケースは多いです。

お母さん自身も、頑張り屋さんな方が多く、一生懸命に子どもと向き合って頑張っておられることが多いのですが、家庭教育を学んでいただくことで「あれ?こんなに子どもに任せて大丈夫なんですね?」「わたし、頑張りの方向性が間違ってたんですね」という感想をいただくこともあります。

 

もし「うちはラッコタイプの母子登校かも…」と思った方で、家庭教育にご興味がありましたら、是非取り組めるところから実践してみていただければと思います。

 

親まなびアドバイザー まいどん先生

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・アライグマタイプ

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